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他のリハビリとの併用が効果的!脳梗塞の電気刺激法とは?

脳梗塞・脳出血の後遺症でリハビリが順調な方でも、手の肘が真っ直ぐに伸びない、気が付いた時には肘が曲がっていたなどと云われる方が多くいます。そのような方へのリハビリの物理療法アプローチとして電気刺激療法(低周波治療)がありますが、まだ統一された分類はありません。

脳梗塞の低周波治療の効果とは?

一般的に低周波治療(電気刺激療法)はマッサージ効果や腹筋の筋トレ効果のイメージが強いようです。でも、低周波治療の特筆すべき効果として、徒手療法のリハビリでは行えない筋収縮の促通(※)が有ります。
※促通(そくつう):神経系または神経筋の接合部に複数の刺激を加えることで、その効果が単独の刺激による効果の和よりも大きくなる現象です。

低周波治療器の特徴

低周波治療の特徴は徒手療法では行えない筋収縮の促通にあります。特に軽度の脳卒中で裸足歩行が目標の方には、麻痺側の足関節背屈と足関節外反の筋収縮を促通する必要があります。足関節背屈と足関節外反はそれぞれ前脛骨筋と腓骨筋群が主動作筋ですが、筋体積が小さく収縮のイメージも難しいこともあり、随意収縮が困難である場合が多いのです。その治療アプローチとして有効な方法が、低周波治療による前脛骨筋と腓骨筋群の筋収縮、随意収縮を促通する方法なのです。必要に応じて低周波治療を自主訓練することで、リハビリでの他のアプローチとの相乗効果が期待出来るのも、低周波療法の強みの一つですね。

電気刺激療法の種類

低周波刺激(LFCS)

低電圧の電圧の電流を300Hz以下の周波数で刺激するものを指しますが、1,000Hzまでの範囲を含むこともあるので、その定義が曖昧です。

機能的電気刺激(FES)

脊髄損傷を含む中枢性麻痺を対象とする中枢神経からの出力が減少、又は、なくなった末梢神経に電気刺激を行って得られた筋収縮を、タイミング良く動作を遂行する方法を云います。横隔膜ペーシングや最近では顔面麻痺筋に対するFESも開発されています。

治療的電気刺激(TES)

患者さんの随意運動能力の回復をめざす治療法です。脳卒中や脊髄損傷などの痙性による筋緊張の軽減や関節可動域の拡大、随意性(筋力)の向上、廃用性筋委縮の改善などが目的です。

経皮的電気刺激治療方法(TENS、EMS)

リハビリの臨床上、低周波治療には主に、TENSとEMSと云う2つの電気刺激の治療方法が有ります。具体的には、低周波治療器を使ってパルス電流(一瞬だけ流れる電流)を繰り返し体内に流す治療法です。TENSとEMSとでは大まかに云うと目的が異なります。TENSは主に皮膚への触覚刺激が目的で、EMSは筋収縮を目的としています。そのためTENSとEMSとでは、低周波治療器の周波数と電流量が異なっています。低周波の単位は、(Hz:ヘルツ)で表記されます。ヘルツは1秒間に何回パルス電流が流されたかを表す単位です。例えば50Hzと表記されていれば、1秒間に50回パルス電流が流されることになります。周波数には低・中・高の3つの周波が存在し、厳密に統一されている訳ではありませんが、1Hz~300Hzまでを低周波に分類しています。

TENSのリハビリ目的と効果

TENSでのリハビリは、主に疼痛緩和が目的です。疼痛には大きく分けて侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の2種類があります。

① 侵害受容性疼痛:切り傷や火傷、打撲、骨折などのけがをするとその部分に痛みを起こす物質が発生します。これが末梢神経にある「侵害受容器」という部分を刺激することで痛みを感じます。

② 神経障害性疼痛:何らかの原因で神経が障害されて、神経が敏感になり、痛みの信号が出過ぎる痛みのリハビリに対し、TENSが有効とされます。

疼痛緩和のメカニズム

1-筋肉が過緊張による短縮位や、持続伸長で牽引されたり、伸張位が保持されても疼痛が出現します。
2-筋肉が過緊張に陥ると筋内圧が上昇し、また、筋肉が伸張位で保持されても、筋内血管が筋繊維に圧迫されて筋虚血状態に陥り、細胞への酸素供給量が不足します。
3-その結果、強力な発痛物質であるブラジキニンが生まれ、拡散して侵害受容器の興奮度が高まって、疼痛が発生します。
4-低周波治療(TENS)により対象筋肉にパルス電流が流れて筋収縮が生じ、流れがなくなると筋肉は弛緩します。
5-筋肉の収縮・弛緩を繰り返し(筋ポンプ作用)はマッサージと同じ効果があります。
6-筋ポンプ作用によって発痛物質のブラジキニンが押し流され、筋虚血が改善され疼痛が緩和されるのです。150Hz前後の周波数で10~15分程度の施行で疼痛緩和が図られることが多いようです。

