脳卒中ブログ

   

治療

脳卒中発症後の家族の介護を考える!

人気タレントの松坂桃季さんが脳卒中で倒れたって? ご心配なく、NHK朝のTV小説「わろてんか」の中での話です。リハビリで片麻痺でも歩けるまで回復したのに、二度目の発症で亡くなってしまいました。残念な展開でしたが、時代が戦前の話では仕方ないのでしょうかね。一度目の発症の時に適切な処置が取られて、しっかりした看護、介護がなされていたら、違った展開があったことでしょう。ここでは、大事な術後についての介護についてご紹介します。

発症時の心構えは?

身内が脳卒中で倒れて、病院に緊急搬送などされたら本人の体のことはもちろん、治療の期間や後遺症、回復の見込みなど、心配することがいろいろありますね。でも、取り乱してばかりはいられません。こんな時だから、あなた方ご家族にしか出来ないことや、やるべきことがたくさんあるのです。まずは介護やリハビリは専門の医師や介護士に任せて、あなた方ご家族は愛情を注ぐようにしてください。

①発症時の付き添い

脳卒中を疑う症状が出現した時、あなたが居合せたなら直ぐに救急車を呼んで、安静な体位を保って動かさないようにしましょう。呼吸や脈が保たれていない場合、心肺蘇生が必要になります。呼吸や脈が保たれている場合でも、吐いてしまったもので窒息したり肺炎を起こしにくくするため、出来るだけ横向きがベターです。救急車が到着したら、病院に一緒に付き添ってください。

②情報を伝える

脳卒中を発症した時の状況や本人の様子などをしっかり伝えてください。

  1. 脳卒中の発作はいつ、どのような状況で起きたのか。
  2. 本人の以前の様子。
  3. 飲酒や喫煙の程度はどのくらいなのか。
  4. 持病(心臓病、高血圧、糖尿病など)があるのか。
  5. 定期的に服用する薬があるのか。

冷静に思いついたらなんでもよいから、医師にちゃんと伝えてください。脳卒中診断の重要な手掛かりになることがあります。

③治療方針を判断

脳卒中の緊急検査で、外科的か内科的治療をするかなどの、以後の治療方針が決まります。
「インフォームドコンセント」と云うのを知っていますか? 現代医療では、「医療スタッフは患者さんやご家族に情報を積極的に提供して、理解・納得し、同意の上で治療を進めることが重要とされています。脳卒中発症後は本人の意識がない場合、あなたたちご家族が本人に代わって、医師の話を聞くことになります。

④面会では冷静に

入院直後や手術後の場合、医療機器がたくさんあったり、手術のために髪を剃られたりと、変わり果てた様子に、つい取り乱してしまうことがあるかもしれません。出来るだけ落ち着いて見守るようにしてください。本人に意識がある場合は尚更、ご家族の動揺は不安を増強させます。面会の時は、本人の気持ちも考え、さりげなく明るく接するよう心掛けましょう。手術後はICU(集中治療室)で経過観察して、安定したら、一般病棟に移されます。
ご家族の励ましで、本人は勇気づけられ、以後の治療のプラスに働くはずですから、出来る限り本人に付き添って、声をかけてあげてください。でも、病棟には他の患者さんもいらっしゃるので、大声を出さず、面会時間を守る等の病院のマナーは守りましょう。

⑤入院期間はどのくらい?

脳卒中の入院期間は脳出血や脳梗塞の程度によって違うので、軽症なら数日で退院できることもあります。でも、開頭手術を行った場合は入院期間が長くなるし、全身状態が悪かったり、合併症が併発した場合も長期になります。

⑥職場への連絡や対応

本人は外出出来ないので、“職場への連絡”や“健康保険、契約生命保険の入院給付金などの各種手続き”は、あなたが対応してください。職場への休職届などには、必要に応じて診断書を書いてもらって会社に提出しましょう。医療費が高額な場合は、高額療養費・限度額認定証明書の申請も必要ですよ。
入院生活に必要な着替えやタオルも、揃えなければなりません。病院によっては、必要・不必要なものがあるので、「病院入院時の手引き」などで確認しましょう。

⑦リハビリは後方支援が一番

脳卒中の後遺症では重い麻痺が残ることがあります。後遺症のショックは本人の方が大きいのですから、ご家族はあまり気を落とさずしっかり受け止めてください。本人がリハビリに取り組み易い環境を作るように努めましょう。あなたが「ガンバレ」と熱心になり過ぎる程、本人がプレッシャーに感じてリハビリを拒むこともあるので、無理矢理リハビリを強制したり、励まし過ぎは逆効果になることもあるので注意が必要です。

