絶対放置NG!脳卒中の危険な前兆を知って早期発見!

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脳卒中の危険な前兆を発見

《 目 次 》


脳卒中は日本人に大変多い病気で、日本人死亡原因第一位の時代が長く続きました。
現在でこそ、がんや心疾患、肺炎に次いでいますが、まだ第4位と多くの日本人の死亡原因を占めています。
そんな脳卒中の現状をご紹介しましょう。

日本人の死因

1980年ごろまでは脳血管疾患(脳卒中など)が永く第一位を占めていました。それ以降はがんがトップを続けています。

【死因別死亡者割合】

順位 第1位 第2位 第3.位 第4位 以下
病名 悪性新生物(がん) 心疾患 肺炎 脳血管疾患 その他
割合 28.6% 15.1% 9.3% 8.6% 38.4%

厚労省「平成27年人口動態統計」より

悪性新生物とは、いわゆる「がん」のことで、日本人死亡者全体の30%が、がんで亡くなっていることになります。
でもこれは、日本が世界でも有数の長寿国で、医療技術も高いので、がん以外の病気で亡くなる人が減っているために、がんによる死亡者が割合的に増えている結果と言えます。
諸外国の死亡原因で、がんが占める割合は、フランス28.2%、イタリア27.0%、イギリス27.0%、ドイツ25.7%、アメリカ22.8%となっており、日本の29.5%が突出して多いというほどではないようです。
がんは免疫力が落ちる高齢者ほど罹りやすい病気なので、少子高齢化が進むほど、がんになる人が増え、死亡率も高まってゆくのです。

【年代別死因順位】

年齢 第1位 第2位 第3.位 第4位 第5位
20~24 自殺 不慮の事故 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患
25~29 自殺 不慮の事故 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患
30~34 自殺 悪性新生物 不慮の事故 心疾患 脳血管疾患
35~39 自殺 悪性新生物 心疾患 不慮の事故 脳血管疾患
40~44 悪性新生物 自殺 心疾患 脳血管疾患 不慮の事故
45~49 悪性新生物 自殺 心疾患 脳血管疾患 不慮の事故
50~54 悪性新生物 心疾患 自殺 脳血管疾患 不慮の事故
55~59 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 自殺 不慮の事故
60~64 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 自殺 不慮の事故
65~69 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故
70~74 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故
75~79 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故
80~84 悪性新生物 心疾患 肺炎 脳血管疾患 不慮の事故
85~89 悪性新生物 心疾患 肺炎 脳血管疾患 老衰
90~94 心疾患 肺炎 悪性新生物 脳血管疾患 老衰
95~99 心疾患 肺炎 老衰 脳血管疾患 悪性新生物
100~ 老衰 心疾患 肺炎 脳血管疾患 悪性新生物

厚労省「平成22年人口動態統計」より

日本における脳卒中

日本人死亡原因の第一位を長く続けていた脳卒中は、現在も減ったとはいえ、毎年約11万人、死亡全体の8.4%の方が亡くなっています。
また、死亡原因としてはかなり減ってきているものの、逆に脳卒中を発症する患者さんは増加傾向にあり、全国で約118万人の患者さんがいるといわれています。
社会の高齢化が進む日本において、脳卒中患者さんの増加は大きな問題となって来ており、脳卒中後遺症が原因で体に障害を抱える方が増えて、要介護の原因のトップ、約18%を占めています。

【介護が必要となった主原因順位】

順位 病名 割合
第一位 脳血管疾患(脳卒中など) 18%
第二位 認知症 17%
第三位 高齢による衰弱 13%
第四位 骨折・転倒 12%
第五位 関節疾患 10%
第六位 心疾患 5%
第七位 パーキンソン病 3%
第八位 糖尿病 3%
第九位 悪性新生物(がん) 2.4%
第十位 脊髄損傷 2%
第十一位 呼吸器疾患 2%
第十二位 視覚・聴覚障害 1%
第十三位 その他 8%
第十四位 不明 1%
第十五位 不詳 2%

