予防

脳梗塞後遺症のリハビリと再発防止

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 脳梗塞になると、いろんな後遺症が現れ、同じ年齢、同じ性別、同じタイプ、治療時間が同じであっても、同じ症状とは限らないのです。後遺症とひと口に云っても、様々な要因が重なっていることが多いので、多くの脳梗塞後遺症の場合、症状が一つであったり、複数現れたりします。現れた後遺症に対しては、まずは時期に合わせた適切なリハビリが大切で、回復後は再発防止に心がけることが重要になってきます。

脳梗塞後遺症とは

後遺症は人によって異なる

 人の脳内には、非常に複雑に血管が巡り、太い血管からは髪の毛ほどの細い血管が脳内部に届いています。その内を血流に乗って、いつも新鮮な酸素と栄養分が送られていますが、その血流が何らかの影響で滞ると、脳細胞は壊死を始めます。その壊死した部分によって運動障害や感覚障害、言語障害など、人それぞれ異なった障害が起こります。また、同じ障害でも動ける、動けないの違いや、腕や足においてはその範囲や方向などが異なってきます。人によっては複数の障害が重なることもあるので、脳梗塞後遺症は「人によって様々」と云うことを覚えておいてください。つい、同室、同じ症状の方と比べがちですが、それは意味のないことと、ご自身やご家族も自覚しましょう。

脳梗塞後遺症の種類

神経の症状

① 運動障害:後遺症として最も多く見られます。
・「片麻痺」-右半身、又は左半身の手足に麻痺が現れます。
・「単麻痺」-片側の腕、又は足だけに麻痺が現れます。
・「痙縮」-手や足の筋肉が突っ張って、手の指がグッと握りこまれ、開き難くなります。

② 感覚障害:運動障害とほぼ同じ経路を走る神経で起こるので、運動障害と同時に感覚障害を起こすことが多いです。
・手足のしびれ
・痛覚がにぶる
・触覚がにぶる
・温度への感覚がにぶる
・痛感過敏

③ 言語障害:
・失語-脳の言語を司る部分が障害された場合
・上手く話せない-舌や唇、のどなどに麻痺が起こった場合

④ 嚥下障害:食べ物や飲み物をうまく呑み込めなくなる
・栄養が摂れない
・誤嚥性肺炎を起こし易くなる

⑤ 排尿障害:膀胱の筋肉に麻痺が起こる
・尿意を感じない
・尿が出ない

⑥ 視野障害
・半盲-視野の片側半分が見え難くなる
・視野欠損-見える部分が欠ける
・複視-物が二重に見える

高次脳機能障害

① 言語の障害(失語):言語を司る「左脳」の障害です
・ブローカ失語:左脳前頭葉を障害されると、相手の話は理解できるのに、自分で言葉を発せなかったり、たどたどしい話し方になり、文章を書くことも難しくなります。

・ウェルニッケ失語-脳の左右側頭葉の「ウェルニッケ野」が障害されると、自分は話せるのに、相手の話が理解出来ず、意味のない言葉や言い間違えが増えます。話の内容が意味不明になるので、認知症や精神障害と診断されることもあります。

・健忘失語-人の話も、自分が話したいことも理解できるのに適切な言葉が出てこないので、「あれ」「これ」「それ」と云った表現が増えます。

・伝導失語-理解は出来ているのに、「錯誤」が多くなり、例えば、「めがね」を「ねがね」などと云い間違えます。云い間違えたことは分かるので、訂正のために話が中断しがちになります。