⑧帰宅かリハビリの続行かの選択

術後の急性期病院から移る際には、「帰宅」か「積極的なリハビリを出来る状態」か「積極的なリハビリが継続出来ない状態」なのか判断が必要です。
【後遺症が軽度で、元の生活を目指す】⇒退院
【積極的なリハビリを出来る状態】⇒(回復期)リハビリ病院へ転院
【積極的なリハビリを出来ない状態】⇒(療養型)病院などへ転院

という具合に、どちらかを判断するのには、医師やソーシャルワーカーに相談してください。本人の病状や年齢などを考え、本人の為になる場所を選びましょう。

⑨帰宅準備

退院が決まったら、早速準備に取り掛かり、自宅でのサポート体制を整えましょう。
在宅で十分な医療が受けられるかを心配するより、住み慣れた我が家へ戻れることの方が本人にとって、何よりも喜ばしいことでしょう。ご家族は協力し合って在宅療養が出来るよう、環境整備に心掛けましょう。介護保険制度や障害者自立支援制度などのいろいろな制度を活用して、本人にとっては良い環境、介護者にとっても介護の負担軽減につながる体制作りが大切です。その際は、医師、ケアマネージャー、福祉事務所などの医療、介護、福祉の専門家に相談して、協力をお願いしましょう。重度の後遺症が残った場合は、ご家族だけで介護するのは大変なケースが多いので、ヘルパーやデイサービスなどを利用して、あなた自身の負担を軽くすることが介護を長く続けられるコツになります。

⑩リハビリの意欲は会話から

脳卒中の発症後は、多くの方に多かれ少なかれ後遺症が残ります。病院から自宅に戻るとホッとしてしまって、リハビリが疎かになる方がいます。でも、リハビリは継続が一番大切です。途中で止めてしまうと、折角取り戻しつつあった機能が低下してしまう可能性が高いですよ。ご家族は「リハビリを続けなければダメ!」と叱咤しがちですが、それもまた逆効果になることもあります。厳しく接することも時には必要かもしれませんが、リハビリを継続する意欲が高められるようフォローしてください。
病院では身体機能の回復を目的に進められますが、自宅での維持期のリハビリは、ご飯を食べる・服を着ると云った日常生活動作(ADL)のレベルを上げるのが目的です。「リハビリ、リハビリ!」と、口うるさく無理に押し付けるのではなく、日常生活の中で自然と体を動かすきっかけ作り、例えば、一緒に散歩に行くなり、外出するなども良いでしょう。

リハビリ生活での福祉用具の用意

たとえ障害が残っても、健側も含めて残った機能を使って、自立した生活が出来るようリハビリが続きます。ここでは、片手動作、利き手交換した方が使い易い日用品(ADL用品)をネットからご紹介します。詳しくは、HPを参照してください。
https://item.rakuten.co.jp/abilities/c/0000000252/

・食事:片手動作、利き手交換した手で食べ易い食器。
① 【箸】-片麻痺で利き手交換した方や握力低下などで、箸が上手く使えない方には、ホルダー一体型の箸、ピンセットのように握ると箸先が合う箸がおススメです。
② 【スプーン・フォーク】-柄を太くして握り易くなったスプーンやフォーク、割りスプーン、手に装着して握る動作を補助するホルダーも便利ですよ。
③ 【皿】-滑り止めゴム付きの平皿や食器のフチに返しが付いて片手ですくうのに便利な皿などが重宝します。
④ 【コップ】-倒してもこぼれないコップ、首をあまり動かさなくても飲めるよう内側が傾斜したコップ、大きな持ち手のマグカップなど。ストローを固定できるクリップも便利です。
⑤ 【滑り止め】-食器の下に滑り止めマットや滑り止め素材のトレイなどがあれば、食事がし易くなりますね。滑り止めはいろんな生活シーンで助かります。

・整容・着替え:片手で使い易いように工夫されたボディケア用品や着替えなどに便利な自助具があります。
① 【ワンハンド爪切り】-台の裏に滑り止めが付いているので、手のひらで台を押し下げるだけで爪が切れます。
② 【ハンドブラシ】-吸盤付きでタイルやシンクに固定するので、健側の手の洗浄に便利です。
③ 【パラリンコップ】-片麻痺でも一人で楽々歯磨きが出来ます。
④ 【ボディウォッシュ】-長い柄で背中などが洗い易いです。
⑤ 【ボタンエイド(グッドグリップ)】-ボタンをかける細かい動作やつまんで穴に通す動作を助けてくれるロングセラー商品です。