EMSのリハビリ目的

① 筋緊張亢進の緩和
② 筋トレ
③ 筋委縮進行の遅延
④ 浮腫軽減

EMSのリハビリ効果

① 相反神経抑制による筋緊張亢進の緩和作用
主動作筋の筋収縮の強度はα運動繊維の興奮度により、その調節は錘内筋のみではⅠa群繊維とⅡ群繊維が担っています。Ⅰa群繊維は筋収縮の程度に応じた主動作筋に興奮性の刺激を送り、拮抗筋には抑制性の刺激を送ります。Ⅰa群繊維の刺激により生じる拮抗筋の弛緩を相反抑制と云うのです。低周波療法で電気刺激による拮抗筋の筋収縮を促通することでⅠa群繊維を刺激して相反抑制を生じることが可能になります。拮抗筋に対して50Hz前後で15~20分程、低周波療法を実施すれば良いでしょう。

② 筋収縮作用による筋トレと随意収縮促通効果
相反抑制と重複する内容もありますが、主動作筋の筋トレや随意収縮促通目的でも低周波療法は活用されます。例えば、脳卒中痙性麻痺では前脛骨筋の随意収縮が困難になることが多いのです。その場合、低周波療法で前脛骨筋の筋収縮を生じさせることで、前脛骨筋の随意収縮が促通されます。またこの治療は、下腿三頭筋の筋緊張亢進を緩和する相反抑制の効果もあります。前脛骨筋に対して50Hz前後で15分程、低周波治療を実施すれば良いでしょう。

③ 脱神経筋に対する筋委縮の進行遅延効果
研究によると筋肉は末梢神経が損傷されると、4週間で筋委縮が著しく進行すると示唆されています。低周波療法では電気刺激による筋収縮を促通することで、脱神経筋に対する筋委縮の進行を遅延させる効果があります。ただ、神経の再生や再生促通は低周波療法では困難です。

④ 筋ポンプ作用による浮腫軽減効果
下腿三頭筋は筋ポンプで重力に逆らい静脈血流を心臓に戻す作用(ミルキングアクション)のため、下腿三頭筋の筋力低下は浮腫を生じさせる一要因となるのです。低周波療法で下腿三頭筋の筋収縮を促通することで筋ポンプ作用による浮腫の軽減が図れます。下肢挙上位に下腿三頭筋に50Hz程で15~20分程度パルス電流を流します。

脳梗塞の低周波治療器の種類(ESPURGE、TRIO300、IVES、ウォークエイド)

イトーESPURGE

ESPURGEは、持ち運びに便利で、場所を選ばずにいつでも治療が行えます。TENS、EMS、MCRの3つの電気刺激モードと、各モードを組み合わせて治療が出来るシーケンシャル機能があります。目的に合わせた多彩な設定で治療の幅を広げ、2CH完全独立出力によって、症状に応じた治療が可能になっています。

3つの電気刺激モード

:鎮痛から治癒の促進まで幅広く対応できます。

・TENSモード:痛みを鎮静させます。
・EMSモード:筋肉を刺激して、運動を促します。
・MCRモード:損傷部位の治癒を促進します。

シーケンシャルモード

:目的に合わせて、モードを組み合わせて治療の流れを自由に設定(SEQ.1.2)出来るので、治療の幅が広がります。

5つの進化したテクノロジー

① 2CH完全独立出力:2つのチャンネルで、それぞれ別モードの出力が可能で、症状に合わせた最適なモードを選択して治療が行えます。
② リチウムイオン充電池:充電はACアダプターを本体に接続するだけで、ランニングコストを抑えて、電池交換の手間要らずで、手軽に使えます。尚、充電時間は最大約4時間です。
③ カラー液晶+タッチパネル:視認性と操作性に優れ、モード選択からパラメータ設定まで、タッチするだけで簡単、快適、スムーズに行えます。
④ 2極グローブ導子(別売付属品):MCRモード専用に、マイクロカレントと手技を組み合わせて施術が行える2極グローブ導子もオプションであります。
⑤ 充実した機能:EMSモードでは、「ランプアップ/ホールドタイム/ランプダウン/オフタイム」機能によって、通電・休止時間を個別に設定出来ます。TENSモードでは、パルス幅1msの脱神経筋向けパラメータを搭載しています。また、リアルタイム定電流制御で低周波特有の嫌な刺激感を軽減しています。

