脳梗塞で認知症に?認知症の方と接する時に絶対守るべき4つのポイント!

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日々の軽い運動が大切

平成30年発表の簡易生命表によると、日本の男性の平均寿命は81.25歳・女性は87.32歳といよいよ本格的に人生100年の時代が近づいてきたことがわかります。
しかし、平均寿命と健康寿命は違います。
そこで厚労省は、国民誰もがより長く元気に活躍できて、全ての世代が安心できる「全世代型社会保障」を目指し、「健康寿命延伸プラン」を策定しました。
その施策に、経済産業省と連携して取り組む「認知症対策のための官民連携実証事業」として「認知機能低下抑制のための技術等の評価指標の確立」があります。
つまり認知症予防は健康寿命を延ばすためには欠かせないものといえます。
これからの時代、絶対に目を背けて生きていくことのできない認知症についてお伝えします。

認知症の原因とは?

認知症とは、一度発達した記憶・学習・判断といった脳の知的機能が低下し、日常生活に支障をきたすようになることを言います。
では、その原因は何にあるのでしょうか?

認知症の種類

まず、認知症にはいくつかの種類があることをご存知でしょうか。
その種類によって、発症の原因は異なります。
高齢者に発症する認知症のほとんどは、脳細胞の委縮といった老化が原因で起こります。
これを変性性認知症と分類し、この中にアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症があります。
一方、加齢とは別に脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血といった脳の血管の病気が引き金となって起こる認知症もあります。
これを脳血管性認知症と言います。
また、脳の腫瘍によって認知症が引き起こされることもあり、何かしらの病気によって 引き起こされるという意味で、脳血管性認知症と合わせて二次性認知症と区分されることもあります。

認知症の種類

ここまでのことから、認知症の原因はざっくりと分類すると以下の2つであることがお分かり頂けると思います。
①加齢による脳の萎縮
②脳血管疾患(二次性)
発生機序や状態が異なるため、「認知症」と、ひとくくりにはできないのですね。

アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の違いとは?

若くして認知症になってしまう人の多くは、このアルツハイマー病が多いです。
映画になったりしているので、耳にしたことのある方も多いと思います。

実は、アルツハイマー型認知症にも二種類あり、下記のように分類されています。
65歳以上での発症:アルツハイマー型老年認知症
65歳未満での発症:アルツハイマー病

このアルツハイマー型認知症は、大脳の全般的な委縮による神経変性疾患で、認知症の中で最も多いと言われています。
進行するにつれ、新しいことだけでなくほとんどの記憶を失い、後期になると意志の疎通が困難になってしまいます。

一方で脳血管性認知症は、脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血といった脳の血管が破綻することで発症する病気の後で起こるものをいいます。
アルツハイマー型認知症に次ぐ発生頻度があり、全認知症の中の20~30%を占めます。
このタイプは脳梗塞による発症が最も多く、梗塞(脳の虚血)が起こるたびに段階的に症状が悪化していきます。

アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症は発症の原因が違うことから、MRIやCT画像でも違いがはっきりと判ります。
前者は脳が委縮してスカスカになって空間が目立ちますし、後者は脳梗塞や脳出血・クモ膜下出血特有の白黒の濃淡による所見がみられます。

しかし、中にはアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が同時に発症するケースもあります。
混合型認知症といい、全認知症の中の5~20%を占めると言われています。
これは、個々には認知症には至らない程度のものが、片方が発症することでもう一方の発症の引き金となったり、症状の程度を悪化させてしまうものです。

認知症の症状とは?

認知症の症状で一番大きなものには、記憶障害があります。
新しいことほど忘れてしまうのに、昔のことは覚えていられるという特徴があります。
他にも、時間の感覚を失ってしまったり、物をとられたなどという被害妄想や感情を抑えきれずにいきなり泣き出したりするなど症状は多岐にわたります。

認知症の症状は、脳の機能そのものの障害による中核症状と、徘徊や幻覚といったこれに付随しておこるBPSD(行動・心理的症状)に分けられます。
BPSDは脳神経外科というより精神科領域にあたり、個人差が非常に大きなものです。
そして、認知症の患者をもつ家族にとっては、中核症状よりもこのBPSDによる悩みや負担の方が大きいこともよくあります。

認知症の症状

  • 記憶障害:新しいことが覚えられない
  • 見当識障害:年月日の感覚が不確か・場所の見当識障害
  • 着衣失行:服の着方がわからない
  • 情動失禁:些細なことで泣き出したり笑い出したりする
  • 遂行機能障害:段取りをたててものごとができない
  • 常同行動:同じ場所を動き続ける
  • 幻覚
  • 異食
  • 被害妄想/物とられ妄想
  • 人格変化
  • 自発性の低下(うつ)
  • 暴力
  • 徘徊
  • 歩行障害
  • 尿/便失禁
  • 寝たきり

認知症の症状

認知症の検査とは?

