脳梗塞後の生活について

NTM_banner
脳梗塞後の生活について

《 目 次 》


脳梗塞になった後、起こり得ることがいくつかあります。
まず麻痺や痺れなど、脳梗塞の後遺症が残ることがあります。
そこで、まず失った機能に応じて、生活環境を整備する必要があります。
同時に後遺症からの回復を目指し、リハビリに取り組みます。
さらには再発を予防するために、生活を見直し、継続して薬を服用することもあります。

脳梗塞後の環境に慣れる

脳梗塞の発症前後、生活環境が大きく変わることがあります。
これらの変化の中には短期的なものもあれば、長く続くものもあります。
そこで、その環境に自分自身を適応させるため、いくつか考えておくとよいことがあります。

自分自身に厳しくしない

以前は簡単にできていたことができなくなると、誰でも落ち込みます。
でも、絶対に自分を責めないことです。
自分らしさを取り戻すには時間がかかります。
最初の3~4カ月が最も回復が早いと思われますが、長くかかることもあります。
したがって日常生活に戻るためには、ゆっくりとした計画を立ててください。
少なくともしばらくの間は、着替えや歩行、会話などの動作に支障が出るかもしれません。
また、物事を記憶したり、集中したりすることに、より多くの努力が必要になるかもしれません。
脳梗塞は感情にも影響を及ぼします。
以前には感じることがなかったストレスを感じたり、些細なことで怒ったり、悲しんだりするかもしれません。
そのようなときは、周りに助けを求めることが重要です。
家族、友人、地域の人たちに、家のことで手を貸してくれるよう頼んでみましょう。
介護者がいない場合は、地域の介護サービスに助けを求めることも大切です。

健康を優先する

脳梗塞を起こしたということは、何か危険因子があった可能性があります。
したがって、危険因子を軽減しない限り、次の脳梗塞が起こる可能性が高くなります。
そのためには、食事やライフスタイルを見直し、以前よりまして自分の健康を優先させることです。
また医師の指示に従い、定期的な受診や処方された薬の内服を守ることも大切です。

家庭内の環境を見直す

脳梗塞後は思うように体が動かないこともあり、例えば寝室や浴室に入るところの段差など、思いもよらないところで転倒することがあります。
そこで、家庭内の環境を見直し、必要な対応をしておく必要があります。
まずトイレ、寝室、台所など、日常生活のなかで必ず移動する場所への通路を確保し、周辺を整理整頓します。
階段やトイレ、また浴室内には必要に応じて手すりを設置します。
便座を高くしたり、浴槽に入る際の高さを負担のない高さにしたりする必要がある場合は、それらを設置します。
すべての敷物が粘着テープで固定されていることを確認する必要もあります。
さらに浴槽には滑り止めのマットを敷きましょう。

脳梗塞からの身体能力の回復

脳梗塞を起こすと、手足の麻痺や言語障害など、さまざまな後遺症に直面します。
これらの後遺症から回復するために、リハビリなどに取り組むことが必要になります。

リハビリ

失った機能を回復させるため、自分一人でできることもありますが、リハビリの専門家と一緒に活動することで、より効果的に回復を期待することができます。
言語療法士は、コミュニケーションや記憶力を高める手助けをしてくれます。
また、言語療法士は、食事や嚥下に関しても手助けをしてくれます。
理学療法士は、筋肉を強化し、バランスを取り戻し、安全に動くことができること目指し、手助けをします。
作業療法士は、自宅(および職場)周辺の環境を整えたり、食事や掃除などの日常的な事柄を行うための新しい方法を教えたりします。
脳梗塞からの回復には時間がかかり、いらいらすることもあります。
そのようなときは、医師や看護師だけでなく、リハビリの担当者や介護士にも相談することで、自分の気持ちに対処することができます。
さらに友人や家族にも、感じていることを話してみましょう。
脳梗塞を起こしたことがない人たちは、共有されない限り、あなたが経験していることに気づかないかもしれません。

脳梗塞の再発予防

脳梗塞になったことがある人は、再び脳梗塞になる危険性が高いと言われています。
したがって、脳梗塞後の生活を少しでもよいものとしていくためにも、再発予防への取り組みも忘れてはいけません。

