いびきは脳卒中のサイン?危ないいびきの見分け方とは?

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いびきは危険のサイン?

《 目 次 》


日本人死亡の3大理由と云われる三大疾病の一つに、「脳卒中(脳血管障害)」があります。
発見が遅れて脳卒中の症状が深刻な場合は意識障害を起こすことがあり、そのひとつに「いびき」があげられます。
ここでは、いびきと脳卒中の関係について、ご紹介します。

脳卒中といびきの関係

脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの「脳血管障害の総称」を云い、これらには様々な症状が現れ、以下に代表的なものを挙げてみました。
頭痛やめまい、体の麻痺(物を落としたり、半身が上手く動かない、よろけるなど)、片目が見えなくなる、聞いた言葉が理解できない、ろれつが回らない、意味不明な事を云う、意識障害、・・・そして「大きないびき
これは、脳梗塞や脳出血によって神経が圧迫され、脳から体への指令が上手く伝わらず、喉の周りの筋肉が緩んで舌が落ち込み、気道が圧迫されるために起こります。

脳梗塞の前兆やサインとしてのいびき

  1. 普段いびきをかかないのに、大きないびきをかくようになる
  2. 大きないびきをかいたり、いびきが突然止まる
  3. 息を吐いている時だけでなく、吸っている時にもいびき音がする

上記のような場合に、何度呼びかけても反応がなかったら、脳卒中の危険信号かもしれませんよ。

いびきが脳梗塞の原因になるかも

大きないびきをかくということは、それだけ気道が狭くなり、寝ている間に酸素の量が不足した状態を引き起こし易くなります。
この状態が長く続くと脳の酸素不足によって、脳梗塞のリスクが高まります。
「いびきぐらい」と軽く考えがちですが、それ以外にも「睡眠時無呼吸症候群」などが関係する場合もあるので、大きないびきが続く場合は注意して観察する必要があります。
揺り動かしたり急に立ち上がらせるのは、事態の悪化を招きかねないので、体を横向きにし、様子を観るなどしてみて、何度呼びかけても反応がなかったら救急車を呼び病院で診察を受けるのがよいでしょう。

いびきのメカニズム

いびきは空気の通り道が狭いため起きる

「いびき」には大きさや高さ、連続性などに個人差がありますが、寝る時の姿勢や枕の高さ、体調などによっても「いびき」の様子が変わります。
「いびき」の主原因は、空気の通り道である「上気道」が狭いと、空気抵抗が大きくなって呼吸をした時に粘膜が振動する音が「いびき」となります。
管楽器のようにトランペットが音を出すメカニズムとほぼ同じ感じです。
椅子に座ってウトウトと寝ているとき、「いびき」をかいている方は少ないですよね。
体を仰向けにリラックスして寝ていると、地球の重力で軟口蓋や舌のつけ根といった「上気道」の周りにある組織が喉の奥に落ち込み、自然に上気道が狭められ、塞がり易くなるのです。

危ないいびきの見分け方

安心ないびき

「いびき」をかいても熟睡出来て、起きてからも何も支障が無ければ、「単純いびき症」または、「原発性いびき」と云って、問題はありません。
激しい運動や重労働で疲れたり、深酒や枕が高すぎる場合などによる「いびき」も通常心配ありません。

危険ないびき

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑い

睡眠中に「大いびき」をかいたと思ったら、呼吸の10秒以上停止(低呼吸)状態が続いた後、また、「大いびき」が再開する、毎晩このような状態が繰り返されると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が疑われます。
その他の症状としては、睡眠中のあえぎや窒息感、昼の激しい眠気や疲労感、集中力の欠如などを伴います。
一時的な呼吸停止を繰り返すと、血液と脳内の酸素量が不足して、糖尿病や高血圧、脳疾患、心疾患などの合併症を引き起こす可能性があります。
早めに耳鼻科などの専門医療機関を受診しましょう。

脳卒中で意識障害を起こした場合

脳卒中で意識障害を起こすと、舌が喉の奥に下がって「いびき」をかくことがあります。睡眠中での脳卒中の発症は判り難いかもしれませんが、普段「いびき」をかかない人が急に「突然大きないびき」をかきだしたことに、ご家族で気が付いたら意識の状態を確認して、少しでも「変だ?」と思ったら、すぐに救急車を呼びましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、男性30代~60代の働き盛り、女性閉経後(50代頃)によく発症が見られ、推定約200万人の患者さんがいますが、受診率の低い(約30万に)ことが問題になっています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因は一般的に「いびきをかくか、かかないか」によって、大別されます。

