リハビリ

早期のリハビリで「自分を治す力」を高める!

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 脳卒中や脊髄損傷の症状の軽い重たいに関わらず、脳や脊髄が何かしらのダメージを受けた以上は、その部分の機能は二度と戻らないとされています。でも、早くからリハビリをすれば、その脳や脊髄が回復したり、他の部分が補ってくれるようになっています。具体的には、発症した直後の急性期、それから集中的にリハビリを行なう、一番機能回復を見込める約半年間の期間を回復期と呼びます。
いずれにしても、麻痺など重い障害が出来るだけ残らない様に、発症してから出来るだけ早期に、「自分を治す力」を高め、適切なリハビリを集中的に行なっていくことが大変重要になります。

リハビリ期間

 脳卒中や脊髄損傷と云うと、長期入院のイメージですが、軽いものであれば、1ヶ月以内の退院も可能です。また予後によっては通院回数も少なくて済むこともあります。反対に重たい脳卒中や脊髄損傷では、半年単位の入院生活を送り続けることも珍しくはありません。後遺症がほとんどない場合は、だいたい1~2週間程度で退院出来ます。手術をした場合は、10日ほど入院期間が延びます。 平均入院期間を年代別にみた場合、高齢者の入院期間は長くて、介護が必要になる傾向が多く見られます。

脳卒中や脊髄損傷の回復を促進する秘訣

自分を治す力を高める

 脳卒中、認知症、脊髄損傷などの神経障害の回復には、エビデンスのあるリハビリ医療を積極的に行い、人間の本来持っている自分を治す力を高め、損傷した神経回路を再生することが必要不可欠です。自分を治す力は、傷ついた細胞からSDF-1というSOSシグナルが出るため、それにより損傷部が治ったり、新しい神経や血管が出来て神経回路が再生します。残念なことに、自分を治す力は年齢とともに減少を続け、80歳になると400〜700分の1になります。
しかし、最近では、この自分を治す力を高める方法がどんどん明かになってきています。実は、自分を治す力を高めることが、脳卒中や脊髄損傷の回復を促進する秘訣です。

リハビリ医療で回復が促進する

脳卒中・脊髄損傷のリハビリ医療に必要なエビデンス

 リハビリを出来る時間は有限です。その中で効率良く、機能回復を目指すにはエビデンス(科学的根拠)に基づいたリハビリ医療を1日2〜3時間を目安に行ないましょう。『自身の経験則に基づく、治療に対する反応を確かめながら、臨機応変に修正を加える』といった姿勢も必要ではありますが、あくまでもエビデンスに基づいている必要があります。

エビデンスのあるリハビリ医療

ボトックス(ボツリヌス)治療とは

 一般的に脳卒中や脊髄損傷を起こすと、筋肉の緊張が強くなり過ぎて、麻痺している手足の動きを邪魔してしまいます(痙性が高くなります)。ボトックス治療は、ボツリヌス菌が作り出した天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。これを注射すると、筋肉を緊張させている神経の働きを抑えるので、筋肉を和らげることが出来ます。
菌そのものを注射するのではないので、ボツリヌス菌に感染することはありません。

ボトックス治療の効果
・手足の筋肉が柔らかくなり、動かし易くなる。
・関節が固まり、動き難くなるのを予防する。
・関節の変形を予防する。
・リハビリが行い易くなる。
・痛みを和らげる効果が期待できる。
・介護の負担が軽くなる。
ボトックス治療を行った後、リハビリを組み合わせて継続することで効果が期待できます。

ボトックス治療の期間
目標とする筋肉の数か所に細い針で筋肉注射を、1回15~30分くらいかけて行います。その効果は、注射後2~3日目にゆっくり現れ、2週間程度かかる人もいます。通常3~4ヶ月続き、その後数週間で徐々に効果は消えて行きます。
治療を続ける場合は、年に数回注射を受けることになりますが、効果の持続期間は個人差があるので、医師と相談しながら、治療計画を立てて行きましょう。