厚労省「平成25年国民生活基礎調査」より

日本人は欧米人に比べて脳卒中になり易い

高血圧が脳卒中のカギとなるリスク因子であることが、日本人は欧米人と比べてかなり強いようです。
西洋風の食生活が当たり前になってきてから、高血圧症患者数は急速に増えてきました。
特に欧米と比べても脳卒中の罹患率と死亡率が目立って高くなっています。
最近、欧州と北米で血圧治療のガイドラインが発表されましたが、これが日本での実際の臨床現場に合うものであるかどうかという懸念が投げかけられています。
高齢の患者さんには特に問題があり、欧米のガイドラインが推奨する血圧レベル(150/90㎜Hg)では、脳卒中のリスクがむしろ高くなる可能性があります。

日本人の血圧目標値

2009年度に改定された日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2009」では、診察室血圧=140/90㎜Hg以上、家庭血圧=135/85㎜Hg以上を「高血圧」としています。
ただ、糖尿病などの慢性疾患がある場合は基準値が低めに設定されます。
これらは海外の一般的ガイドラインより厳しいものとなっています。

日本人の血圧状況

平成26年国民健康栄養調査によると、収縮期(最高)血圧の平均値は、男性が135.3 ㎜Hg、女性が128.7㎜Hgとなっており、収縮期(最高)血圧が140㎜Hg以上の方の割合は、男性が36.2%、女性が26.8%と、この10年間では男女共、着実に低下してきています。
収縮期血圧の平均値も、140㎜Hg以上の方の割合も減少傾向にあり、脳卒中の死亡率は大きく低下してきていますが、それでも海外と比べると脳卒中の発生割合はまだ高いようです。

早期発見が大切!要介護・寝たきりになる原因、第一位

厚労省調査によると、要介護状態になる主な原因の第一位は脳卒中(脳血管疾患)18.5%となっており、また、寝たきりの状態になる主な原因の第一位にもなっています。

【寝たきりの状態になる主な原因の順位】

順位 病名 割合
第一位 脳血管疾患(脳卒中) 32.5%
第二位 認知症 20.1%
第三位 骨折・転倒 11.2%
第四位 高齢による衰弱 9.1%
第五位 パーキンソン病 5.0%
第六位 脊髄損傷 2.9%
第七位 糖尿病 2.7%
第八位 関節疾患 2.7%
第九位 呼吸器疾患 2.3%
第十位 心疾患(心臓病) 1.6%
第十一位 悪性新生物(がん) 1.1%

厚労省「平成25年国民生活基礎調査」より

寝たきりの状態になる原因の第一位の「脳血管疾患(脳卒中)」は全体の3分の1を占め、他の原因を大きく上回っています。
その結果、日本は長寿国でありながら、同時に寝たきりが非常に多いということで、健康寿命が短くなっている要因となっています。

心房細動に注意

健康で長生き、寝たきりにはなりたくないと誰でも願うのですが、厚労省2016年国民生活基礎調査によると、ほぼ寝たきりの要介護度5の第一位は脳卒中で、その原因の約3割が心原性脳梗塞を引き起こす心房細動です。
心房細動は寝たきりの原因となる危険な不整脈ですが、無症候性心房細動という症状が出ない場合も多いので、健康診断や脳梗塞になって初めて心房細動が分かることも珍しくないです。
心房細動になると、心拍が規則正しく打たなくなって、心臓内の血液がよどみ、血栓が生じます。
この血栓が血流に乗って脳の血管に詰まり、脳梗塞になってしまいます。
また心臓のポンプ機能が失われて心不全を発症することがあり、発作性から持続性、永続性と進行する不整脈となります。
その異変を早く察知するには、普段から自分で脈をとることが有効です。
脈が飛んだり乱れがあったり、速すぎて脈を取りづらい場合は不整脈を疑ってみましょう。
生活習慣病がリスクとなって発症する心房細動は、高齢になればなるほど危険性が高まる病気です。
早期発見・治療が寝たきりを防止し、健康寿命を延ばします。

