基礎知識

脳卒中になった時に利用出来る社会福祉制度②

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

―――障害年金について―――

 脳卒中の後遺症で長いリハビリが必要となった場合、家族の介護が不可欠となってきます。でも、特定の方だけに負担がかかり過ぎないよう、公共の社会福祉制度の活用を積極的に進めたいものですね。

障害年金

皆さんが加入している国民年金が対応する3つのリスクとは、
① 年をとって働けなくなるリスク・・・老齢年金
② 一家の大黒柱がなくなるリスク・・・遺族年金
③ 病気やけがで働けなくなるリスク・・・障害年金
原則65歳から受給できる「老齢年金」、被保険者が亡くなった場合に遺族(配偶者又は子ども)が受け取れる「遺族年金」が一般に知られていますが、病気やけがで生活や仕事などが制限された20歳以上の方の受け取れるのが、「障害年金」と云う国の公的な年金です。
尚、「障害者年金」ではなく、「障害年金」が正しい呼び方です。
内閣府障害者白書によると、20歳以上65歳未満で障害のある方は約323万人(身体障害:約111万人、知的障害:約40万人、精神障害:約172万人)の内、障害年金を受給している方は約194万人で、請求可能な方の約6割にしか過ぎず、本来なら受給されるのに貰っていない方が多いのは、制度自体があまり知られていないからかもしれませんね。

障害年金の受給資格は?

 障害年金は病気やけがで生活や仕事が制限された方が対象ですが、その上で、以下の3つの条件を満たす必要があります。

1-障害の原因となった病気やけがで初めて医師などの診療を受けた日(初診日)の時点で被保険者であること。会社員なら社会保険加入期間、国民年金の場合は20歳から60歳までが被保険者になります。尚、国民年金では、国内居住の60歳から65歳なら被保険者でなくても該当します。

2-初診日前日までに一定の保険料の納付要件を満たしていること。
・20歳から初診日の月の前々月までの全期間の3分の2以上を納めていること。
・又は、初診日の月の前々月までの1年間に未納がないこと。
(20歳未満で年金制度に加入していない時期に初診日があった場合は除く)

3-障害の状態が障害認定日(初診日から1年6ヶ月を過ぎた日、又は、1年6ヶ月以内にその病気やけがが治った場合、症状が固定した場合)、又は、初診日が20歳未満の場合は20歳の時点で等級に該当していること。

障害認定日請求(遡及)

 障害認定日後3ヶ月以内に、通院していたかどうか、その時点で障害程度が認定基準に該当するかどうかが、障害認定日請求(遡及)できるかどうかのポイントになります。

事後重症請求

 障害認定日では障害等級に該当しない場合は、現在の症状(請求日)が障害等級に該当していることが要件の一つとなります。

対象となる障害の程度と等級

 対象となる障害は、先天性障害(発達障害や知的障害など)、手や足の切断などの肢体障害以外にも、人工透析やがん、精神障害(うつ病や若年性アルツハイマーなど)、パーキンソン病など様々です。総務省統計による受給者の割合は、1位―精神障害31.0%、2位―知的障害23.2%、3位―脳血管疾患8.1%となっています。
障害の程度は、国民年金法と厚生年金法で定められた等級に該当する必要があり、これは障害手帳の等級とは異なるので、注意が必要です。
障害年金では、傷病によって「これならば〇級に相当」と云う基準が決まっています。これを障害年金の認定基準と云い、脳卒中などで発症した高次脳機能障害で各等級に相当する障害の状態は以下のように定められています。

障害等級

要件

1級

高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度な精神神経症状が著明なために、常時、援助が必要なもの

2級

認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なために、日常生活に著しく制限を受けるもの

3級

1.認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの

2.認知障害のため、労働が著しく制限を受けるもの(※ただし、障害基礎年金の場合3級の時は障害年金が支給されません)

障害手当金

認知障害のため、労働が制限を受けるもの(※ただし、障害基礎年金の場合は障害年金が支給されません)

