脳梗塞の再発は予防できる!専門医が教える5つのポイントとは?

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《 目 次 》


脳梗塞は再発しやすい病気です。
「久山町研究」と云う32年以上にわたる追跡調査によると、脳梗塞の再発率は発症1年目で10%、5年目で34.1%、10年目で実に49.7%にまでなっています。
それに再発すると最初の時より後遺症が重くなったり、新たに後遺症が加わる恐れがあるので、再発を防ぐことが大事です。
また、再発の場合は必ず始めと同じような前兆があります。

再発を防ぐ5つのポイント

1:食事と食習慣の改善

ちょっとした気配りや気遣いによって、食習慣をコントロールすることができますので、毎日の生活の中で「ちょっとした事を気にしていく」ことで改善していきましょう!

① 塩分コントロール(高血圧対策)

再発予防には血圧140/90㎜Hgを超えないよう、食事では塩分摂取を控えましょう。
日本人の1日塩分摂取量は平均14gですが、脳梗塞の再発を抑えるには10g以下に抑えるのが理想的です。

・塩分コントロールで意識したい食品

【酸味の活用】:レモン、スダチ、カボス
【香辛料の活用】:トウガラシ、コショウ
【だしの活用】:昆布だし、鰹節のだし

② 悪玉コレステロール(LDL)を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やす

食品で悪玉コレステロール(LDL)を吸着して体内から減らすようにして、腹八分目を心がけましょう。
善玉コレステロール(HDL)はLDLを回収して、血栓ができるのを防ぎます。

・コレステロール調整で意識したい食品

【動物性たんぱく質】:豆腐、大豆
【水溶性植物繊維】:海藻、きのこ、豆、根菜
【不飽和脂肪酸】:コメ油、ダイズ油、コーン油、魚油、植物油
【青魚】:イワシ、サンマ、サバ

③ カロリーを摂り過ぎない(糖尿病対策)

厚労省研究班の調査結果で、カロリー摂り過ぎによる肥満は糖尿病を助長し、脳梗塞発症のリスクが高まるとされています。
肥満解消が脳梗塞の再発予防の近道です。

・カロリー摂取を抑えるために意識したい食品

【避けたい食品】:お菓子、ジュース、揚げ物、炒め物、ドレッシング、マヨネーズ
【避けたい食事法】:まとめ食い、欠食
【積極的に活用したい食品】:オリゴ糖、はちみつ

④ 血液サラサラ効果が期待できる食品の摂取

青魚(イワシ、サンマ、サバ、アジ)に多く含まれる飽和脂肪酸(EPA・DHA)が血液をサラサラにしますが、酸化しやすい欠点があるので、新鮮なものを選びましょう。
納豆のネバネバ成分に含まれるナットウキナーゼも血液サラサラ効果がありますが、100度以上の熱を加えるとなくなるので、熱々のご飯は少し冷ましてから納豆をかけるようにしましょう。

・血液サラサラ効果で意識したい食品

【青魚】:イワシ、サンマ、サバ、アジ
【納豆】
【タマネギ】

⑤ 果物や野菜は皮ごと食べる

報告によると、リンゴやナシなどの白色果肉果物を一番多く摂取したグループは、一度も摂取しなかったグループよりも脳卒中になった方が52%も少なかったそうです。

・食物繊維

1日にリンゴまたはナシの中くらいサイズを半分、なるべく皮ごと食べるのが良いとされています。
野菜に含まれる食物繊維は、コレステロールや胆汁酸と結合して悪玉コレステロール(LDL)を排出します。
「ダイエット・ファイバー」と呼ばれるほど、肥満改善に効果があります。
中高年でも食物繊維不足が深刻になってきているので、1日27g以上の摂取を目標に、食物繊維が豊富に含まれる豆類や海藻類を摂りましょう。

⑥ 抗酸化食品の摂取

活性酸素は酸化LDLを作って血管壁を傷つけ、そこにカルシウムの沈着があると、血管が石灰化し動脈硬化の原因となります。
その原因となる活性酸素を除去するために「抗酸化食品」を積極的に取り入れましょう。