仕様

定格電源:本体-DC7.4V(リチウムイオン充電池)、DC12V(ACアダプタ)
ACアダプタ-AC100V、50/60Hz
定格消費電力:24VA
出力電流:最大31mA±20%(実効値)
出力電圧:最大40V±20%(ピーク値、500Ω負荷)
出力周波数:最大400Hz±10%
ターマー:最大60分±5%(MCRモードで最大480分±5%)
サイズ:H151×W84×D23.5㎜
重量:約230g(リチウムイオン充電池含む)

TRIO300

麻痺した筋肉や筋力が低下した筋肉に電気刺激を与えて、筋肉の収縮を促して麻痺の回復や筋力増強を行います。TENS、筋肉刺激、マイクロカレント、1台で3つの電気刺激モードを搭載し、個々に合わせた治療法(ユーザープログラム)がプログラム出来ます。持ち運びに便利なコンパクトサイズなのに、幅広く本格的な治療が可能なことで、スポーツトレーナーの方々にも多く愛用されていました。ただ2019年現在、製造・販売終了となっていますので、上記ESPURGEが勧められています。

TENSモード:鎮痛メカニズムに基づいた刺激パターンを搭載し、パルス幅と周波数を任意に調整・設定が出来ます。

EMSモード(筋肉刺激):筋線維の種類(速筋・遅筋・混合筋)やトレーニングの目的に応じて、周波数・パルス幅通電時間・休止時間・出力などを任意に設定出来ます。

MCRモード(微弱電流刺激):EMSモード使用時のクールダウンや損傷部位の鎮痛、治療促進効果には、生体電流に近い微弱電流が有効とされ、MCRモードはATP(※)の増加を促進し、治癒促進効果を発揮します。
※ATP(アデノシン三リン酸):エネルギーの放出・貯蔵、物質の代謝・合成に重要な働きをして、筋細胞では筋収縮を担っています。

商品説明

① きめ細かな設定で、個別にプログラム出来ます:TENSモードではチャンネルごとに異なる周波数とパルス幅が設定可能で、個々に合わせた治療法もプログラム出来ます。(プログラム5本:各10ステップ)
② 再設定の手間を省く、メモリー機能:前回使用の治療モードを記憶しているので、再設定の煩わしさがありません。不揮発性メモリーの使用で、電池切れでも記憶は消えません。
③ 操作性の高さ、使いやすさを追求:大型LCD画面で設定操作がスムーズで、DC/ACに対応、デジタルタイマー、バッテリー表示、自動電源OFFなど、機能満載です。
④ 安全性重視:自己判断システム、定電流出力、出力ゼロスタート、パルス出力異常検出、キーボードロックなど、安全性重視の機能を標準装備しています。

仕様

定格電源:本体-DC9V
定格消費電力:420mA
出力電流: 25mA±20%(rms500Ω負荷時)
出力電圧: 40V±20%(ピーク500Ω負荷時)
発振周波数:0.3~400Hz±20%
ターマー時間: 60分
サイズ:H115×W69×D27㎜
重量:約145g(電池除く)

IVES アイビスプラスGD-611/アイビスGD-612

脳卒中上肢片麻痺に対しては、随意運動介助型電気刺激(IVES)装置を使用したIVES療法と、手関節固定装具を併用したHANDS療法が基本的な共通治療となります。手関節装具は手関節の状態に応じて、使用の可否が決まります。

IVES アイビスプラスGD-611

患者様の状態や症状に幅広く対応して、セラピストによるリハビリをサポートします。
・いろんな症状に対応できる豊富な治療モード:治療対象部位の筋活動電位に比例した電気刺激をリアルタイムにフィードバック(出力)出来るパワーアシストモード以外にも5種類の治療モードを搭載しているので、1台で様々な状態の患者様に使用できます。

・45人分の治療パターンを記憶:メモリ機能で45人分の治療パターンを名前を付けて記憶できるので、毎回の設定が不要です。

・GD-612の管理機能:GD-612と接続すれば、GD-612の治療条件の設定を行い、治療履歴確認機能で使用状況(治療時間、出力回数、刺激時間)を確認出来ます。