つまり、常に誰かの援助がなければ日常生活がおくれない場合は1級、日常生活に支障が出ている場合は2級、仕事に支障が出ている場合は3級となります。
平成28年9月より認定基準をより具体的に示した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が、新たな審査基準となっています。この等級判定ガイドラインでは、診断書の記載項目である「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」によって、等級の目安が定められています。

日常生活能力の判定

請求者が1人暮らしの日常生活で、どのような支障があるかを7つの場面に分けて評価します。

①  適切な食事

配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることが出来る

②  身辺の清潔保持

洗面、洗髪、入浴時の身体の衛生保持や着替え等が出来る。自室の清掃や片付けが出来る

③  金銭管理と買い物

金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼ出来る。一人で買い物が可能で計画的な買い物がほぼ出来る

④  通院と服薬

規則的に通院や服薬を行え、病状等を主治医に伝えられる

⑤  他人との意思伝達および対人関係

他人の話を聞き、自分の意思を相手に伝えられる。集団的行動が出来る。

⑥  身辺の安全保持及び危機対応

事故等の危険から身を守る能力があり、異常事態に際し、他人に援助を求めるなどの適正な対応が取れる

⑦  社会性

銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。社会生活に必要な手続きが出来る

各項目を

1

出来る

2

自発的に出来るが、時には助言や指導が必要とする

3

自発的かつ適正に行うことは出来ないが、助言や指導があれば出来る

4

助言や指導をしても出来ない、もしくは行わない

の4つの段階で評価します。

日常生活能力の程度

日常生活能力を総合的に評価します

1

精神障害(病的体験・残遺症状※・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通に出来る ※疾病の初期症状が消えた後も、長く障害が残る状態

2

精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通に出来るが、社会生活には援助が必要である

3

精神障害を認め、家庭内の単純な日常生活は出来るが、時に応じて援助が必要である

4

精神障害を認め、日常生活における身の回りのことも、多くの援助が必要である

5

精神障害を認め、身の回りのこともほとんど出来ないため、常時の援助が必要である

上記の5つの選択肢から症状に最も近いものを選びます。

具体的な等級の目安

判定平均

程度(5)

程度(4)

程度(3)

程度(2)

程度(1)

3.5以上

1級

1級又は2級

 

 

 

3.0以上3.5未満

1級又は2級

2級

2級

 

 

2.5以上3.0未満

 

2級

2級又は3級

 

 

2.0以上3.5未満

 

2級

2級又は3級

3級又は3級非該当

 

1.5以上2.0未満

 

 

3級

3級又は3級非該当

 

1.5未満

 

 

 

3級非該当

3級非該当

※ただし、障害基礎年金の場合は、表内の「3級」は「2級非該当」に置き換えます。
全てこの通りに認定されるわけではありませんが、大きな判定基準にはなると思います。

障害年金の種類

 障害年金は「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類があり、初診日に加入していた年金制度や障害の等級、家族構成によって、受給年金額が変わります。

障害基礎年金

第1号被保険者―日本に住む20歳以上60歳未満の農業従事者・自営業・学生
第2号被保険者―会社員や公務員
第3号被保険者―20歳以上60歳未満の第2号被保険者の配偶者
第1~3号被保険者の方で、障害等級が1~2級に該当する方が対象になります。尚、初診日の時点で20歳未満の方や日本国内在住の60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない(老齢基礎年金を繰り上げしている場合は除く)方で障害等級が1~2級に該当する方も対象になります

障害厚生年金

 初診日に厚生年金に加入していた方で、障害等級が1~3級に該当する方が対象です。厚生年金は2級以上であれば、「障害基礎年金と障害厚生年金」の両方を受け取れます。
※平成27年10月より、共済年金制度が廃止され、公務員や私学教職員も厚生年金保険制度に加入、統一されました。

障害年金の受給金額は?

