脳卒中の種類とは?それぞれ違う症状のポイント

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脳の部分別名称

脳卒中の種類

脳卒中は「脳血管障害」とも呼ばれますが、脳血管障害と呼ばれる場合は、脳ドックなどのCTやMRIで偶然、発見されたものも含んでいますが、一般的に突然症状が現れてきた場合は脳卒中と総称されます。
大まかに云って脳卒中は、血管が詰まってブドウ糖や酸素が行き渡らなくなって、脳細胞が死んでしまう「脳梗塞」、血管が破れて起こる「頭蓋内出血」に分けられます。
また、脳梗塞は、ごく細い動脈が詰まる「ラクナ梗塞」、大きな動脈が詰まる「アテローム血栓性梗塞」、心臓の中に出来た血の塊(血栓)が剥がれて脳の動脈に流れ込んで起こる「心原性脳塞栓症」に分けられます。
頭蓋内出血は、脳の中の細い動脈が破れる「脳出血」、脳の表面を走る大きな動脈に出来たこぶなどが破れる「くも膜下出血」に分けられます。
以下では、それぞれ種類によって違う症状などのポイントを押さえてお話しましょう。

脳梗塞

治療法

■ 発症後、4〜5時間以内
血栓を溶かす薬(tPA)を点滴し、血管を開通させる血栓溶解療法を行います。
発症後4〜5時間以内であっても、治療開始が早いほど良好な結果が期待出来るので、少しでも早くtPA療法を始めることが強く推奨されています(脳卒中ガイドライン グレードA)。
尚、tPA療法には適正治療指針として除外項目及び慎重投与項目が定められています。

■ 発症後、8時間以内
発症から4〜5時間以内の脳梗塞に対するtPA療法は、現在標準的な治療として広く行われています。
しかし本治療は再開通率が低いこと(およそ30-40%)や適応時間が短いことが問題であり、その適応患者も限られています。
そこで、tPA療法によって血流再開が得られなかった、あるいはtPA療法の適応が無かった場合、原則として8時間以内であればカテーテルによる脳血管内治療が行われるようになりました(脳卒中ガイドライン グレードC)。
本邦では、2010年10月に血栓除去デバイスであるMerci Retrieval System (Stryker社)、2011年10月にPenumbra system(Penumbra社、国内販売はメディコス・ヒラタ社)、2014年7月にステント型血栓回収デバイスであるSolitaire FR (Covidien社)とTrevo Provue (Stryker社)が認可されています。

ラクナ梗塞

ラクナ梗塞は、脳梗塞の半分近くを占め、日本人に一番多いタイプです。
脳の細い動脈が高血圧で痛められながらも破れずに、長期間過ぎると、だんだん詰まって脳の深い部分に小さな梗塞を作ります。
これがラクナ梗塞で、症状の出ないことも多く、その場合は、無症候性脳梗塞と云います。
高齢者に多くて、症状はゆっくり進行し、意識がなくなることもなく、夜間や早朝に発症して、朝起きたら手足のしびれや言葉が話しにくいなどの症状で気付くと云うケースが多いようです。

症状

舌が麻痺して、ろれつが回らない。
体の片側の手足が麻痺したり、感覚の低下やしびれがあります。

治療法

■ 内科療法:抗血小板剤を投与しますが、ラクナ梗塞は高血圧との関わりが深く、降圧剤の役割が非常に大切です。

アテローム血栓性梗塞

アテローム血栓性梗塞は、首から脳に通じる頸動脈や頭蓋内の比較的太い動脈の硬化(アテローム硬化)が原因の梗塞です。
欧米人に多いタイプでしたが、近年日本人にも増えて来ました。
アテローム硬化は、血管の中でコレステロールが、お粥が固まったようになるので、粥状硬化(じゅくじょう硬化)とも云われます。
アテロームが出来て血管が狭くなって、そこに血栓が出来て詰まったり、その血栓がはがれて流れ出し、その先でまた詰まったりする脳梗塞です。

症状

舌が麻痺して、ろれつが回らない。
体の片側の手足が麻痺したり、感覚の低下やしびれがあります。
ラクナ梗塞と同じ症状ですが、程度が激しく、意識障害、言語障害、視野障害など重要な機能に損傷を与えます。

治療法

■ 内科治療:抗血小板剤や抗凝固剤などの投与
■ 手術療法:血管バイパス術(脳血管より先の血管へと繋ぎ直して新たに血流を確保します)
頸部内頸動脈内膜剥離術(狭窄により分厚くなった内壁をくりぬきます)
頸部内頸動脈ステント(メッシュ状の金属製の筒より血管の狭窄部を広げます)

心原性脳塞栓症

心原性脳塞栓症は、心臓内に出来た血栓が、ある日突然血液の流れに乗って脳に運ばれて、脳の血管を詰まらせてしまうものです。

症状

比較的大きな病巣が出来るので、症状はより強く、命が危険にさらされることも多くあります。
正常に働く心臓に血栓は出来ませんが、心臓の機能が衰えたり、リズムがおかしくなったりすると、血流が乱れて血栓が出来るのです。
血栓が出来やすい心臓の病気としては、心房細動、リウマチ性心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症などがあります。