再発予防のための治療薬

回復を助けるため、あるいは脳梗塞の再発を防ぐために医師が薬を勧めた場合は、指示通りに服用してください。
通常は高血圧の薬、高コレステロールに対する薬、血栓を予防する薬などが含まれます。
気になる副作用がある場合は、医師に相談してください。
相談せずに薬の量を変えたり、止めたりすることは絶対にしないでください。

食事やライフスタイルの見直し

バランスの取れた食事を食べることが大切です。
果物、野菜、低脂肪のタンパク質、全粒穀物などが適切です。
そのほか禁煙や過度の飲酒の制限、また軽い運動も再発予防には必要です。
健康的な生活を送るために、自分にとって何が必要であるか、改めて見直してみましょう。

脳梗塞後における再生医療の役割

脳梗塞後の後遺症に悩む方々にとって、後遺症の軽減、そして脳梗塞の再発予防という2つの観点から、再生医療は注目されています。
ニューロテックメディカルで取り組む、自己骨髄由来幹細胞を用いた再生医療では、まず神経細胞の再生や神経細胞のネットワークの改善により、脳梗塞で失われた身体機能の回復が期待できます。
さらに脳内の血管が新たにできてくる血管新生作用により、脳梗塞の再発を予防する効果が期待できるのです。

まとめ

脳梗塞を起こした後の生活で期待されること、またその対策についてご説明しました。
特に親しい方が脳梗塞を起こした場合、色々と心配になることがあるかと思います。
後遺症や再発の可能性にお悩みであれば、まずはかかりつけの医師や病院の担当医に率直に相談してみることをお勧めいたします。

脳卒中・脊髄損傷、再生医療に関するご質問・お問い合わせは、
こちらのメールフォームよりお願いします。


ニューロテックメディカル

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

脊髄損傷への再生医療の効果

脳卒中の早期発見リスト「FAST」

ピックアップ記事

  1. 高次脳機能障害の診断基準

    2021-9-19

    高次脳機能障害の診断基準について

    高次脳機能障害とは、脳への損傷を受けた以降に記憶や日常生活が障害を受け、社会活動などができなくなった…
  2. 適切な水分補給で脳梗塞を予防

    2021-10-20

    秋や春も注意!適切な水分補給で脳梗塞を予防しましょう!

    夏の脳梗塞には高齢の方が特に陥りやすい水分不足や脱水に原因が隠れています。65歳以上が占める割合は、…
  3. 脊髄デッサン

    2020-5-11

    脊髄損傷に効果が期待できる再生医療の種類

    今現在日本で、脊髄損傷はどれくらいの人々が、どれくらいの確立で受傷しているのでしょうか?そして、どれ…

患者様からのよくあるご質問- YouTube

福永記念診療所・再生医療

再生医療.or.jp

再生医療専門クリニック

福永診療所

【大阪】福永記念診療所

東京銀座福永クリニック

【東京】東京銀座福永クリニック

リブラささしまメディカルクリニック

【名古屋】リブラささしま

各種お問い合わせ

脳卒中・脊髄損傷、再生医療のご質問・お問い合わせはこちらから
contact

ブログランキング

にほんブログ村 病気ブログへ

にほんブログ村 病気ブログ 脳卒中・脳梗塞へ

にほんブログ村 病気ブログ 脳・神経・脊髄の病気へ

にほんブログ村 病気ブログ リハビリテーションへ

おすすめ記事

  1. 脳細胞は蘇らない?

    2021-9-8

    「一度死んだら脳細胞は蘇らない」を覆す?脳の再生医療レポート

    今まで脳梗塞後遺症を改善するには、根気のいるリハビリを続けるしか方法はないと云われてきました。でも最…
  2. 脳出血になりやすい人

    2022-3-15

    要注意!脳出血になりやすいのはこんな人!

    脳出血は脳を栄養する動脈がなんらかの原因で破綻した結果、脳の細胞が栄養不足で死んでしまう病気です。進…
  3. 看護師が用いる関連図について

    2022-2-28

    脳梗塞の患者さんに看護師が用いる関連図について

    近年、問題解決にデザイン思考の重要性が認識されるようになりました。デザインとイノベーションの国際的な…
ページ上部へ戻る