 加入していた公的年金の種類と障害等級の違いによって金額は異なりますし、配偶者や子どもの有無によっても変わります。平成26年公表によると、月額平均77,829円になっていますが、非課税所得と云うことで確定申告の必要はありません。

平成26年年金制度基礎調査より

平均

男性

女性

厚生年金・国民年金の合計

77,829円

81,163円

73,816円

厚生年金保険

101,484円

109,087円

84,359円

1級

153,399円

162,472円

124,117円

2級

115,651円

122,684円

99,743円

3級

56,289円

58,687円

51,702円

国民年金

71,982円

71,791円

72,180円

1級

80,844円

80,845円

80,843円

2級

65,491円

65,233円

65,763円

障害程度

年金・手当金の金額

障害厚生年金・障害手当金

障害基礎年金

1級

報酬比例年金額×1.25+

配偶者加給年金額

974,125円+子の加算額

2級

報酬比例年金額+配偶者加給年金額

779,300円+子の加算額

3級

報酬比例年金額※最低保証額584,500円

 

障害手当金

報酬比例年金額×2

※最低保証額1,169,000円

 

社会保険労務士の利用

 基本的には、年金事務所で相談しながら、本人か家族らが頑張って請求をして下さい。まともな申請であれば、その方が絶対的に経済的です。しかし、自身で障害年金の手続きをするのが困難な方には、社会保険労務士に依頼するのも一つの方法です。ここでは大阪駅前障害年金相談室を例に取り上げてみました。
http://nenkin-osaka.com/syaroushiirai

社会保険労務士利用のポイント

① 最初から依頼すれば、損をするリスクが減少する
障害年金にあまり詳しくない方が申請すると、各書類間の整合性が取れずに矛盾を生じ、認定側が内容確認を取らずに不利益な決定がなされることもあります。障害年金請求で一度審査結果が出てしまうと、その決定内容を変えるには多くの労力と時間を必要とします。提出された書類がどこまでもついて回ると言うのが、障害年金の一発勝負と云われる所以です。「本来の等級より低く決定された」「本来もらえるはずが不支給決定になってしまった」などと、後になってから相談に来ることも多いのが、障害年金の審査請求・再審査請求の難しいところです。しかし、年金事務所でも、いつから障害が出たのか?など詳しく説明すれば遡って請求出来ることぐらいは教えてくれます。何より、『障害年金の受給資格を得た時から遡って請求出来ること』だけはご自分で覚えておいて下さい。大概の方は、資格が出来てから受給開始されるまでに物凄く時間を要しています。恐らく、制度自身がややこしいからでしょうね。

② 障害年金専門の社会保険労務士を選びましょう
労働問題や給与計算を扱う社会保険労務士は障害年金手続きに関しては、通常あまり詳しくありません。難易度が高く、専門知識を要する障害年金申請は、障害年金専門の社会保険労務士に相談しましょう。

③ 自身の傷病分野の専門の社会保険労務士を探しましょう
障害年金専門の社会保険労務士でも、全ての傷病、全ての支給基準や書類作成に熟知しているとは限りません。あなたの傷病状態にあった社会保険労務士を探すことが求められます。

④ 社会保険労務士に依頼しなくてもよいケースもありますよ
障害の種類や状態によれば、法令や認定基準で明らかに等級が定められていて、診断書や病歴・就労状況等申立書等の書類内容に影響をあまり受けないものもあります。(例:人工透析治療=2級等) 明らかな数値や状態で等級が定められ、初診日の証明が簡単に取れる場合は、自身や家族の手で費用をかけずに申請する方が、わざわざ社会保険労務士に報酬を支払って依頼するよりも合理的な場合もあります。

サポートセンターの利用

 繰り返しになりますが、基本的には年金事務所で相談しながら、本人か家族らが頑張って請求をして下さい。それでも駄目なら、上記の社会保険労務士らに依頼するのがまだマシでしょう。
各地にあるサポートセンターの例として、大阪の場合を取り上げましたが、共に民間団体ですので、僕自身は全くお勧め出来ません。かなり高額だと個人的には考えてしまいます。報酬請求がなされることをご承知ください。
大阪障害年金サポートセンター  http://oosaka-syougainennkin.com/page-17/page-42