健康寿命を延ばすポイント10

  • 食事は1日3回、朝食は抜かないこと。
  • 積極的に魚を食べること。
  • 抗酸化物質(ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなど)を取り入れること。
  • 腹八分目でカロリー制限しましょう。
  • 「ベジフル7」(野菜5皿、果物2皿)を心がけましょう。
  • お酒なら赤ワインを飲みましょう。
  • 情報をアウトプットすること。
  • 今日の自分を記録すること。
  • 定期的、継続的に体を動かすこと。
  • ストレスは毎日解消しましょう。

脳卒中と年齢の関係

若いあなたは、「脳卒中なんてまだ、考えられないわ。
だってあれは50代くらいからの病気でしょ」そんな風に思っていませんか?
でも最近、30代・40代の女子アナや有名タレントが脳梗塞になったなどと話題になっていました。
若年性脳梗塞と云われ、もう脳卒中が高齢者の病気とは云えなくなってきました。

脳卒中各病型の年齢層別割合(%)

病型 60歳未満 60~69歳 60~79歳 80歳以上
一過性脳虚血発作(TIA) 6.3 6.0 5.6 4.6
アテローム血栓性梗塞 14.2 19.9 21.3 20.2
アテローム血栓性塞栓 2.9 4.4 5.5 4.8
ラクナ梗塞 21.0 24.7 22.7 19.0
心原性脳塞栓 8.8 15.9 20.9 30.4
脳梗塞(その他) 8.2 4.9 4.8 4.3
高血圧性脳出血 20.3 16.0 12.0 10.5
脳出血(その他) 3.7 2.1 2.6 3.0
脳出血(AVM) 1.5 0.3 0.1 0.1
くも膜下出血 13.0 5.8 4.3 3.2

(1999年から2012年まで脳卒中データバンク登録10万件以上のデータの解析)

  • TIAは加齢とともに低下の傾向が見られます。
  • アテローム血栓性梗塞、アテローム血栓性塞栓は60歳代から80歳代まで、ほぼ同じくらいです。
  • ラクナ梗塞は60歳代をピークに加齢とともに低下の傾向が見られます。
  • 心原性脳塞栓は逆に、60歳未満の9%から加齢とともに急増し、80歳代で30%を占めるに至ります。
  • 出血を伴う高血圧性脳出血やくも膜下出血は、60歳未満が最も高く、加齢とともに低下の傾向が見られます。

脳卒中を起こしやすい人は?

脳卒中は脳の血管が破れて出血(脳出血、くも膜下出血)、血管が詰まって血液が脳に流れ難くなる(脳梗塞=脳血栓・脳塞栓)などで起こります。
でも、原因がはっきりしなくて突然、発作が起こるのはまれなことで、大抵は脳卒中になり易い要因や病気を持っています。
脳卒中は高血圧や糖尿病などの生活習慣病を持っている方によく起こりやすいようです。
これらは脳血管の動脈硬化の原因となったり、心臓内に血栓を作って、それが血流に乗って脳血管を塞いだりします。

脳卒中の危険因子

  • 栄養過多―糖分、塩分、脂肪の取り過ぎ
  • 喫煙やお酒の飲み過ぎ
  • 運動不足
  • 過剰なストレス

危険因子を持っている方は、「脳卒中予備軍」と考えて、ライフスタイルを見直し危険因子を減らして、生活習慣病を治療しましょう。
それが最も確実な予防法であって、現代の高齢化社会を健康に過ごす知恵と云えます。

予防が一番大事

一部特定の難病と云われるものを除けば、かつては不治の病と云われた「がん」でさえも現代では、完治が期待できる病になっています。
それでも、脳卒中はその発症頻度が変わらないにもかかわらず、完全治癒が望み難い病です。
ですから、一度発症してしまうと、仮に命を取り留めても、後遺症として残り、発症前の健常な体を取り戻すことはできないことになります。

脳卒中の早期発見に!危険な前兆とは?