ボトックス治療の副作用
・注射部位がはれる。
・赤くなる。
・痛みを感じる。
・体がだるくなる。 など。
副作用の症状は多くが一時的なものですが、現れた場合は医師に相談しましょう。

低周波治療(電気刺激療法)とは

 神経障害によって運動麻痺が起こると、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。運動麻痺のせいで、必要な可動範囲を自分で動かせないでいると、それ以上の改善は難しくなります。必要な可動域の練習を行わないと、関節が固まってしまって(関節拘縮)、日常生活に支障をきたし、痛みの原因にもなってしまいます。
そこで、自分で手足を動かすのに必要な筋力が少なくても、低周波によって筋肉の収縮を補助することで、手足を動かせる範囲を拡大することが可能になります。そして、脳に自分の手足の動かし方を再学習させて、運動麻痺を改善しましょう。

低周波治療の効果
・自分で手足を動かせる範囲が増えます。
・脳が手足の動かし方を再学習します。
・手足の筋肉が柔らかくなって、動かし易くなります。
・関節が固まって動き難くなるのを予防します。
・関節の変形を予防します。
・リハビリがやり易くなります
・痛みを和らげる効果が期待できます。
低周波治療と専門的なリハビリの組み合わせを継続して行うことで、更なる効果が期待出来ます。

低周波治療の方法
麻痺している筋肉に、全可動域を自分で動かせる程度の電流を流して、専門的なリハビリと組み合わせて行います。患者さんの疾患や状態、施行する個所によって異なりますが、施行時間は5分~30分くらいです。

低周波治療スケジュールは?
低周波治療の効果は、施行直後に見られる場合もありますが、一般的に2~3日目からゆっくり現れます。自分で手足を動かせる範囲が広がれば、その効果は消えることなく長期的に持続しますが、反対に、動かさないと、その範囲は狭まり効果は徐々に消えて行きます。
ただし、効果には個人差があるので、医師と症状を相談しながら治療計画を立てて行きましょう。

低周波治療の安全性は?
低周波治療は家庭用でも肩こりや腰痛などで広く利用された、一般的な治療法です。低周波設定は、筋出力の程度で20~50Hz,パルス幅50~250μsecで電流を流し、専門的リハビリと併用します。尚、深部の筋肉に対してや皮膚の痛みが出現する場合には、適宜設定を変更したり、中周波による干渉波を利用することもあります。

低周波治療の副作用は?
低周波治療を受けた後に副作用として、次のような症状が現れることがあります。これらの症状は多くが一時的なもので自然に改善することが多いのですが、症状が現れた場合は医師に相談しましょう。
・パッドを貼った処がはれる
・パッドを貼った処が赤くなる
・痛みやしびれを感じる
・筋の緊張を強く感じる

低周波治療の適応外の条件は?
・心臓ペースメーカー埋め込みの患者、または重篤な心疾患のある患者
・体内金属
・筋収縮が禁じられる病態(静脈血栓、術後など)
・傷や皮膚状態が悪い個所
・悪性腫瘍

反復運動療法とは

 かつては、脳卒中の後遺症で起こる片麻痺は、治療しても治らないものだと考えられてきました。一度破壊されてしまった神経細胞は二度と再生しないのだから、従来のリハビリは非麻痺側を日常生活で使えるようにする訓練に重点が置かれてきました。しかし、脳科学の進歩により、「麻痺した手足を繰り返し動かす訓練をすれば、脳の可塑性(※)が発現して麻痺が改善できる」ことが明らかになりました。
※可塑性:損傷を免れた部位が、破壊された部位の役割を代行する能力
この発見により、新しい片麻痺治療の開発や研究が盛んに行われ、適切な運動を反復して行う運動療法である「Arm Basis Training」、「促通反復療法(川平法)」が着目されています。