治療法

■ 内科療法:抗凝固剤の投与
■ 手術療法:救命目的と言われる減圧術(脳梗塞になった脳の一部を除去ならびに頭蓋骨を外してくる手術)を行う場合もあります。
この手術は他の脳梗塞でも行われますが、特に心原性塞栓症で行われます。
心原性塞栓症は大きな脳梗塞となることがあり脳幹部(生命には重要な部分)を圧迫し生命の危機に陥ることがあるためです。

頭蓋内出血

脳出血

動脈硬化を起こしてもろくなった脳の血管に、高血圧がかかり続けると、さらにもろくなって、遂には血管が破れて脳の中に出血してしまいます。
脳から出血した血液は固まって塊(血腫)になります。
頭の中で血腫が大きくなると、頭の中の圧力が高くなったり、血腫がまわりの正常な脳を圧迫して、脳の働きが悪くなったりします。

症状

普段から血圧の高い方で、前触れもなく突然手足の動きが悪くなる、ろれつが回らない、口角が下がりよだれが出る、頭がガンガン痛む、めまい、嘔吐を繰り返す、大きないびきをかいて眠るなどの症状が出ます。
出血した場所によって症状は異なりますが、片麻痺、感覚障害を伴うことが多く、重症なら意識障害、遂には死に至ることもあります。

治療
(1)薬物療法
脳の出血範囲が小さい場合や手術が出来ない場合は薬物療法を行い、出血範囲がさらに広がらないように、またさらに損傷することを防ぎます。
血腫が小さい場合は、時間をかけて吸収されるので、自然に消滅させることが出来ます。
○血圧をコントロールする
高血圧は脳出血の最大の原因ですから、血圧コントロールが脳出血の治療で最も大切です。
だから、急性期脳出血(発作が起こってから2週間ぐらいまでの脳出血)では、血圧を低く維持することが重要です。
血圧の程度は、できるだけ早期に収縮期血圧140mmHg未満を目標に降圧し、7日間程度維持することを目指されます。
急性期に用いる降圧剤としては、「カルシウム拮抗薬」あるいは「硝酸薬」の微量点滴静脈注射が使用され、早期に「カルシウム拮抗薬」、「アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬」、「アンジオテンシン受容体(ARB)拮抗薬」、「利尿薬」の経口薬への切り替えが目指されます。
○けいれんを抑える
急性期脳出血ではけいれんが起きることがあります。けいれんが起こると、後にてんかん発作を起こすことが多いので、けいれんがある場合は、「抗てんかん薬」を使用します。
※てんかん発作とは、意識障害、けいれんなどの発作が起きる脳の疾患です。
「ニューロン」と呼ばれる大脳の神経細胞の穏やかなリズムが突然崩れて、激しい電気的な乱れ(ニューロンの過剰発射)が生じて起こる発作です。
○脳のむくみを解消する
血腫が大きくなって脳がむくんで「脳浮腫」になると、頭蓋骨内の圧力が高まり、「頭蓋内圧亢進」が起こり、「脳ヘルニア」の危険性が高まります。
脳浮腫は3日目から強まり、1~2週間でピークになるので、脳圧降下薬(脳浮腫の除去)として、「グリセロール」や「マンニトール」などを静脈注射することで、脳浮腫を軽減し、脳代謝を改善出来ます。
○上部消化管からの出血を予防する
脳出血の発作後、上部消化管(食道、胃、十二指腸)から出血(胃潰瘍など)が起こる場合にも、薬で出血を予防します。
(2)外科療法
血腫が比較的大きく、意識障害があって、脳ヘルニアになる可能性がある場合は、手術(外科療法)を行います。
尚、患者さんの状態や年齢、発病からの時間経過、血腫の場所、重症度、などの要素を加味して、手術を行うかどうかを最終的に判断します。
○開頭血腫除去術
頭蓋骨の一部分を切り開き、専用顕微鏡を見ながら血腫を取り除き、出血している血管部分の止血を行う開頭手術です。
手術時間は、血腫の場所や大きさにもよりますが、約2~3時間くらいです。
開頭手術は、頭蓋骨を切り開くため患者さんへの負担が大きくなるので、体力の低下している場合や高齢者には行えない場合もありますが、医師が直接見ながら血腫を取り除き、止血するので、確実性の高い手術です。
○脳室ドレナージ
脳室ドレナージは、血液が脳室に溜まって大きくなったり、詰まる可能性がある場合、また水頭症をおこしている場合に行う手術です。
ドレナージとは、血液・膿・消化液などを、減圧や感染原因の除去などを目的に体外へ誘導・排出することです。
手術の方法は、頭蓋骨に小さな穴を開けて、脳室の中に細いチューブを1週間くらい留置して、中に溜まった血腫を排出して、頭蓋骨内の圧を低下させます。
○CT定位的血腫吸引術
CT定位的血腫吸引術とは、頭を手術用のフレームに固定し頭蓋骨に穴を開けて、そこから細い管状の器具を入れて血腫を吸い出す手術です。
CTを使って血腫の位置を確認しながら行うので、血腫の中心部の位置を正確に決定できます。
この手術のメリットは、頭蓋骨を切り開かずに、局所麻酔(部分麻酔)で行うので、患者さんの負担が少なく、脳幹出血の方や高齢者にも行えると云うことです。
また、術後の回復も早いので、出来るだけ早いリハビリが可能になります。
ただ、出血部分の止血がしっかりなされた場合のみしか行えず、手術中の出血には止血が難しいというデメリットがあります。
○神経内視鏡手術
頭蓋骨に小さな穴を開けて、細い管状の器具の先にカメラが付いた神経内視鏡を脳の中に差し込み、脳の内部をモニターで確認しながら、血腫を吸引します。