認知症には、様々な症状があります。しかし、採血検査のようにはっきりとした結果が出ないので、加齢による年齢相応の物忘れなのか病院で治療を受けるべき認知症なのか、判断に困るところではないでしょうか。
では、医療機関ではどのような検査を行って、認知症と診断しているのでしょうか?
認知症検査には、脳そのものや脳を栄養する血管を調べる画像検査と、記憶や計算・見当識機能を調べる認知機能検査があります。

画像検査|脳実質の萎縮程度や虚血・出血程度を見る

  • MRI:(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)の略。
    強い磁石と電波を使い体内の状態を断面図として撮影できる検査機です。
    特徴として検査時間が長い、ペースメーカーの装着は不可です。
  • CT:(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)の略。
    レントゲン検査と同じX線を利用して体内の状態を断面図として撮影する検査機です。
    特徴として検査時間は短く、MRIよりの静かですが、X線を使うため被曝します。

認知機能検査|認知機能の程度を見る

MRI

  • 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R):簡単な質問や計算を行う。
    見当識・記憶・計算・言語能力を評価
  • 時計描画検査(CDT):時計の絵を指示した方法で書く。
    視空間認知・構成能力を評価

画像検査は医療機関でなければできませんし、認知症を検査する際には特別の撮影方法を行うこともあります。
MRIやCTは高価な設備なので、クリニックでは設置していないこともありますね。

一方で、認知機能検査は特別な物品を必要とせず、簡単にできる評価方法です。
症状が軽度のうちには本人も答えられない・忘れてしまったと自覚していることがあるため、ごまかしたり話をはぐらかしてしまうこともあります。

日常会話が成立している方でも、実際に検査をしてみるとこんなことも答えられなかったのか…と驚くような結果が出ることも珍しくありません。
特に、時計の絵を描くということは認知症の方にとっては非常に難易度が高く、数字を記入することや、10時10分になるように時計の針を書き込むことができなくなります。

認知症の原因や現在の脳の状態を調べるには画像検査が必要ですが、手軽に調べるには長谷川式検査や時計描画検査が非常に簡単です。
もし医療機関への受診を検討されている場合には、一度自宅でやってみるのもよいかもしれませんね。

認知症の方への対応とは?

近年、高齢者や認知症の方との関わり方で「ユマニチュード」というケアメソッドが注目されています。
耳慣れない言葉ですが、ユマニチュードとはフランス語で「人間らしさ」という意味です。
これは「人間とは何か」という哲学に基づく具体的なケアの実践方法で、フランスの体育学教師だったイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏が提唱したものです。
ユマニチュードの基本は、「あなたのことを大切に思っている」ことを伝えることにあります。どうしても意思疎通の難しい高齢者や認知症の方に対し、これまでの医療や介護の現場は押さえつけるような否定的な言葉や物理的に抑制して対応せざるをえない現状がありました。
しかし、ユマニチュードはさまざまなケアを通じて、私はあなたを見ていますよ・あなたは大切な存在ですよと示すことを基本としています。当たり前のことなのですが、人間として受け入れることが前提なのです。
そして、受け入れるための基本動作として、具体的には「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つを柱として掲げています。

ユマニチュードの基本技法

  • 見る:正面でしっかり相手を見る。
  • 話す:穏やかにゆっくり話かけ、相手からの反応を待つ。
    相手からの反応がない場合、自分の行っているケアを言葉に出して伝える。
  • 触れる:できるだけ広い面積で、やさしく愛護的に相手に触れる。
  • 立つ:立つことによって血流の促進や関節の拘縮予防する。
    歩くことで知性・社会性・空間認知を獲得し、人としての尊厳と誇りを自覚する。

これらは特別な道具を必要とせず、特別な高い教育を受けた人間でなくてもできます。
この方法は、認知症による症状で困った人を黙らせるための技術ではなく、「人間らしさ」を取り戻すためのはたらきかけなのだとジネスト氏は説明しています。

ユマニチュードを実践していくと、患者さんの反応は劇的に変わるというのだから驚きです。
薬に頼らなくても、受け入れるだけで認知症の方を穏やかにすることができるとは一見疑わしいのですが、日本国内の大学でも検証されて結果が出ています。

また、認知症の人と接する際に大切なことは、頑張りすぎないことです。
どうしても思うようにいかないこともあるし、こちらの思いや努力をわかってもらえないこともあります。
そうなると、真面目な人ほどバーンアウト(燃え尽き症候群)で医療や介護の現場を去ってしまうのです。

そんなバーンアウトにも、ユマニチュードは効果のあることが実証されています。
パリ郊外のある施設の認知症フロアでは、ユマニチュード導入前には4年間で職員全員が入れ替わってしまったそうですが、導入後の3年間では離職者がゼロとなったことが報告されているのです。