いびきをかく・・・閉塞性SAS

SAS患者の90%以上を占め、「気道が塞がる→無呼吸(酸素不足)→気道を開くために脳が覚醒→いびきと共に呼吸再開」を繰り返すことで、眠りが分断化され、睡眠の質が低下(浅い眠り)し、翌日は異常に眠くなります。

いびきをかかない・・・中枢性SAS

SAS患者の数%で、脳の呼吸中枢が機能異常を起こすのが原因で、循環器疾患の合併症として発症することが多いです。

治療の理由

生存率に影響する病気へのリスク

SASの症状の一つの「睡眠時無呼吸」の場合、「呼吸不全」と同じくらい酸素が不足しているような緊急状態が一晩に何回も起こり、それを治療せずに何年も放っておくと、じわじわと心血管に負担をかけ続けることになります。
その結果、心不全や高血圧、不整脈、脳卒中というあなたの生死に関わる恐れのある循環器病の発症や悪化を引き起こします。

【心不全】

「閉塞性」の場合は心臓に負担をかけるので、心機能低下の可能性が高まります。
心不全患者さんの11.37%は「閉塞性」を合併して発症し、男女別では男性38%、女性31%と男性が多めです。
「閉塞性」を合併している心不全患者さんが、「閉塞性」を治療せずにいると死亡率が2~3倍高くなります。

【高血圧】

「閉塞性」の患者さんの50%に高血圧が認められ、高血圧の患者さんの30%に「閉塞性」が認められます。
アメリカの研究では、無呼吸・低呼吸指数が30以上と15未満の患者さん達を比較すると、指数30以上の患者さん達の方が1.37倍高血圧になり易いと発表されています。

【不整脈】

「閉塞性」の患者さんは、不整脈の合併率が高く、無呼吸・低呼吸指数の増加や低酸素血症が悪化するにつれて、合併率は高まり、夜間では50%近くになります。
心房細動、非持続性心室頻拍などの不整脈が、比較的睡眠中によく認められます。
重度の「閉塞性」だと夜間の不整脈の発症リスクが2~4倍高まります。

【脳卒中】

アメリカでの研究によると、無呼吸・低呼吸指数20以上の「閉塞性」の患者さんでは脳卒中の発症リスクが4倍も高まります。
また、50歳以上の患者さん対象で平均3.4年の経過研究によると、無呼吸・低呼吸指数5以上の「閉塞性」の患者さんは、脳卒中、死亡の発症リスクが1.97倍になると報告されました。

交通災害、労働災害のリスク

SASが無呼吸を繰り返して、じわじわと心血管に負担をかけ続けて起こす病気のせいで、本人の健康上の問題以外に、交通事故や労災などの社会問題が関わってきます。
① 交通事故の増加
一般ドライバーに比べて約3倍、SASがない方と比べて約7倍と、交通事故のリスクが大きくなってきます。
② 労働災害の発生増加
日中の異常な眠気によって、労災(職業運転手なら交通事故に発展)を引き起こす可能性が高まります。

生活の質(QOL)の低下

本人はまとまった睡眠時間を取っているつもりでも、SASを発症していると、無呼吸→呼吸再開の繰り返しで体は休んでいません。
また脳も呼吸再開のたびに目覚めるので、浅い睡眠しか摂れていないのです。
そのせいで、翌日に「異常な眠気や集中力の低下、作業能力の低下」を引き起こし、重大事故に発展する可能性があります。

いびきの治療法とは?

検査によって、閉塞性無呼吸と診断された患者さんには、保険適用可能な治療法として以下のものがあります。

マウスピース療法

下顎を上顎より前に出して固定することで上気道を広く保って、いびきや無呼吸の発生を防ぐのがマウスピースです。
マウスピースをつけて寝るだけで全ての症状が治まると云う程、効果的な治療法とは言い切れません。
中程度の閉塞性睡眠時無呼吸タイプに対しては比較的効果が見られますが、重症の方には治療効果が不十分と云う報告があります。
専門担当医とよく相談して治療を始めましょう。

CPAP(シーパップ)療法

寝ている間の無呼吸状態を防ぐために、CPAP装置から鼻に装着したマスクのエアチューブを通して、空気を送り続けて気道を開存させておく治療法です。
閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療法として現在、欧米や日本国内で最も普及し、「経鼻的持続陽圧呼吸療法」とも呼ばれています。
医療機関に一泊入院して治療に適した機器設定を行う(タイトレーション)など、鼻マスクを正しく装着することがポイントになりますので、使い方やコツに不明な点があれば専門医療機関、スタッフに相談する必要があるでしょう。