くも膜下出血

脳はくも膜と云う、くもの巣のような薄い透明の膜に包まれて、頭蓋骨の中で守られています。
脳に血液を送る血管はこのくも膜の下を走っています。
この血管に動脈瘤や動脈硬化があると、血圧が高まった時に急に破れることがあります。
出血した血液はくも膜と脳の隙間に広がって行くので、くも膜下出血と云われます。

症状

何の前触れもなく、突然激しい頭痛や吐き気、嘔吐が起こり、重症の場合、呼吸困難に陥り、そのまま昏倒することが多い疾患です。
また頭痛ではなく、酷い肩こりを感じたり、首のつけ根からうなじのあたりにかけて痛みを感じることもあります。
軽い出血の場合は意識が回復しますが、出血多量の場合や、血液が脳内に流れ込んだ場合は、死に至ることもあります。
1度出血した動脈瘤は、短時間内に再出血する可能性が高いので、入院して絶対安静が必要となります。

損傷部位による症状の違い

脳卒中の後遺症として、高次脳機能障害を発症することが多いのですが、その脳の損傷部位によって、症状に違いが見られます。
ここでは、脳のどこが損傷すれば、どんな機能障害が出現するかをまとめました。

前頭葉

  • 失語症(ブローカ失語)
  • 注意障害
  • 意欲の低下
  • 発動性の低下
  • 創造性の低下
  • 思考・判断力の低下
  • 脱抑制
  • 他人への興味の喪失
  • 易怒性
  • 人格荒廃
  • 慣れた運動の障害
  • 運動や発語の開始不能

頭頂葉

  • 半側空間無視
  • 身体失認(病態失認・身体部位失認)
  • ゲルストマン症候群(手指失認・左右失認・失算・失書)
  • 観念性失行
  • 観念運動失行
  • 構成失行
  • 肢節運動失行
  • 着衣失行

側頭葉

  • 失語症(ウェルニッケ失語)
  • 記憶障害
  • 聴覚性失認
  • 相貌失認
  • 物体失認

後頭葉

  • 同名半盲
  • 相貌失認
  • 視覚失認
  • 皮質盲

脳卒中の再発率は?

脳卒中の再発

1年 5年 10年
脳梗塞 10% 34% 50%
脳出血 25% 35% 55%
くも膜下出血 32% 55% 70%

上記のように、特に脳出血は発症後4人に1人が1年以内に再出血しています。
脳梗塞やくも膜下出血も同様で、脳卒中自体が再発率の高い病気であることが判りますね。

再出血の原因

脳出血の1番の原因は高血圧で、発症後の血圧コントロールを上手くやらないと、再出血してしまうのです。
既に一度脳出血を起こした方は、動脈硬化が進行して血管が脆くなっているので、出血し易くなっています。
を下げる治療をしっかり行っていれば、再発を50%減らすことが出来ます。
ちなみに、脳梗塞の場合でも、25%減らすことが出来ます。

再出血時の症状

基本的には1回目の脳出血と同じ症状が現れますが、その程度は重くなることが多いです。

再出血時の特徴

  • 意識障害の悪化
  • 死亡する可能性が高くなる
  • 麻痺の増悪(場合によっては両麻痺になることもあります)

再出血を予防するには?

血圧管理

血圧管理によって、高血圧を改善することが最も重要です。

  • 降圧剤の薬を服用しましょう
  • 生活習慣の改善も大切で、適度な運動と塩分制限を心掛けましょう

手軽に出来る塩分制限

  1. 調味料は減塩タイプを選びましょう
  2. 食事の時の調味料は「かける」から「つける」にする
  3. マヨネーズは意外と低塩です
  4. インスタント食品は極力避ける。特にカップ麺は「リン」を多く含むので、マグネシウムの吸収を阻害します。
  5. 外食や市販の弁当は食べる機会を減らす
  6. ラーメンなどの汁物系の汁やスープは飲まずに、半分は残す
  7. 腎臓から余分な塩分を排出する働きがあるカリウム、マグネシウムを摂取する
  8. カリウムは野菜や果物、海藻類、豆類に多く含まれ、マグネシウムは海藻やナッツ類、豆類などに含まれます

できるだけ生野菜を食べるようにしましょう。

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。
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脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

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