脳梗塞を引き起こす「血栓」は、早期発見出来れば、手術と云ったリスクを伴う外科的治療を行わずに、溶解剤を点滴投与することで身体に負担の少ない治療で十分改善できます。
初期段階であればあるほど、治癒率は大きく向上するのが、この病気の特徴と云えます。

【脳卒中の前兆】
  • めまい、ふらつき
  • つまずき、足のもつれ
  • 顔の引きつり
  • 舌のもつれ→口ごもる
  • 物忘れ、ど忘れ

これらの症状は一過性脳虚血発作(TIA/Transient<一過性の>Ischemic<血流が乏しくなる>Attack<発作>)と云って、脳の血液が一時的に悪くなって、血栓が詰まる状態です。ただ、血栓はすぐに溶けて血流は正常に戻るため、通常は2~30分、遅くても24時間以内に症状は消えます。
一過性の症状なので、重要視しない人も多いようですが、これらは脳梗塞の初期症状で、発症を未然に防ぐ最後のチャンスなのです。
なぜかと云えば、放置した方の15~20%で3ヶ月以内に脳梗塞を発症、その内の半数は48時間以内に脳梗塞を発症すると云われています。
また、半身に起こる異常(麻痺、しびれ、歪みなど)は特に脳梗塞に発展する可能性が高いと考えられます。
脳卒中以外でも見られる症状ですが、まず脳卒中を疑ってみましょう。気になる方は以下のテスト【FASTテスト】をやってみましょう。

【FASTテスト】
・Face(顔)=顔の麻痺のチェック
鏡に向かって微笑んでみてください。→口角の左右のバランスは良いですか?片側が引きつって歪んだように見えたら黄色信号!
・Arm(腕)=腕の麻痺やしびれのチェック
真っ直ぐ立って、手のひらを上に、両腕を肩の高さまでに上げて目を閉じます。→維持できずに片腕が下がってきたら、片麻痺の疑いがありますよ。
・Speech(言葉)=言葉の異常をチェック
「太郎が花子にリンゴをあげた」これを声に出して云ってみてください。→顔や口元に麻痺があると滑舌が悪くなり、特に「ラ行」が発声し辛いと云われます。
・Time(時間)=すぐに救急車を呼ぶ
その結果、少しでも脳卒中が疑われたら、迷わず専門医を受診しましょう。とにかく早期発見、早期治療が一番です。

ABCD2スコア

一過性脳虚血発作(TIA)を引き起こした後、どれだけの確率で脳梗塞を発症するかを判断する方法として、「ABCD2スコア」が利用されています。このチェックは次の5項目から得点を出し、その総合点で脳梗塞リスクを確認します。

  • Age(年齢)→61歳以上なら1点加算。
  • Blood pressure(血圧)→最大血圧140㎜Hg/最小血圧90㎜Hgより高ければ1点加算。
  • Clinical features(臨床的特徴)→半身麻痺なら2点加算、麻痺を伴わない言語障害なら1点加算。
  • Duration of symptoms(持続時間)→10~59分の持続で1点加算、60分以上の持続で2点加算。
  • Diabetes(糖尿病)→糖尿病なら1点加算。

【点数と発症リスク】

  • 0~3点・・・1.0%
  • 4~5点・・・4.1%
  • 6~7点・・・8.1%

一般的には、ABCD2スコアが3点以上なら、すぐに入院して治療を開始するべきとされています。
いかがでしたか、親が倒れる主な原因の一つが脳卒中で、男性の要介護になる原因では第一位、女性では第四位となっています。
予防の最善方法は早期発見、早期治療ですね。
是非、参考にしてください。

       貴宝院 永稔【監修】脳梗塞・脊髄損傷クリニック 銀座院 院長 再生医療担当医師
ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

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