・歩行:歩行の自立はリハビリの大きな目標です、歩ければ、移乗、食事、入浴、トイレなど多くの日常生活の自立が可能になります。
①【歩行器】-片手で行う方には、バランスがとり易いサイドウォーカー(ウォーカーケイン)が良いでしょう。体のバランスがしっかりして、外出できるなら四点杖や丁字杖にしましょう。
②【杖・先ゴム・杖ホルダー】-独特のグリップで、手のひら全体で体重を支える杖や、伸縮操作が片手で出来る杖、重心が常に杖の中心に戻る杖先ゴムなど、工夫された用品があります。

・料理:片手動作で料理出来るよう、食材や器具を固定できるまな板や調理台など工夫された道具がいろいろ揃っています。
① 【まな板・調理台】-食材をピンで刺して固定するまな板は片手で料理が出来ます。ボールを固定できる調理台は材料を混ぜるのに欠かせません。
② 【包丁・皮むき器】-包丁の持ち手の角度を使い易いように変えられる包丁や左手用のナイフも重宝ですよ。台に固定して片手で皮がむけるピーラーなどもあります。
③ 【片手動作に便利なキッチン用品】-押し付け式固定具のボトルオープナー、切り目に合わせて包丁を入れるだけで豆腐をさいの目に切れる専用まな板、水栓を手の甲で開閉できるレバー、など工夫されたキッチン用品が豊富にあります。

・生活便利グッズ:自助具には、片麻痺の方の「出来ないこと」「不便なこと」から考えだされたアイデアグッズがたくさんあります。
① 【利き手交換 書字文房具】-利き手が麻痺になった場合は、麻痺のない方の手で、食事や字を書く訓練をします。言語障害の場合は、筆談がコミュニケーションの重要な手段となります。手のひらでペンホルダーを掴み腕で字を書くことが出来ます。平たいハンドルを抑えれば、片手でハサミが使えます、など、いろいろ工夫されています。
②   【身の回り便利グッズ】-「いちどにありがとう」は片手で洗濯物が干せるハンガー、上部レバーとハンドルで握力の弱い方でも使えるマジックハンド、など、便利なものがあります。

Q&A:本人への面会のタイミングはいつ?

お見舞いの時期は下記の要因を加味して検討しましょう。

意識障害の有無

意識障害があり且つ緊急の治療が必要になる可能性がある場合は、お見舞いは治療に影響が出ない様に配慮して下さい。しかし、緊急治療を行うには、医師から患者様家族に対する説明・同意の取得がスムーズに行われる必要があります。実際、治療がスムーズに進められないケースも多く、直ぐに連絡がつく様にしておいた方が良いと思います。親族等以外は、お見舞いに行くべきではありません。

患者さんの全身状態

感染による発熱や呼吸状態の悪化など、全身が不安定な場合もお見舞いは最低限にしておきましょう。勿論、親族等以外はお見舞いに行くべきではありません。開頭術や血圧コントロールが不良な場合などでは安静状態が数日から1,2週間ほど続きます。その状態が落ち着いたのを見計らってお見舞いに行くのが良いでしょう。

後遺症の程度や種類

失語症や構音障害などで、上手くお話が出来ない可能性が高い場合は、相手のことを思いやって対応してあげて下さい。親族等以外では、ある程度会話が出来るレベルになってからの方が良いですね。担当の看護師や言語リハビリ担当の言語聴覚士に確認出来ればベストです。反対に、片麻痺は重度でも、その他の後遺症がなく、会話も問題ない場合は、リハビリを応援する目的でお見舞いするのはアリでしょう。

本人の性格

プライドの高い方は要注意かも知れません。
「トイレに1人で行けない」「ご飯も1人で食べられない」「ろれつが回らず、聞き取り難い」「口からよだれがこぼれる」など、「こんな姿を他人に見られたくない」と思う人は多いものです。リハビリを応援のつもりで行っても、本人にすれば、「必死な姿を見られたくない」と思っているかもしれません。病気前の性格からある程度予想できると思いますが、親族等以外では、事前にご家族に確認される方が無難でしょう。

親族等以外では、発症後すぐにお見舞いに行かない方がベターで、急性期病院から回復期病院へ転院した後がお見舞いの適切な時期と云えるでしょう。

いかがでした、
リハビリには本人の気持ちに立った介護が大事ですね。
是非、参考にしてみてください。

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再生医療(脳卒中・脊髄損傷の後遺症改善)福永記念診療所