・抗酸化食品

【ビタミンC】:イチゴ、キウイ、トマト
【ビタミンE】:大豆、ナッツ
【ポリフェノール】:赤ワイン、リンゴ、ブルーベリー、ココア
【カテキン】:緑茶
【βカロチン】:ニンジン、ピーマン、カボチャ
【リコペン】:スイカ、トマト
【フラボノイド】:豆類、緑茶、タマネギ、シソ
【セサミノール】:ゴマ
【含流化合物】:ニンニク、キャベツ
【アスタキサンチン】:エビ、カニ

※危険!脳梗塞の再発リスクを高める食習慣とは

  • 主食+主食(白米+麺など)で食べることが多い
  • 食事では魚より肉料理が多い
  • 1日1個以上の卵を食べる
  • 夜食や間食を摂る
  • 早食い
  • 毎日、揚げ物を食べる
  • 野菜を摂らない
  • ケーキやクッキーなど甘いものを好む
  • ジュースや甘めの缶コーヒーをよく飲む
  • 酒好きで飲み過ぎることが多い
  • 水をあまり飲まない

2:サプリや健康食品で有効成分を摂る

① EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)を含むサプリメントの摂取

・EPA(エイコサペント酸):魚油である脂肪酸に含まれる成分で、コレステロールや中性脂肪を減らすので、動脈硬化の予防に作用すると注目されています。
・DHA(ドコサヘキサエン酸):同じく魚油の脂肪酸に含まれる成分で、EPAよりコレステロールや中性脂肪を減らすとされ、また、脳機能改善に効果を発揮し、ボケ予防の成分として知られています。
DHAは白身より青背の魚や海の表層を回遊する魚(マグロ、ブリ、サバ、サンマ、イワシなど)に多く含まれます。
ただ、摂取には週4回の食事に取り入れる必要があるので、現在の日本の食生活では、DHAやEPAが配合されたサプリメントの摂取が必要でしょう。

② ミネラル(カルシウム・カリウム)を含むサプリメントの摂取

・カルシウム:カルシウムが不足すると、心臓を動かすために骨からカルシウムが奪われます。
その結果、血液中のカルシウムのバランスが崩れて、血管を詰まらせる血栓ができやすくなります。
血栓は脳梗塞や心筋梗塞の原因となる症状なので、注意が必要です。
・カリウム:ナトリウム(塩分)と共に心臓の働きを助ける栄養素ですが、日本人はナトリウムを摂り過ぎるので、カリウムとのバランスが崩れると心臓の働きに悪影響を与えます。
だから、塩分を体外に排泄する働きを持つカリウムとカルシウムのミネラル(微量元素)は、脳梗塞・心筋梗塞が心配な方には大切な栄養素と云えます。

③ 酵素(毒出し酵素)を含むサプリメントの摂取

体にとって大切な栄養素のビタミンやミネラルも、酵素がないと摂取した栄養を十分に分解・吸収出来ないのです。
酵素には以下の3つの種類があります。

・消化酵素-体内の食べ物を消化します。さらに、「炭水化物・タンパク質・脂肪」を消化・分解する3種類に分けられて、栄養を取り込み、エネルギーに変えてくれる酵素のおかげで、健康な生活が出来るのです。
※ナットウキナーゼ(血栓溶解酵素):CMでも見かけることが多くなった、タンパク質分解酵素の一つで、血管が詰まる原因である血栓に対して強い効果を示します。
・植物酵素-野菜や豆類、発酵食品、果物などに多く含まれます。
・代謝酵素-元々、体内に存在する酵素です。
酵素は熱に弱く、サプリ製造の際に50℃以上の熱を加えると、ほとんどその効力が無くなってしまうので、熱を一切加えずに作られる毒出し酵素が効力を発揮します。また、酵素の働きを助けるものとして、「補酵素」というものがあり、水溶性ビタミンの大部分がそれにあたります。

④ ビタミンB群を含むサプリメントの摂取

体内で葉酸やビタミンB6が不足すると、動脈硬化の原因とされるアミノ酸の一種ホモシステインが過剰に作られて、血中のLDLコレステロールと結合して、活性酸素により酸化しやすくなります。
酸化したLDLコレステロールが原因となる酸化LDLマクロファージが血管内壁に付着して動脈硬化が進行します。
葉酸は水に溶けやすい脂溶性で、光と熱にも弱いので調理過程で多くの成分が失われます。
だから、葉酸入りのサプリメントなら手軽に摂取が可能です。