・全失語-脳の太い血管の「中大脳動脈」の広い範囲が障害されると、言葉を理解・表現することが失われることが多くなります。

② 行為の障害(失行):片麻痺やしびれなどの運動障害はないのに、思ったことが出来ない状態。
・運動失行-日常的に出来ていた動作の手順が分からなくなります。

・着衣失行-衣服の着方が分からない、服の表裏が分からないなどの状態。

③ 認知の障害(失認):運動、感覚障害はないのに、よく知っているものが、何か認識できない状態。
・半側空間無視-空間の左右側のどちらかが認識できない状態。

・地誌的失認-よく知っていたはずの場所が分からなくなる状態。

・物体失認-よく知っていたはずの「物」を見ても、何か分からなくなった状態。

・聴覚失認-知っていたはずの「音」が、何の音か分からなくなった状態。

④ 記憶障害
・人の名や新しいことが覚えられない。
・場所や日付が覚えられない。
・過去の経験が思い出せないなど。

⑤ 注意障害
・二つのことを同時にしようと思うと混乱する。
・反応が遅くなる。
・集中出来ない、ぼんやりする、注意が散漫になるなど。

⑥ 遂行機能障害:計画する、論理的に考える、実行するなどが出来なくなる障害。

⑦ 判断力低下:今、自分の置かれている状態が分からない、相手の都合が分からないなど。

精神的症状

① うつ状態:脳の障害、病気のショックなどが、引き起こす原因となります。
・何もする気がしない。
・どこへも行きたくない。
・動きたくないなど、1日中、気分変動がほとんど見られません。

② 不安:突然の症状、厳しい現実から、気分が不安定になります。

③ 感情障害:気分や感情が不安定になります。

④ 意欲低下:何もしたくない気分になり、自分から動かないことが多くなります。

⑤ 病識不十分:自分が病気であることを十分に認識できていない状態で、危険な行動に出ることがあり、転倒や転落などの事故が心配されます。

⑥ せん妄や幻覚
・せん妄-一時的に記憶・思考が混乱し、意味不明なことを言ったり、動き回ったりします。

・幻覚-実際には無いものが見えたり聞こえたりします。

脳梗塞後遺症はリハビリでよくなる

 リハビリを怠らず、根気よく体を動かすことが習慣化できれば、身体機能が次第に回復し、元気になる方も多いので、脳梗塞後遺症の回復にリハビリは欠かすことのできないものになっています。

脳梗塞のリハビリ期間

 後遺症の度合いによって異なりますが、平均4~6ヶ月と云われます。急性期に2週間ほど、その後は回復期に移って最大6ヶ月のリハビリ期間が可能です。退院後の維持期には自宅やリハビリステーションを利用して続けることになります。後遺症が重ければ重いほど、退院後のリハビリは長期間取り組む必要があることを認識しておきましょう。

① 急性期リハビリ期間
脳梗塞発症後、約1~2週間を急性期と云い、その間の治療がその後の経過に大きく影響を与えるのはリハビリも同様です。命の危険がない限り、早めにリハビリを始めることがすすめられています。急性期は治療や検査と並行して行われるので、リハビリはベッドの上で出来るものに限られます。

・ベッドサイドリハビリ:寝た状態で手足の関節をほぐす。
・ベッドの上に座る。
・ベッドから立ち上がる。
・嚥下訓練:食べ物が飲み込みにくい「嚥下障害」の後遺症が見られる場合に行います。

② 回復期リハビリ期間
容態が安定してくると回復期に移り、急性期後のリハビリとしては最大6ヶ月が可能です。
患者さんの体も回復力が高まってきているので、日常生活に戻るための必要な訓練に積極的に臨む姿勢が求められます。

・理学療法:立ち上がりから始めて、徐々に歩行訓練に移ります。
・作業療法:主に手や指の訓練から始め、症状に合わせて少しずつ基本的動作のサポートに移ります。
・言語障害に対しては、発話や復唱、音読など言語能力の改善を目指します。
・認知リハ:記憶・計算・理解などの認知機能障害に現れる「高次脳機能障害」の回復を目指します。