仕事としてなら勤務が終了すればその場から去ることができますし、離職して別の職業に就けば済みます。
しかし、家族はそうはいきません。

言葉や物で無理に押さえつけることは、する側もとてもストレスがかかることです。
これが少しのコツで軽くなるのなら、やってみて損はないでしょう?
そもそも、ユマニチュードの実践にはお金はかからないのですから。

認知症の人と接するときのポイント

大きな声を出したり否定しないユマニチュードを活用して認める・受け入れる
辛くなる前に一定の距離を置く頑張りすぎず、上手に介護サービスを使う

24時間自宅でお世話をすることが、愛情の形ではありません。
適度に離れて心身ともにゆとりをもつと、認知症の人とも余裕をもって接することができます。
自分自身が追い詰められた状態では、いくら頭でわかっていてもユマニチュードを実践することなんて無理です。

これからは、団塊の世代も後期高齢者となる時代がやってきます。
高齢者や認知症の人と全く関わらないなんてことはできません。
そんなときは、まず受け入れる。
そして「見る」「話す」「触れる」「立つ」を思い出してみましょう。

認知症の治療とは?

医学の発展に伴い、認知症の全容が少しずつ解明されてきました。
しかし、まだ「治療=治す」薬はありません。
認知症を問わず、現代の医学をもってしっても難病のように完治できない病気はたくさんあるのです。

では、認知症になったら、ただ進行していくのを待つだけなのでしょうか?
いいえ、治療はあります。
認知症における治療とは、「今できる機能を維持し、進行を遅らせること」です。

アルツハイマー型認知症に対しては、塩酸ドネペジルといった薬が症状の進行を遅らせる効果のあることがわかっています。
また、脳血管性認知症の場合は虚血(脳細胞に対する血流不足)が症状を進行させることがわかっていますので、脳血流を改善させるための内服薬を使用します。
脳出血や脳梗塞は生活習慣病が基礎疾患として存在していることが多いため、糖尿病や高血圧・高コレステロール血症のための内服治療も行います。

それと並行して、今ある機能の維持を目的として、運動療法やレクリエーション・音楽療法を行います。
しかし、残念ながら治療方法の存在しないものもあります。
著明な人格変化や行動異常を起こすタイプの前頭側頭型認知症パーキンソン病のような症状が現れるレビー小体型認知症などが該当します。
このような場合も、各症状に対する対症療法と並行して、生活に基盤を置いたリハビリテーションを行い、少しでも機能の維持を目標とします。
つまり、リハビリテーションはどのタイプのどの段階の認知症においても、重要な治療なのです。

認知症のリハビリテーションとは?

リハビリテーションと聞くと、どうしても歩いたりする理学療法を思い浮かべてしまいがちです。
しかし、認知症の治療においては、生活に密着した作業療法がメインとなります。

認知症の症状でもお伝えしましたが、認知症が進んでくると、失行や遂行機能障害・鬱といった症状が出てきます。
服の着脱方法がわからなくなったり、お箸の使い方がわからなくなってしまうのです。
何かしようと思ってもできないことが増えてくると、活動意欲も低下して最終的には寝たきりになってしまいます。

そこで、普段の日常生活を治療として活用するのが作業療法です。
食事・排泄・入浴・散歩・買い物など、生活の全てがリハビリテーションになります。
指先一つ動かすことも、積み重ねることで筋力低下や関節拘縮を予防して寝たきり防止につながります。

作業療法は、平行棒や特別な機械のある専用のリハビリ室で行うのではなく、家庭やデイサービスなど普段の生活の場で行うことができるため、本人も身構えることはありません。認知症の方にとっては、当たり前のことを今日も・明日も・これからもできることが治療であり、リハビリテーションの目標なのです。

認知症の方と接していると、ときには暴言をはかれたり気分を損ねたりすることもあるでしょう。
そんなときもユマニチュードです。
人間なのですから、思う通りにいかないのは当然なのです。
そう思えば、ケアをする側の気持ちも楽になりませんか?

ピンピンコロリと逝きたい・・・誰もが人生の最後まで自分のことは自分でできて、自分らしくありたいと思っています。
しかし、皆がそうはなれません。
これからの人生100年時代には、社会全体で認知症と向き合っていかなければなりません。
認知症に対する正しい知識を身に付け、「人間らしさ」を基本に接していきたいですね。

  • <参考文献>
  • 厚生労働省:平成30年簡易生命表、健康寿命延伸プラン
  • MEDICMEDIA:病気がみえる 脳・神経
  • 「ユマニチュード」という革命:イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ 著

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ニューロテックメディカル

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。
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脳卒中ラボ管理人

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脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
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