⑤ 植物繊維を含むサプリメントの摂取

「植物繊維には血管の炎症を抑える効果がある」と報告されています。
体内で炎症が起こると、心筋梗塞や動脈硬化のある種の指標と見られるタンパク質の一種のCRPが増加します。
多くの植物繊維を摂る人は、摂らない人に比べてCRP濃度が低いため、心筋梗塞のリスクが低下すると云われています。
他に塩分中のナトリウムと結合して体外へ排出を促進して、血中コレステロールの上昇を抑える働きがあります。
コレステロール値の低下は脳梗塞のリスクを低減できるので、予防・再発防止に十分期待出来る成分です。

⑥ クエン酸を含むサプリメントの摂取

脳の血管が詰まる脳梗塞の原因には、血栓が大きく影響します。血液がサラサラなら血栓が出来難く、動脈硬化の症状を抑制・緩和することが出来ます。
血液をサラサラにしてくれる成分としてはDHAやEPA、ナットウキナーゼ(血栓溶解酵素)が良く聞かれますね。
その他には、クエン酸が血液をドロドロになる反応を防ぐ働きがあり、輸血の際に血液が固まるのを防ぐ薬剤として使われています。
クエン酸を含む食品としては、梅干しやレモンと云った酸っぱい食べ物があります。
また、お酢に含まれる酢酸にも同じ働きがあります。

⑦ ビタミンEを含むサプリメントの摂取

米や麦などの胚芽、大豆やゴマなどの種子に多く含まれるのがビタミンEです。
抗酸化作用があるので、血液中のLDLコレステロールと結びついて、老化や動脈硬化の疾患予防に期待される栄養素です。
ただ、現代では米や麦などの穀類はほとんど精製された状態で食べるので、大豆食品と同様、ビタミンEが欠乏している状況です。
ビタミンEは摂取した食べ物や油を酸化させない働きがあるのですが、スナック菓子や揚げ物などの総菜、インスタントラーメン、フライドポテトなどを食べるたびに、体内のビタミンEが浪費されます。
間食などの食習慣で思い当たる方は、ビタミンEのサプリメントの摂取が必要かもしれませんよ。

3:正しい水分補給を心がける

人間の体は約60~70%が水分なので、脱水症状になると血流が悪くなり、血液の粘度が増して血管が詰まり易くなります。
だから、健康状態を保つためには汗や尿によって排出される水分量と、外部からの補給する水分量とのバランスを適切にキープする必要があります。
水分不足は脳梗塞のリスクを高めるほかに、熱中症、心筋梗塞、低血圧症状、免疫不良などの症状を引き起こします。
こまめな水分補強が大切です。

4:生活習慣を変える

  1. ① 食生活を改善する
  2. ② 適度な運動をする
  3. ③ ストレス&疲労を蓄積しない
  4. ④ 過度な飲酒を避ける
  5. ⑤ 禁煙する

5:薬物療法で再発予防

適切な薬物を受け、処方薬の服用を継続することが大切です。

  1. ① 抗血小板薬(アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル)
    血小板の働きを抑制し、血栓が出来るのを防ぎ、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の再発を防止します。
  2. ② 抗凝固薬(ワーファリン)
    心臓内の血液が淀んで出来る凝固因子の働きを抑制し、血栓を防ぐ作用があり、主に心原性脳塞栓症の再発予防に使われます。

再生医療で脳卒中の改善と予防

加齢と幹細胞の関係再生医療というと何か難しく聞こえてしまいますが、実は本来の身体のメカニズムを利用した自然な治療法です。
脳梗塞や脳出血が起こると脳が傷つき様々な障害が生じます。
これらを少しでも元の状態に戻すためには、傷ついた血管や神経を再生するための『自分を治す力』が必要になります。
また、動脈硬化などで傷んでしまっている血管を絶えず正常な状態に戻すことが再発予防には有効です。
しかし、この『自分を治す力』は年齢とともにどんどん不足し低下してしまうため、これらの『自分を治す力:臍帯由来サイトカイン(SGF-OK)』を鼻腔内投与や静脈点滴などで補う治療が国内でも既に実用化されています。

いかがでしたか?
再発すれば、後遺症が重くなったり、新たに後遺症が加わるなんて冗談じゃない!
そう思われたあなたはきっと、この記事を参考にして頂けるでしょう。

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ニューロテックメディカル

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

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