③ 維持期リハビリ期間
病院でのリハビリ期間を終えると、自宅などでリハビリを続けますが、後遺症の度合いによって異なるので、明確な期間は決まっていません。急性期や回復期では体に無理のないよう訓練していましたが、退院後は日常生活に戻ることを第一に考えます。そのため、休ませていた機能や取り戻した機能を含めて、体をフル稼働させましょう。自宅では自身のやる気と家族のサポートにより、大きく左右されますが、施設では集中してリハビリを続けることができます。

訪問リハビリ

 一度、脳卒中や脳梗塞の症状が現れた人は、発症後1年間が最も再発しやすいとされ、失われた機能の回復だけでなく、再発防止のための継続的なリハビリが必要とされています。

脳卒中・脳梗塞の代表的な後遺症

・体の片方だけに現れる運動麻痺
・しびれや感覚の鈍化などの感覚障害
・物の名前が言えない、ろれつが回らないなどの言語障害
それ以外には、脳梗塞、脳出血発症後、数か月してから起きる「疼痛」やしびれが挙げられます。脳卒中や脳梗塞発症直後のリハビリで治ったと思ったのに、数ヶ月後にまた痛みやしびれが出るといったこともあり、訪問リハビリが必要なことも出てきます。

訪問リハビリのメリット
・低料金で家まで訪問してもらって、リハビリが受けられる。
・国家資格を持ったプロの施術者、トレーナーによるリハビリが受けられる。
・スタッフと会話することで、イキイキとした元気な姿を取り戻せる。
・自宅まで来てもらえるから、家族の負担も軽減される。

自費でのリハビリ

 厚労省がリハビリを最大180日に制限し、入院後6ヶ月で退院する患者が6割を下回る病院に対しては、診療報酬を大幅に引き下げる処置をとったために、重症患者の受け入れを断る病院が増える傾向になりました。外来でのリハビリも不十分となり、「リハビリ難民」と呼ばれる現状のニーズに答える形で、「自費リハビリ」が注目されるようになって来ました。 自費リハビリは、治療費が全額患者負担と云うことで、健康保険の縛りがなくなり、患者のニーズに沿ってメニューを微調整でき、また、リハビリ期間の延長も可能になります。民間企業で働く理学療法士によると、「自費リハビリは効果がなければ患者さんが来なくなる、真剣勝負の世界。健康保険から費用が支払われるのと違って、患者さんから費用をいただく自費リハビリは、理学療法士にとっても大きなプレッシャーとなります」と云っています。このような緊張関係は治療成績の底上げに貢献すると思われます。
自費リハビリは比較的若年層患者さんの利用が多いようです。高齢の患者さんは現状の機能維持を目的としていますが、若い患者さんは機能回復、職場復帰を望んでいると云う違いがあります。ですから、必要とするリハビリの違いに従来の医療保険では対応できていなかったのです。そこで民間企業は試行錯誤の末、多様なサービスの開発で患者さんのニーズを取り込んできました。

自費リハビリの問題点

・高額な費用:あるセンターでは1日15,000円とされており、長期間にわたる負担は大きいようです。
・安全性:民間企業によるリハビリ市場が拡大することで、低レベルの業者参入が危ぶまれ、未熟な理学療法士による施術が心配されます。

レスパイトケア(ショートステイやデイサービス、デイケア)

 レスパイトケアとは要介護者が福祉サービスなどを利用することで、介護している家族が介護から一時的に解放され、休息をとれるようサポートするものです。これは介護を行う側へのケアですが、結果的に在宅介護の継続につながりますし、要介護者にとっても良い気分転換となるものです。

ショートステイ

 要介護認定を受けられた方と40~64歳で特定疾患による要介護と判断された方が利用できます。担当マネージャーにケアプランを組んでもらい、1泊~最長30日まで利用できますが、介護度により保険内利用の日数が異なります。ショートステイは大きく分けて「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」に分かれます。