外科的手術

気道を塞ぐ部位を取り除く根治治療で、小児の多くや成人の一部に対して適用される場合があります。

  • SASの原因がアデノイドや扁桃腺肥大などの場合は、摘出手術が有効な場合があります。
  • UPPPといって軟口蓋(のどちんこ)の一部を切除する手術法もありますが、治療効果が不十分であったり、後に手術箇所が瘢痕化してSASが再発することが少なくないです。(※瘢痕:火傷や潰瘍などが完治しないで、隆起・陥没、色素沈着などを伴う痕となって残ること)
  • アメリカでは上顎や下顎を拡げる手術によって、狭い上気道を広げることも行われますが、日本でこの手術を行える医療機関は限られています。

いびきをかかない方法

いびきが激しいと息苦しそうで、どう見てもゆっくり眠って休んでいるようには見えませんよね。
いびきをかいてる当人だって、朝の寝起きが悪くなり、昼間は寝ぼけて体の倦怠感を感じます。
どうにかしていびきを改善し、質の高い睡眠を取りたいあなたへ「いびきをかかないで寝る方法」をご紹介します。

横向きに寝る癖

仰向けで寝ていると重力のせいで舌がのどに落ち込んで、上気道を塞ぎ易くなるので、それを予防するためには、横向きに寝る癖をつけましょう。
当人は意識せずに仰向けに寝て、いびきをかいているので、一緒に寝る人や家族の方に協力してもらい、いびきをかく度に横向きにしてもらうようにしましょう。
仰向けに寝るのを防ぐ器具も販売されているので、利用するのも良いでしょう。

枕の工夫

首や体をやや起き気味にすると、気道が通り易くなるので、枕を少し高めに調整しましょう。
そして、寝ている時の手の位置が胸の上にあると、心臓を圧迫して寝苦しくなります。
「バンザイ」の姿勢ように、手や腕を首や頬、あごに置いて圧迫させると上気道を狭くして、「いびき」の原因になります。

鼻呼吸

口呼吸を行っている方に、急に鼻呼吸をしろと云っても、なかなか出来るものではありません。
と云うわけで、口を閉じてしまう方法として、絆創膏を口に貼る手段もあります。
「マウスピース」なら絆創膏のようにかぶれる心配はありません。
3ヶ月を目安に鼻呼吸に挑戦してみてはいかがですか。

寝室の温度・湿度の調整

寝室の温度が低いと、鼻がつまり易くなります。
また、乾燥した空気は、上気道の粘膜が乾燥して炎症を起こし易くなります。
加湿器などを使ってお部屋の乾燥を防ぎましょう。

生活習慣の見直し

食べ過ぎや飲み過ぎは胃腸に負担をかけて弱ると全身疲労のせいで、夜いびきをかき易くなります。
また、咽頭を充血させたり粘膜を腫れさせると、いびきの原因になります。
タバコも良くないですが、アルコールの飲み過ぎは、上気道を支える筋肉を緩ませて、気道を塞ぎ、いびきをかき易くするので一番注意が必要でしょう。
睡眠薬を服用される方も同じく、注意しましょう。
週に何日か禁酒の日を作ったり、お酒の量を減らすなど、いびきの改善だけでなく、他の健康面のためにも生活習慣の見直しを考えてみてください。

口周りの筋肉を鍛える

口の周りの筋肉が弱いと、口が開いて口呼吸になってしまいます。
ガムやグミをよく噛むことで咀嚼筋を鍛えましょう。
食事では、固いものをよく噛むように心掛けましょう。

ストレスを溜めこまない

ストレスが溜まると、脳がより多くの酸素を必要として口呼吸になります。
寝る前のストレス発散法として、以下が有効ですよ。

  1. リラクゼーション効果のある音楽を聴いて心を落ち着かせる。
  2. 軽いストレッチをする。
  3. お風呂では湯船にゆったりと浸かる など。

いかがでしたか?
中高年のいびきには、肥満が大きく関係します。
生活習慣の改善で肥満を防ぐことが大切ですよね。
是非、参考にしてみてください。

       貴宝院 永稔【監修】脳梗塞・脊髄損傷クリニック 銀座院 院長 再生医療担当医師
ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

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