脳出血の部位別症状と後遺症について
《 目 次 》
脳出血はさまざまな症状があらわれ、日常生活に支障をきたすような後遺症が残ってしまうことがある病気です。
前兆がなく突然あらわれることが多いですが、出血部位によって症状や後遺症が異なることがわかっています。
脳出血は脳の血管が破れて出血し、脳細胞を圧迫して損傷を与えてしまう脳血管障害のひとつです。
脳出血はさまざまな症状があらわれ、後遺症が残ってしまう場合も少なくありません。
出血しやすい部位がある程度決まっていて、出血部位によって症状や後遺症が異なります。
このブログでは、脳出血の部位別症状や後遺症などをご紹介します。
脳出血の種類と症状
脳出血の症状は出血した部位と出血量によって異なります。
出血量と出血部位によっては、大きな後遺症が残ることや命に危険が及ぶ場合があります。
脳の左右で同じ機能をはたしているわけではないため、どちら側にダメージを受けたかで症状が異なることがあるのです。
例えば、多くの人は左側の大脳に言語中枢があるため、左側の大脳にダメージを受けると言語障害の症状が現れることがあります。
脳出血の初期症状
脳出血は前兆などがなく突然現れることが多いです。
しかし中には、頭痛や吐き気などの症状が前兆としてあらわれる方もいます。
脳出血の初期症状と疑われる症状があらわれた場合は、速やかに救急車を呼んで出来るだけ早く適切な処置を受けられるようにしましょう。
脳出血の起こりやすい部位と症状
脳出血が起こりやすい部位はある程度決まっていて、出血した部位により症状が異なる場合があります。
具体的には、被殻出血、視床出血、小脳出血、橋出血、皮質下出血です。
被殻出血の症状
被殻は左右大脳の中央部に存在し、最もよく出血が見られる部位です。
被殻だけからの出血なら症状が軽いことが多いですが、内包や基底核部にまで出血がみられる場合は運動麻痺や感覚障害がみられるようになります。
被殻出血が起こると、出血があった反対側の手足の麻痺、出血が多いと意識障害などが現れます。
視床出血の症状
視床は、大脳と中脳の間にある間脳の一部を占める部位です。
視覚や聴覚などの感覚情報を集め、大脳皮質に送る働きがあります。
視床出血は被殻出血の次に多くみられ、特に高齢者に起こりやすい脳出血といわれています。
視床出血が起こると、感覚障害や半身の痛みを感じることがあります。
また眼球の位置異常が現れることがあることも視床出血に特徴的な症状です。
眼球が思うように動かせなくなり、勝手に寄り目や下向きになってしまいます。
小脳出血の症状
小脳は、脳幹の後ろ後頭部下方に存在し、運動のコントロールや目の動き、平衡感覚の調整などの役割がある部位です。
小脳出血が起こると、嘔吐や頭痛、激しいめまい、意識障害などがあらわれます。
また上手く立てない、上手く歩けないなどの運動機能異常があらわれることもあります。
血腫が大きくなると命に危険が及ぶ可能性があるため、手術を検討します。
橋出血の症状
橋は脳幹に含まれ、呼吸や顔の筋肉、眼球の運動を調整する働きがある部位です。
橋出血は脳出血の約10%を占めています。
橋は生命維持に重要な役割を担っているため、橋出血が起こると重い症状があらわれることが多いです。
具体的な症状としては、意識障害や呼吸障害、両手足の麻痺、嚥下障害、瞳孔が小さくなる縮瞳、眼球運動障害などです。
橋出血は、他の部位の出血と違って両側に症状が出るという特徴があります。
また急速に状態が悪化し昏睡状態となり数時間で亡くなってしまう場合もあるため、出来るだけ早く治療を受けることが大切です。
皮質下出血の症状
皮質下出血は、大脳の外側にある大脳皮質の下で起こる脳出血です。
前頭葉、側頭葉、頭頂葉の皮質下からの出血が比較的多く、他の脳出血に比べると症状が軽いといわれています。
現れる症状はどの部位で出血が起きたかに関係していますが、一般的には頭痛や片麻痺、感覚障害、構音障害、痙攣などです。
後頭葉の皮質下で出血が起こると、片目または両目の視野が半分欠けてしまう半盲といった症状があらわれることがあります。
脳出血の後遺症
脳出血を発症すると保存療法、外科療法いずれを受けたとしても、症状が完全に治らずに後遺症が残ることが少なくありません。
後遺症が残るかどうかは、部位や出血量、範囲などが関係していると考えられています。
日常生活に支障をきたすような重い後遺症が残ってしまうこともあります。
- 代表的な後遺症は以下の通りです。
- 運動麻痺
- 感覚障害
- 構音障害
- 嚥下障害
- 目の障害
- 高次機能障害(記憶障害、失語症など)
脳出血の後遺症は、リハビリテーションを早く始めるほど改善しやすいことがわかっています。
また当クリニックでは、損傷を受けた脳細胞を再生させる幹細胞治療を提供しております。
残念なことですがまだ幹細胞治療は、失われた機能を完全に元に戻す効果が期待できるものではありません。
しかし、失われた機能を改善しリハビリテーションの効果を高めることが期待できます。
幹細胞治療に興味をお持ちになっている方は、気軽にご相談ください。
まとめ
脳出血の部位別症状や後遺症についてご紹介しました。
脳出血が起こった部位、出血量などによって症状や後遺症の程度が異なります。
出血部位によっては、迅速に対応しないと命の危険がある場合もあるため注意が必要です。
また治療を受けるのが遅くなるほど症状も後遺症も重くなる傾向があるため、出来るだけ早く治療を受けることが大切です。
もし後遺症が残ってしまった場合は、専門家の指導を受け粘り強くリハビリテーションに取り組むことをおすすめします。
脳卒中・脊髄損傷、再生医療に関するご質問・お問い合わせは、
こちらのメールフォームよりお願いします。
ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。