気になるあなたの血管年齢は?脳卒中と関係の強い血管年齢とは?

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血液・血小板

《 目 次 》


「動脈硬化」と云う言葉は、皆さんもよく耳にされるとおもいます。
では「血管年齢」はどうですか?
脳卒中を心配するあなたにとっては、どちらも大変重要な要素を持った言葉です。
ここではそんな大事な血管について、ご紹介します。

血管年齢が実年齢より高いと脳卒中の危険!

「動脈硬化」は血管が老化することで、血管が硬くなったり血管が詰まったりして、血管内の血流が滞った状態を云います。
血管は年齢と共に老化が進み、動脈硬化も年齢と共に進行して行きます。若い時の血管はしなやかで弾力がありますが、年齢を経るにつれだんだん、硬くてもろくなっていきます。
「血管年齢」は血管の老化の度合いを表す目安となる指標を云います。
この血管年齢は「加速度脈波、足関節上腕血圧比(ABI)、脈波伝播速度(PWV)、心臓足首血管指数(CAVI)」と云う、簡単に出来る検査方法で、同じ年齢の健康な方の血管の平均値と比べることで判定します。血管年齢が実年齢より高いと、それだけ動脈硬化の進行が早いと判断出来ます。

測定方法とは?

以前は40歳代を過ぎると、加齢と共に血管年齢が上がるとされていましたが、最近は20歳代、30歳代と云った若い内から血管年齢が高くなる方が増える傾向にあります。
運動不足や食生活などの生活習慣病が関係していることが多いようです。
あなた自身の血管年齢を測定して、もし血管年齢が高めと判定されたなら、食生活に気を付け、意識して運動することなどで、血管年齢を下げるように努めましょう。

測定方法

① 加速度脈波計

加速度脈波計という機器を人差し指にはめると、約20秒で結果が判ります。
その仕組みは指の脈拍を見ることで、心臓から指先の末端の血管までの血流のスピードを測って算出します。
これによって末端の血管年齢を調べられます。
ただ、前日にアルコールを摂取したり、運動直後であったり、強い緊張状態である場合には誤差が出易くなるので、注意が必要です。
その為、一度の検査に終わらず、定期的な測定や状況によっては血管状態が判るエコー検査も受けて、実際の血管の状態を知ることも大切でしょう。

② 脈波伝播速度計(PWV/ABI)

両腕・両足首に血圧測定用のカフを、両手首に心電図記録用クリップ、胸に心音マイクをつけます。
腕とひざ下が出せる服装だったら着替える必要もないし、測定は5分程で済みます。
動脈壁が硬くなっていると動脈壁の弾力性がなくなって、動脈波の伝わる速度が速くなります。
四肢の血圧を同時に測定し、脈が伝わる早さ(PWV)から血管の硬さを、上腕と足首の血圧比(ABI)から血管の詰まり具合を調べます。
大動脈の血管の老化は50歳代以降に上がり易いので、40歳代、50歳代の方々は日常的に血管年齢を下げる努力が必要になって来ます。

③ 自宅で血管年齢を調べる方法

自宅の血圧計を使って、おおよその数値を知ることが可能です。
まず最初に「脈圧」です。
脈圧=最高血圧-最低血圧
脈圧で大動脈の動脈硬化の危険性が判り、目安は30~60になるので60以上の場合は、要注意です。
次に「平均血圧」の測定です。
平均血圧=脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)÷3+拡張期血圧
平均血圧で動脈硬化の危険性が判り、目安は100以下(出来れば、95以下)ですので100以上は要注意です。

運動や緊張で大量の血液を必要とすると、心臓のポンプ機能の早い動きで血管の中を血液が流れます。
その時、血管が硬化していると、その急激な流れを受け止めることが出来なくて、血管が傷つきやすい状態になってしまいます。
血管に傷が出来るとそれを修復するために血栓が作られ、その血栓のために血流が阻害されたり、止まってしまったりします。
そして脳梗塞や心筋梗塞といった病気が引き起こされます。

血管年齢を若返らせる対策はあります!

血管年齢を検査して、あなたの血液のドロドロ具合を知ることで動脈硬化を予防しましょう。

対策1:血液をサラサラにしよう

血液がサラサラになれば血流がスムーズに流れるので、動脈硬化になり難く血管年齢も低くなります。

【血液をサラサラにする食べ物】

血液をサラサラにする食材としては、タマネギやにんにく、納豆、魚などがあります。
ナットウキナーゼと云うのは納豆にしか含まれない酵素で、腸内の血栓融解酵素を活性化させて血栓を作り難くする働きがあります。
魚の中でも特にイワシやアジなどの青魚に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)は、血中の脂質のバランスを整えてきれいな血にさせる効果があります。
また、EPAと同様に青魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)は血管をしなやかに保ち、悪玉コレステロールと中性脂肪の減少が期待されます。
ビタミンEは米や麦などの胚芽や大豆、ごまなどの種子に多く含まれますが、最近私たちが口にする穀物の大半は精製されたもので、ビタミンEが欠乏し易くなってしまいました。
さらに、揚げ物やスナックと云った食生活の西洋化で酸化した油を摂る機会が増えて、体内のビタミンEの消費が逆に増えて来ました。
このように摂取量が減っているのに、体内消費が増えて、私たちはビタミンEの欠乏状態になり易いのです。
私たちが生きて行くのに欠かせない酸素ですが、体内で脂肪を酸化させて体に害となる過酸化脂質も作り出してしまいます。
この過酸化脂質は動脈硬化を促進し、血管に血栓を生じ易くさせて、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。
ビタミンEはこの過酸化脂質の発生を予防して、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールを増やす働きがあります。
ビタミンEの1日必要摂取量は最低30㎎ですが、40歳以上日本人の平均摂取率はその半分にも満たないのが現状です。
特に動物性脂肪を多く摂る方はビタミンEの摂取に積極的に取り組みましょう。
食物繊維は意識的に摂取することが大事ですよ。水溶性食物繊維は胆汁酸排泄を進めるので、コレステロール値を減少させます。
ゲル化すれば食物の移動が緩やかになり、糖質の吸収スピードが遅れて血糖値の急激な上昇を抑えられます。
塩分の摂り過ぎは血圧を上昇させて、血液をドロドロにしますが、カリウムを多く含む、カボチャやニラ、水菜などの食物を摂取すれば、塩分の排出を促して血圧を安定させることが出来ます。
体内の老廃物を排出するには、緑茶や麦茶、ウーロン茶も大きな効果が期待できます。
特に緑茶には消化酵素の働きを抑え、消化吸収のスピードを遅らせて血糖値の急激な上昇を抑えることで、中性脂肪値を下げられます。
またポリフェノールの一種のカテキンは抗酸化作用で、悪玉コレステロールの増加や酸化を防ぎます。