Arm Basis Training
姿勢制御を求められない姿勢(臥位等)で、各関節、各運動方向に最大可動域に渡って、自動運動を反復しましょう。この時、必要に応じてセラピストが運動方向の修正などの援助を行ってください。自動運動がある程度出るようになったら、姿勢制御を伴う運動や、複数の関節間の協調運動へと発展させましょう。
ガイドラインでもArm Basis Trainingは推奨グレードAに位置づけられています。

促通反復療法(川平法)
麻痺した手足を操作(促通)して随意運動を繰り返させることによって、必要な神経回路を再建・強化させる治療法で、鹿児島大学名誉教授の医師川平和美氏が考案されて、「川平法」と名付けられました。
治療者による徒手的操作と、患者さんの動かそうとする努力による随意運動を、1セット100回程度反復させるのが特徴です。
それにいくつかの促通手技を併用して、より効果的に神経回路の強化を行います。

リハビリでのポイント
① 健側のトレーニングも欠かさないこと。体幹や健側が弱ると、安定した姿勢バランスが取れず、遠位筋の随意性を発揮出来なくなるので、健側のトレーニングも並行して行いましょう。
② 治療の順番は中枢から末端へ
原則的には中枢から末端に向かって進めて行きましょう。
上肢なら、肩→肘→腕→手首→指の順です。
患者さんによっては脳の活性や集中力を考えて、逆から行うこともあります。
下肢の場合は、股関節→足関節→足指の順で、逆転することはほとんどありません。

装具療法とは

 装具には治療用と機能代償用と云う2つの利用目的があります。治療用装具は、病気やケガをした部分が治るまで保護したり、歩行獲得を目指すための運動学習を促すことを目的とします。機能代償用装具は、障害によって失った機能を代償することを目的とします。装具を利用することによって、支持性が低下した状態でも荷重することが出来、その荷重情報などが背側脊髄小脳路を介して前庭核に伝えられ、麻痺した手足の改善を図ることが可能になります。

バランサー
ポータブルスプリングバランサーやBFOは、スプリングの張力を利用することにより腕の重さを限りなくゼロに近づけ、わずかな力でも自身の腕を動かすことのできる装具です。使用者の麻痺の重症度に応じて、内蔵スプリングの張力を調整することで、自分で動かせる力を増大させていくことが出来ます。

ダイナミックスプリント
麻痺のため、手指の伸展運動が不十分な方の伸展補助装置として使用します。バランサーと同様に、スプリングの張力を限りなくゼロに近づけ、わずかな力でも自身の手指を動かせる様になります。使用者の力の改善に合わせて補助する力を少なくしていきます。

長下肢装具
坐位が安定してこれば、重度の麻痺があっても長下肢装具を利用して立位や歩行訓練を行うことが出来ます。太ももより足底に及ぶもので、膝関節と足関節との動きを制御する目的で使用します。モーメントアームが長いので、短下肢装具より足関節・股関節の動きを引き出せ、麻痺側へ荷重をかけることも可能です。足関節の動きに対する股関節・体幹の動きを学習させることが出来ます。
長下肢装具を利用することで、立脚が可能となり、体全体の感覚統合を図ることが可能となる反面、膝関節の固定のせいで、立ち上がり動作が難しくなり、動く時の各関節の感覚統合は困難となります。

短下肢装具
立位・歩行時に膝折れが生じなくなれば、下腿部より足部までの装具で足関節の動きを制御する目的で使用します。各部位の各種調整によって、立ったり、歩行したりの難易度調整が可能になります。

回復時期は3か月を過ぎても良くなります!

 実は、手足のような体の機能障害は、急性期から回復期にかけての約3ヶ月間が回復の見込める、特に大事な期間とされておりますが、実際はその期間を過ぎても滑らかに回復される方を多く見かけます。
下記のように回復させたい部分の適切なリハビリを受けられている方では、発症6ヶ月を過ぎても回復は期待出来ます。

・栄養状態を良く保つ
・負荷が高目の筋肉トレーニングを週2~3回する
・負荷が低めの有酸素運動30分以上を週5回以上する

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再生医療(脳卒中・脊髄損傷の後遺症改善)福永記念診療所