脳卒中ブログ

   

基礎知識

脳卒中の警告サイン。麻痺の症状が現れたらすぐに受診を。

もし下記のような症状が一つでも“突然”現れたら、直ちに救急病院、または脳神経外科や神経内科のある病院にかかりましょう。

突然の麻痺

  • 突然、目が見えなくなった、または、見え難くなった。
  • 突然、顔や手足がしびれたり、脱力感が出た。
  • 突然、めまいを起こしたり、うまく歩けなくなった。
  • 突然、言いたいことが言えなくなったり、相手の言葉が理解できなくなった。
  • 突然、激しい頭痛に襲われた。   など。

「以上のような症状が出たら、どうして早く病院へ行かなければならないの?」って、
そんな呑気なことを言ってると、脳卒中のゴールデンタイムを逸してしまいますよ!

ゴールデンタイム

脳卒中の「救世主」とまで謳われている「t-PA(アルテプラーゼ)静注」は、血栓を
溶かす薬を静脈から点滴注射する方法です。
後遺症の軽減や社会復帰の可能性が、明らかに従来の方法より上回るため、期待は大きいものがありました。
でも、当初の適応が「発症から3時間以内」と限定されていたこともあり、実際に投与された患者さんは全体の5%に留まっていました。
ただ、この制限時間は2012年の薬事・食品衛生審議会(厚労省)によって、「4.5時間以内」へと緩められました。
患者さんの搬送時間や事前検査時間を考慮すると、この1.5時間の差は大きく、投与の機会が増えたことは喜ばしいことです。
「脳卒中の勝負タイムは4.5時間」が今の合言葉ですが、「ゴールデンタイムは3時間」であることに、変わりはありません。
出来るだけ早い受診があなたを救い、回復を早めます。

片麻痺

片麻痺とは脳の病変などにより、体の右または左半分の機能が失われて、自分の思いどおりに動かすことが出来なくなる症状のことです。
片麻痺は病名ではなく、病気によって引き起こされた症状または、後遺症ととらえられています。
片麻痺の多くは脳梗塞、脳出血、あるいは脳の腫瘍などの脳の病気により神経が障害
されて起こるとされています。
手足を動かす神経の走行は、脳から発して途中で左右に交差しています。
ですから、右脳から走行した神経は体の左半身を、左脳から走行した神経は体の右半身の機能を担当するようになっています。
このことから、一般に右脳が障害されると左半身に片麻痺が生じ、左脳が障害されると右半身に片麻痺が生じることになります。
片麻痺による体の機能の完全な回復は難しく、程度の差はあっても一般的に永続的に残るもので、その後の生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。
治療の多くは、脳病変の再発防止のための内科的治療と、体の機能改善のための運動療法などのリハビリテーションがメインとなります。

片麻痺はなぜ起こるの?

発症の原因となるものの中でも、脳卒中が主とされ、他には一過性脳虚血発作、脳の腫瘍、脳炎、慢性硬膜下出血、てんかんなどと云った脳に障害をあたえる疾患によっておこるとされています。
また、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎などの脊髄に関係する病気によっても起こることがあります。

片麻痺は治るの?

「先生、私の手足、動くようになりますかね?」
これは脳卒中患者から一番多く聞く、悲痛な問いかけです。
脳出血や脳梗塞によって脳細胞が壊死してしまうと、障害された脳とは反対側の手足に
麻痺が生じてしまいます。
これを片麻痺(運動麻痺)と言い、その回復過程には個人差はありますが、以下の3つによって左右されます。
・年齢
・脳の障害部位とその大きさ
・意識障害の有無
麻痺回復は一般的に、発症から2~3カ月あたりがピークと云われます。
その後は緩やかな回復を辿り、発症から6カ月~1年でほぼ打ち切り状態(プラトー)に
なると云われています。
6カ月を過ぎた時点で、手足に麻痺が残っている場合は、その状態から完治することは
ほぼ不可能となってしまいます。
反対に、発症早期から麻痺が軽く、ある程度動かせる方の場合は、日常生活で支障なく
過ごせるレベルまでの麻痺の回復が認められると云われています。
脳梗塞の場合は、極早期に治療を行えば麻痺がほとんど残らないケースもあります。
ただ、意識障害がある場合は、麻痺の回復の妨げになるかもしれません。
脳出血の場合でも。障害部位が身体の運動に関係ない領域だったり、極めて小さい出血であれば麻痺を残さないこともあります。
しかし、麻痺がないからと云って安心はできません。
一度脳卒中を発症した方の再発リスクは非常に高いものになっています。
再発予防の徹底に努めましょう。