① 短期入所生活介護:宿泊できるデイサービスのようなもので、介護職員や機能訓練指導員などによって、機能訓練やレクリエーションなどが受けられます。

② 短期入所療養介護:生活介護サービスと併せて、介護職員の他に医師や看護師、理学療法士や作業療法士によって、医療ケアやリハビリなどの医療サービスが受けられます。

デイサービス

 デイサービスは施設に日帰りで通い、食事や入浴など日常生活上の介護や機能訓練などを受けることが出来るサービスです。デイサービスでの機能訓練指導員は必ずしも、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士ではなく、柔道整復師やあんまマッサージ指圧師、看護師、准看護師のいずれかの国家資格を持つ人が働いています。デイサービス利用後、そのまま宿泊できる「お泊りデイサービス」もありますが、宿泊費用は事業所によって異なり、全て自己負担となります。

デイケア

 デイケアはリハビリテーションを主目的とし、在籍する医師の指示に基づいて理学療法士などによるリハビリテーションが提供されます。

再発させないことも大切

 脳梗塞は再発しやすい病気です。「久山町研究」と云う32年以上にわたる追跡調査によると、脳梗塞の再発率は発症1年目で10%、5年目で34.1%、10年目では実に49.7%にまでなっています。その上、再発すると最初の時より後遺症が重くなったり、新たに後遺症が加わる恐れがあるので、再発を防ぐことが大事です。また、再発の場合は必ず始めと同じような前兆があります。

再発を防ぐ5つのポイント

食事と食習慣の改善

① 塩分コントロール(高血圧対策)
② 悪玉コレステロール(LDL)を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やす
③ カロリーを摂り過ぎない(糖尿病対策)
④ 血液サラサラ効果が期待できる食品の摂取
⑤ 果物や野菜は皮ごと食べる
⑥ 抗酸化食品の摂取

サプリや健康食品で有効成分を摂る

① EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)を含むサプリメントの摂取
② ミネラル(カルシウム・カリウム)を含むサプリメントの摂取
③ 酵素(毒出し酵素)を含むサプリメントの摂取
④ ビタミンB群を含むサプリメントの摂取
⑤ 植物繊維を含むサプリメントの摂取
⑥ クエン酸を含むサプリメントの摂取
⑦ ビタミンEを含むサプリメントの摂取

正しい水分補給を心がける

 人間の体は約60~70%が水分なので、脱水症状になると血流が悪くなり、血液の粘度が増して血管が詰まり易くなります。だから、健康状態を保つためには汗や尿によって排出される水分量と、外部からの補給する水分量とのバランスを適切にキープする必要があります。水分不足は脳梗塞のリスクを高めるほかに、熱中症、心筋梗塞、低血圧症状、免疫不良などの症状を引き起こします。こまめな水分補強が大切です。

生活習慣を変える

① 食生活を改善する
② 適度な運動をする
③ ストレス&疲労を蓄積しない
④ 過度な飲酒を避ける
⑤ 禁煙する

薬物療法で再発予防

 適切な薬物を受け、処方薬の服用を継続することが大切です。
① 抗血小板薬(アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル):血小板の働きを抑制し、血栓が出来るのを防ぎ、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の再発を防止します。

② 抗凝固薬(ワーファリン):心臓内の血液が淀んで出来る凝固因子の働きを抑制し、血栓を防ぐ作用があり、主に心原性脳塞栓症の再発予防に使われます。

神経障害をテクノロジーで治療する

 脳の再生、脳の保護、脳の回復を三本柱としたニューロテックという治療法もあります。一旦、脳卒中を発症してしまえば、脳を再生して治すだけでは不十分で、脳を日常生活の害悪から守りながら、更に脳の回復をさせる作業が必要です。ただ、結局は、脳は身体の一部なので、脳の健康を取り戻すために、身体の健康を取り戻すことが必要になります。

いかがでしたか、リハビリの重要性がお分かり頂けたと思いますが、
更に、回復後の再発防止もお忘れなく!
是非、参考にしてみてください。

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再生医療(脳卒中・脊髄損傷の後遺症改善)福永記念診療所