サポート内容

  • 年金請求に関する具体的な相談・面談
  • 受給資格、要件の確認
  • 申請書類の取り寄せ
  • 診断書の記入内容の助言と点検
  • 診断書等証明書の作成依頼書の作成と依頼時の同行
  • 証明書の受け取り代行
  • 病歴状況申立書、病歴就労状況等申立書等、申立書の作成
  • 年金請求書の作成と提出書類の点検
  • 戸籍抄本、住民票等の行政機関の証明書請求と受取代行
  • 金融機関への口座確認証明の請求と受取代行
  • 年金事務所への書類提出、折衝
  • 請求代理人として、年金事務所からの問い合わせ、照会に対する応対

① 電話・メールで相談予約

 最初に、電話又は問い合わせメールで、面談予約をしましょう。その際には、以下のことが尋ねられます。
・名前 ・生年月日(年齢) ・住所 ・電話番号 ・傷病名 ・初診日 ・初診日に加入していた年金の種類 ・年金加入期間 ・現在の症状
今後の手続きがスムースに運ぶよう、出来るだけ正確に答えてください。結果的に早く障害年金を受け取ることが出来ます。

② 面談・ヒアリング

 これまでの病気履歴、生活状況などについて、詳しくヒアリングを行います。必要なら、出張相談も出来ます。(別途費用はかかりますが・・)
定期的に各地で無料障害年金相談会も行っているので、HPを参照してみてください。
面談時には、委任状、契約書、診断書などの書類一式が渡され、記入上の注意点、特に主治医に診断書作成を依頼する時の留意点などについて、アドバイスされます。

③ 診断書記入内容のチェック

 サポートセンターに提出された診断書等の書類の内容をチェックします。そして、修正や加筆が必要かなどをアドバイスしてもらえます。ただ、医師の考えや症状によっては、修正や加筆に応じてもらえない場合もあります。

④ 病歴・就労状況等申立書の作成

 ヒアリングや診断書の内容に沿った、病歴・就労状況等申立書が作成されます。

⑤ 障害年金年金請求書の作成・提出

 作成した裁定請求書に必要書類を添えて、年金事務所(又は市区町村役場)に提出します。提出後の年金事務所からの問い合わせや照会は、サポートセンターが対応してくれるから安心ですね。

⑥ 障害年金の決定と初回年金の振り込み

 障害年金の決定には、裁定請求書の提出から約3~4ヶ月ほどかかります。(場合によってはそれ以上かかることもあります)。 決定されると自宅に年金証書(兼 裁定通知書)が届きます。その後、40日~50日後に年金振込通知書と年金初回支払通知書が送られてきて、実際の振り込み額が判り、その直後には初回年金振込(月の15日)が行われます。

⑦ 報酬の支払い

 下記の所定のサポート料金の振り込みを行ってください。

年金請求

サポート

着手金0円+年金がもらえた場合の報酬(①②③④のいずれか高い金額)

①  年金の2ヶ月分(加算分を含む)相当額(税別)

②  遡及された場合は①に加え、初回年金入金額の10%(税別)

③  障害手当金の10%(税別)

④  10万円(税別)※障害年金をもらうための条件の1つである「保険納付要件を満たしているか」の確認は無料で行います。※その他料金体系等については、契約前にしっかりと説明されます。

審査請求

着手金5万円+年金がもらえた場合の報酬(①②のいずれか高い金額)

①  年金の3ヶ月分(加算分を含む)相当額(税別)

②  遡及された場合は①に加え、初回年金入金額の10%(税別)

再審査請求

着手金10万円+年金がもらえた場合の報酬(①②のいずれか高い金額)

①  年金の3ヶ月分(加算分を含む)相当額(税別)

②  遡及された場合は①に加え、初回年金入金額の10%(税別)

額の改定請求

着手金0万円+改定がもらえた場合の報酬(①②のいずれか高い金額)

①  年金の2ヶ月分(加算分を含む)相当額(税別)

②  10万円(税別)

いかがでしたか、
家族の特定の方だけに負担をかけないよう、障害年金を活用してリハビリを積極的に進めて、社会復帰を果たしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。