麻痺を改善する治療法

・促通反復療法(川平法)
テレビで話題になった麻痺の治療法です。
麻痺した手足に正しい運動を反復させることで障害された神経回路の再建を図ります。
患者さん自身の集中力を必要とする治療なので、認知症の方は適応外です。
また、明らかに麻痺が重く、関節にこわばりのある場合も適応外になる可能性があります。
川平法は早く行えば、より良いと云われているので、麻痺の回復過程に合わせて行うことが重要とされています。
・再生医療
「骨髄幹細胞」と呼ばれる細胞を使った治療法で、主に脳梗塞患者を対象に行われています。
骨髄幹細胞を自分の骨髄から抜き取って、培養した後に静脈から投与します。
すると、梗塞部分の神経細胞が再生するというものですが、残念ながら、この治療はまだ、臨床試験段階で、まだ受けることは出来ません。
しかしながら、今後の展開が非常に期待されているので、記述しておきました。

後遺症として残った運動麻痺といかにうまく付き合っていくかが、以後のカギになります。日々の生活の中でも麻痺した手足を極力使うようにして、使用頻度を落とさないよう心掛けましょう。
そのためにも、退院後のリハビリを継続し、適切なアドバイスをしてもらいましょう。

介助方法

「食事介助」のポイント

食事介助では食べ物や唾液などが誤って気管に入ってしまう誤嚥を防ぐことが大事です。なるべくご自身で食べてもらえるよう、自助具(介護用食器具)も活用しましょう。
【食事前準備】
・リラックスしてゆっくり食事が出来る環境を整えましょう。
・トイレを済ませ、入れ歯の場合は装着を忘れないようにしましょう。
・あらかじめ声をかけ、意識がはっきりしていることを確認しましょう。
・手は洗うか、おしぼりで拭き、うがいなどでお口の中をきれいにしておきましょう。
・嚥下障害のある方には、嚥下体操や口腔マッサージなどで筋肉の緊張をほぐして
おきましょう
【安全な姿勢】
座位の場合
・いす(車椅子も同様)に深く座り、足は必ず(車椅子の場合はフットサポート)床に
つけましょう。
・肘がつく高さのテーブルについて背筋をのばし、少し前かがみにさせましょう。
・首が後ろに反りかえると誤嚥の原因にもなるので、クッションや車椅子用ヘッドレストなどで支えましょう。

ベッドの場合
・ベッドは必ず30度以上(体の状態に合わせて約30~90度)に起こしましょう。
・後頭部に枕やバスタオルなどを入れて、あごを引いた姿勢を保ちましょう。

【介助者の位置】
・介助者は被介護者の方の横に座り、目線は同じ高さにしましょう。
・被介護者の方の麻痺のない側(健側)に座りましょう。

【お食事の介助】
・まず水分や汁物からお口へ運びましょう・
・食べ物は横か、または下からお口に入れましょう。
・一口目は誤嚥のリスクが高いので、十分注意しましょう。
・食べ物はティースプーン1杯ほどの量を目安にゆっくりお口に運びましょう。
・飲み込んだことを確認してから、次の分をお口に運びましょう。

「入浴介助」のポイント

こまめに声をかけて、様子をよく観察しながら介助しましょう。
被介護者の方の安全と介助者の負担軽減のために、入浴補助用具もうまく利用しましょう。

【入浴前の準備】
・空腹時や食事直後の入浴は避け、トイレは済ませておきましょう。
・バイタルチェックを行って、体調がすぐれない場合は入浴を見合わせましょう。
・あらかじめ脱衣室や浴室を温めて、室温25度くらいにしておきましょう。
・滑り難い椅子などを用意して、転倒には十分気をつけましょう。
・衣服を脱ぐ時に、床ずれや皮膚トラブルがないかを確認しましょう。
・片麻痺がない側(健側)から脱ぎ、麻痺がある側(患側)から着せましょう。