IVES アイビスGD-612

在宅で継続的なリハビリを可能にしました。
・シンプルな操作:GD-611による治療条件設定後は、開始スイッチを押すだけで使用できます。

・小型で軽量:携帯電話クラスのポケットサイズで、約95gと軽量です。

・簡単充電:専用充電器に置くだけで簡単に充電出来ます。

・上下肢に使用可能:パワーアシストモード以外に、センサトリガーモードも搭載し、1台で上肢、下肢それぞれの治療条件を記憶出来ます。

搭載モード

① パワーアシストモード(随意運動+電気刺激)
・治療対象部位の筋活動電位に比例した電気刺激を、リアルタイムにフィードバック(出力)します。

・筋活動電位をLED表示して、発揮した力を視覚的に確認できます。

・従来機種より感度上限が約20%アップし、随意筋活動の弱い方でも検出し易くなりました。

② 外部アシストモード(GD-611のみ対応)
・非麻痺側の筋活動電位に比例して、電気刺激を麻痺側へ出力するので、両側性のトレーニングが行えます。

・筋活動電位が検出できない部位にも使えます。
※このモード使用には2極導子コードの他にIVESゲル導子の追加が必要です。

③ トリガーモード(GD-611のみ対応)
・治療対象部位の筋活動電位が設定闘値に達すると、設定した刺激条件で電気刺激を出力します。

④ 外部トリガーモード(GD-611のみ対応)
・治療対象部位と異なる部位の筋活動電位が設定闘値に達すると、設定した刺激条件で電気刺激を出力します。
※このモード使用には2極導子コードの他にIVESゲル導子の追加が必要です。

⑤ ノーマルモード(GD-611のみ対応)
・設定した刺激条件で電気刺激を出力します。(筋活動電位は検出しません)

⑥ センサトリガーモード
歩行時に踵が床から離れるとセンサによるON/OFFを制御して、設定した刺激条件で電気刺激を出力します。
※歩行センサ(オプション)が必要です。

帝人ウォークエイド

脳卒中や多発性硬化症、脊髄損傷などの中枢神経障害による下垂足・尖足に歩行補助:改善を促す歩行神経筋電気刺激装置です。

特徴

① 米国イノベーティブニューロトロニクス社製で、欧米で1万人を超える使用実績が有ります。
② 膝下に装着し、歩行周期に合わせて下肢神経を電気刺激によって麻痺した筋肉を収縮させて、歩行補助・歩行能力改善につなげます。これは「脳卒中治療ガイドライン2009」において、慢性期の脳卒中で下垂足の方の治療法「機能的電気刺激療法」として推奨されています。
③ 従来の類似製品は、歩行周期検知の圧力センサーを踵部に装着するため、靴を履く必要がありましたが、本製品は本体内蔵センサーのため、裸足で使用できるようになりました。

低周波治療器の使用方法

物品により方法が異なる場合があるので、詳細な使用手順に関しては付属の説明書に従って頂き、一般的な方法のみを以下に述べます。

① 電極を肌に密着させます。
② 電源を入れて徐々に出力を上げながら、電極を動かしてモーターポイント(筋収縮が誘発され易い部位、筋腱移行部が多い)を探します。
③ モーターポイントが決定したら、出力と時間を調整します。

低周波治療(電気刺激療法)の禁忌事項

実際に使用する場合は、医師の指示に従ってください。
・ペースメーカー装着者
・心疾患を有する者
・重篤な不整脈を有する者
・静脈血栓症が認められる者
・血栓静脈炎が認められる者

【目的別の電気刺激条件】

目的脱神経筋痙性抑制末梢循環改善除痛
周波数(㎐)30以下20~1004以下10~100
パルス幅(msec)100以上0.2~0.3500.1~0.5
強さ疼痛の限度まで強縮が起こる強さ、または収縮閾値以下関節運動が生じる程度感覚閾値の2~3倍
適応可逆性の末梢神経障害などによる筋繊維化防止痙性を伴う疾患深部静脈血栓症など外傷、変形性関節症など

【筋力強化目的の電気刺激条件】

目的速筋遅筋廃用筋
刺激強度我慢できる最大(20~30mA)中等度

(10~20mA)

我慢できる程度

(~10mA)

周波数30~60Hz10~20Hz速筋(30~60Hz)

遅筋(10~20Hz)

パルス幅0.2~0.3msec0.2~0.3msec0.2~0.3msec
刺激時間10sec10sec30sec
休止時間50sec10sec30sec
1回の治療時間10~30min30~60min30min~数時間

いかがでしたか、自宅でも手軽に低周波療法が行える時代になっています。必要に応じて低周波治療を自主的に行うことで、リハビリでの他のアプローチとの相乗効果が期待出来るのが、低周波療法の強みになっています。

治療

再生医療(脳卒中・脊髄損傷の後遺症改善)福永記念診療所