【血液をサラサラにするための運動】

運動不足は血液をドロドロになり易くします。
体を動かすことで余分なエネルギーを消費して血糖値を下げることが出来ますし、血液の通り道を広げ、体の隅々まで血液を行き渡らせます。
すると、酸素や栄養素も巡り易くなって老廃物をちゃんと回収し、同時に臓器の働きも活発になって血液をきれいに、そしてサラサラに出来ます。
特に有酸素運動(ウォーキングやエアロビクスなど)で継続的に弱めの力を筋肉にかけ続けることで、体内に蓄積された体脂肪を燃焼させます。
有酸素運動を開始して約20分は血中の脂肪を消費し、その後から皮下脂肪や内臓脂肪の燃焼が始まるので、ウォーキングなどは20分以上継続することがポイントです。
急激に無理な運動を行って、汗をかき体内の水分を多量に排出すると、かえって血液をドロドロにしてしまうので、水分補給はしっかりと行い、無理なく継続して行えるような、あなたに合った運動を行いましょう。

【血液をサラサラにするサプリメント】

ドロドロの血液の改善には食生活を見直すのが一番ですが、調理に時間を取れない、毎に日摂るのは難しい、味や臭いが苦手で食べられない、そう云った方にはサプリメントがおススメです。
サプリメントはカプセルに詰め込まれているので摂取し易いし、いつどこででも摂取ができ、長期間常温で保温出来て、保管方法や保管場所に困らないのが良いですね。
これからの健康維持のためにも食生活を見直し、適度な運動やサプリメントを毎日続けることが大切です。

対策2:喫煙によるダメージを受けた血管をケアしましょう

タバコの煙は化学物質が百種類以上含まれ、健康に深刻な影響を及ぼすことが判っています。
また、副流煙は周囲のタバコを吸わない方にも被害を与えています。
このように体に悪影響を与えることが周知の事実であるにもかかわらず、今でも喫煙者の人口は二千万人を超えているそうです。
これもタバコに含まれるニコチンの中毒性にあると云われています。
ニコチンには脳内のレセプターに作用して快楽物質のドーパミンが分泌されて、心地よい状態になります。
リラックス出来るのはこの仕組みによるのですが、ニコチンが体外に排出されると消失してしまいます。
また、ニコチン受容体が空になるにつれ離脱症状が出現し、不快な状態になってしまいます。
タバコが切れて不安になるのは、この離脱症状の作用のせいで、ニコチンが体内から完全に抜け切れない限り続き、中毒のような状態になっていきます。
タバコを止めない限り化学物質によるダメージを受け続けるわけですから、健康状態を保つのは大変困難です。
タバコでがんになることはよく知られていますが、そのほかにも脳卒中や心筋梗塞、動脈硬化、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、胃潰瘍、COPD、肺炎、喘息、うつ病、バセドウ病、骨粗鬆症、EDなど、全身の病気のリスクを高めることがわかっています。
例えば、最初のころタバコを吸った時に頭がクラクラしたのは、脳の血管が収縮して酸素不足に陥ったことが原因です。
このようなことが常態化することで、体のいろんな部位に不具合が生じ、タバコをやめたからと云って、元のように回復することはないのです。
正常に戻すには適切なケアが不可欠になって来ます。

【禁煙と共に行う血管年齢回復法】

血液量を増加させる運動として、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎを刺激するのが良く、スクワットやウォーキング、スキップなどが効果的ですよ。
これらを継続することで、少しずつ血流が元の状態に回復します。
食事ケアで効果的なのが「シナモン」で、漢方生薬として千年以上利用され、血液循環を活性化させ、諸臓器機能を亢進させる作用があります。

【禁煙外来で内服薬】

医療機関で行う禁煙外来の治療では、医療用ニコチンパッチ、ニコチンガム、バレニクリン(チャンピックス)などが保険適応で処方を受けられます。
これはニコチンの代わりにニコチン受容体に結合して、ドーパミンを少量分泌させます。
これによって、タバコを吸う必要性がなくなるので、自然に喫煙を止められるようになると云う仕組みです。
チャンピックスなどによる禁煙成功率は50%と云われていますし、12週間までは健康保険が適用されてリーズナブルなので、チャレンジの価値は十分あると思いませんか! 禁煙補助薬はドラッグストアなどでも購入は出来ますが、医師のアドバイスは非常に役立ちますし、血管年齢も調べて貰えるかもなので、この機会に医療機関への受診をお勧め致します。

いかがでしたか、
自分の血管年齢を知って、低めに保つ努力が必要ですね。
是非、参考にしてみてください。

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

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