【入浴の介助】
・湯温は夏場や血圧が高い場合は38度、冬場は40度くらいが適しています。
・入浴時間は10~15分くらいで、浴槽につかるのも5分程度にしましょう。
・心臓に遠い方、足元からお湯をかけて温めていきましょう。
・ご自身で洗える部分はなるべく自分で洗ってもらいましょう。
・入浴後もバイタルチェックを行って、水分補給をして休憩させましょう。

「移動介助」のポイント

転落、転倒などのリスクを伴う移動介助では、被介護者の方の状態をしっかりと把握し
事故を防ぎましょう。

【寝返る(体位変換)】
・2~4時間おきを目安に寝返り介助を行い、床ずれや拘縮、血行障害などを予防しましょう。
・被介護者の方の両膝を立てて、腕を組み、頭を上げると介助がし易くなります。
・スライディングシートや体位変換用シーツなどを活用して負担を減らしましょう。

【起き上がる】
・ベッドの高さは被介護者の方の足が座った状態で床につくように調整しましょう。
・力まかせにしないで、被介護者の方と息を合わせて少しずつ起き上がるようにしましょう。
・寝返り介助で体を横向きにして、両足を下ろしてから手前に引くように起こしましょう。

【立ち上がる】
・自立バーなどにつかまってもらい、転倒しないように気をつけましょう。
・被介護者の方のお尻を少しずつ前にずらして、浅めに座ってもらいましょう。
・被介護者の方にお辞儀をしてもらい、重心が前にかかってから立ち上がるとスムーズに出来ます。
・介助者は腰痛予防のためにも、足を大きく開いて腰を落として行いましょう。

【歩く】
・介助者は麻痺がある側(患側)に立ちましょう。
・杖をつく場合は、基本的に介助者は反対側に立ちましょう。
・被介護者の方の手を強く握ると恐怖心を感じるので、軽く添える程度にしましょう。

「更衣介助」のポイント

「麻痺があるから大変そう】などと全てを介助してしまうと、出来ることも出来なくなっ
てしまうので逆効果です、出来るだけ被介護者の方にやってもらうことが大切です。
被介護者の方が着替えを自ら行うことで自信になり、リハビリにもなります。

・更衣介護にあたっては、『脱健着患』を頭に入れて行いましょう。
脱健・・・脱ぐ時は麻痺のない方から
着患・・・着る時は麻痺のある方から
・衣服に工夫をすると着替えがし易くなります。
1-前開きタイプの衣類はボタンを全て取り外して、マジックテープに付け替えましょう。
2-上着を脱ぐ時に肘が引っかかって脱ぎ辛い場合は、脇下に布を付け足してゆとりを作ったり、袖口に引き紐を縫い付けたりして、脱ぎ易くしましょう。
3-被るタイプの衣類は、伸縮性のあるものや脇下に余裕のあるものを選びましょう。
4-ズボンの場合も、ウエスト部分の両脇に引き紐を縫い付ければ、着替えの時に引き上げ易くなり、被介護者の方の自ら出来る範囲が増えます。

些細なことでも、被介護者の方が自ら着替えられるように工夫してあげましょう。

「トイレ介助」のポイント

【基本的手順】
・トイレに入り、被介護者の方に手すりをしっかり握ってもらいましょう。
・手すりを握って立ったままの状態で、介助者は声をかけてから、後ろからズボンや下着を下ろしましょう。
・被介護者の方は手すりを握り、介助者は前方から被介護者の方の腰を支えながら、両足の間に介助者の片足を入れて、お辞儀するようにゆっくりと便座に座ってもらいましょう。
・座位が保てる場合は、「終わったら呼んでください」と声をかけて介助者は一旦退室して、排泄が終わるまでドアやカーテンの外で待ちましょう。
カギはかけずに、何かあればすぐ対応できるようにしておきましょう。
・「排泄が終わった」と合図があったら、介助者は再びトイレに入りましょう。
被介護者の方に手すりをしっかり握ってもらって、介助者は腰を支えて少し浮かせます。 前から後ろに向けてお尻を拭いてください。
※健康状態を把握するために、排泄物や皮膚の状態を素早くまた、さりげなく観察するようにしましょう。
・介助者はズボンや下着を膝のあたりまで上げておきましょう。
手すりを握った状態で、被介護者の方の腰を抱えて両足を介助者の足で支えて、下着やズボンを上げます。

【ポイント】
1-プライバシーを確保しましょう。
2-転倒などの事故に注意しましょう。
3-排泄のサイクルを把握しましょう。
4-言葉のかけ方や視線に気を配りましょう。
5-急がしたり責めたりしない。
6-おむつを安易に使用しない。

「整容介助」のポイント

整容とは、身だしなみを整えること(歯磨き、洗顔、整髪、爪切り、ひげそりなど)を言います。
生命維持には直結しませんが、整容行動には被介護者の方の生活意欲を向上させ、身体状況に良い影響を与えると考えられています。
整容は、身体の清潔を保つ上で重要な日常生活動作の1つであり、今まで普通に出来たことであるだけに、それが行えなくなった時、人は自信を失ってしまいがちです。
整容は被介護者の方が自ら行いたい・行うことで自立にも繋がり、身体的、精神的な向上に役立つと期待されています。

良肢位とは

良肢位とは、拘縮(関節の周囲の組織や筋肉が堅くなって関節が動かせなくなった状態)が起こる可能性がある場合や、麻痺がある場合に日常生活への支障を最小限に抑えられる角度を保つ肢位を言います。
例えば、腕をまっすぐに伸ばした状態で固まってしまって、自分では動かせないと何を
するにも不便になってしまいます。
そこで、なるだけ日常生活に支障がない角度に整えておくことで、そのリスクを抑えるのです。

基本肢位と良肢位

手のひらを前に向けて、静止直立した状態を「基本肢位」と呼び、この状態の各関節の
角度を0度として、各部位の良肢位の角度がおおよそ定められています。
関節拘縮が生じないように、自動的・他動的に関節を動かすことはもちろん重要ですが
もし関節が動きにくい状態に陥っても、日常生活でなるべく不便にならないよう、
良肢位を意識しながら安静位をとるようにすることは大変重要なことです。
(良肢位)

  • 肩関節:60~80°外転/30°屈曲/20°外旋
  • 肘関節:90°屈曲/前腕回内外中間位(0°)
  • 手関節:10~20°背屈(軽くテニスボールを握ったぐらい)
  • 股関節:15~30°屈曲/0~15°外転/0~10°外旋
  • 膝関節:10~20°屈曲
  • 足関節:5~10°底屈

(基本的な関節な運動です)

関節可動域訓練(ROM訓練)とは

関節には動かせる範囲があり、これを“関節可動域”と言います。
この関節可動域を保ちながら、拘縮を予防する目的で行われるのが“関節可動域訓練(ROM訓練)”です。

ほとんどの拘縮は、必然的に起こるものではなく、むしろ麻痺や痛みなどで“動けない”、”動かさないこと“が原因で起こるものと考えられています。
したがって、関節可動域訓練(ROM訓練)によって自身や他人の力を借りて、積極的に体
を動かし、拘縮を防ぐ必要があるのです。

関節可動域訓練のチェックポイント

関節可動域訓練は、理学療法士や作業療法士、看護師などの専門家だけでなく、ご家族で
ある介護者が行うこともあります。
そのため、関節可動域訓練を効果的かつ安全に行うために、いくつか押さえておきたい
ポイントがこれです!

  • 1日2回(朝夕)程度、毎日行いましょう。
  • 関節を温めてから行うと関節が柔らかくなって、痛みが少なくなります。
  • 患側(麻痺のある側)、健側(麻痺がない側)を問わず、日常生活の動作に必要な全ての関節を動かしましょう。
  • 一回の運動は3~4秒かけてゆっくりと、無理のない範囲で動かしましょう。
  • 回復の程度や症状に応じて、同じ動きについて、自動、自動介助、他動を使い分けて行いましょう。
  • 高齢者は筋肉や関節が硬くなり易いので、維持期に入った方でも、関節可動域訓練を毎日行って拘縮予防に努めましょう。

※他動運動―意識がはっきりしない場合、あるいは安静が必要な場合は、他人によって関節可動域訓練を行います。
自動介助運動―自分自身で少しでも動かせる場合は、介助してもらいながら自発的に関節可動域訓練を行います。
自動運動―自分自身で動かせる場合は、本人主体で関節可動域訓練を行います。

基礎知識

再生医療(脳卒中・脊髄損傷の後遺症改善)福永記念診療所