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脳出血といびきの深い関係

いびきは聞いていて耳障りなものですし、いい印象を持っていない方も多いのではないかと思います。
このいびきと脳出血には、深い関係があることをご存知でしょうか?
今回の記事では、いびきと脳出血にどのような関係があるのか、脳出血が原因で起こるいびき、またいびきが脳出血を含む脳卒中の危険予知にもなると言うことについてご説明いたします。

いびきとはなにか?

いびきは、通常は眠っている人に起こるものですが、そのメカニズムにはいくつかの要素があります。
いびきは、空気の通り道である気道の周辺の筋肉が緩むこと、その結果空気の流れを妨げることになって気道を構成している軟部組織が振動すること、この2つが関係しています。
いびきは、通常深い眠りの時に最大の強度で発生します。
深い睡りに入ると、喉や気道の筋肉が弛緩します。
これにより、気道の側面がわずかに内側に倒れ、呼吸で空気が通ると軟部組織の振動が促進されます。
いびきをかいている人では、喉のさまざまな部分が振動することで、複数の種類の音を発しています。
例えば上咽頭の軟部組織が関与している場合、音は柔らかく鼻にかかったような音質になります。
対照的に、軟口蓋や口蓋垂が振動すると、喉から大きないびきが発生します。
実際には、いびきの多くは複数の部位が振動に関与しています。

脳出血でいびきが起こる理由・危険ないびきのパターン

次に脳出血でいびきが起こる理由についてご説明します。
脳出血を起こすと、出血を起こした場所によって私たちの体には麻痺が生じます。
また意識レベルが低下することで気道の筋肉が緩んだり、舌が喉の奥に落ち込んでしまうこともあります。
これにより空気の流れに障害が発生し、いびきが起こります。
したがってそれまで普通に話していた人が、突然意識を失って倒れ大きないびきをかきだした時は、脳出血が起こった可能性があります。
またチェーンストークス呼吸と呼ばれる特徴的な呼吸パターンが認められることもあります。
この呼吸では、小さく浅い呼吸が徐々に大きな呼吸に変化し、その後30秒から2分程度呼吸が止まってしまう、特徴的な呼吸パターンです。
このパターンは、主に脳内の呼吸中枢に障害が発生すると生じる呼吸です。
いびきとともに、このような特徴的な呼吸パターンを認めるときも、脳出血が発生している可能性が高いと判断できますので、大至急病院へ搬送し、適切な処置を受けることが重要です。

いびきが脳卒中の危険を予測する

睡眠時無呼吸症候群
次に、普段いびきをかいている人に、脳出血を含む脳卒中の危険性が高い人がいるということについて説明します。
実は、脳卒中を起こした人の少なくとも50%は、睡眠時の呼吸障害を有していると言われています。
この呼吸障害には、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる、睡眠時に呼吸が止まってしまう障害が含まれており、この睡眠時無呼吸の原因には、いびきとも関係のある閉塞性睡眠時無呼吸症候群が含まれています。
つまり、いびきをかいている人のうち、睡眠時に呼吸が止まる人や睡眠時無呼吸症候群の特徴である、昼間の眠気などを有している人は、脳卒中のリスクが高くなるということです。
また脳卒中を起こしたあとも、睡眠時の呼吸障害を治療しておかなければ、脳卒中の再発リスクが高くなると考えられます。
いびきは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と強く関連していますので、脳卒中の危険因子として初期マーカーである可能性があります。
ちなみに閉塞性睡眠時無呼吸症候群と心血管疾患を有する人において、いびきの頻度や大きさの悪化と、心疾患よりも脳疾患のリスクが高まることが明らかになっています。
例えば、6つの研究を対象としたメタアナリシスという手法を用いた研究では、いびきと脳卒中のリスクとの間に、統計的に有意な正の関連があることが確認されています。
いびきがなぜ脳卒中のリスクを高めるのか、生物学的メカニズムはまだ解明されていませんが、現実的にいびきは高血圧、動脈硬化と関連していることが、複数の研究結果より示されています。

(参考文献:M. Li et al. Habitual snoring and risk of stroke: A meta-analysis of prospective studies. International Journal of Cardiology。2015;185: 46–49)

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法として、CPAP(持続気道用圧)を用いた方法があります。
脳卒中後の患者のうち、睡眠時の呼吸障害を認める人たちに対し、CPAPを用いた10件の研究を検証したメタアナリシスによると、一部の研究では脳卒中患者の神経機能や長期生存率が改善していました。
ただ確実に効果があるとするには、もう少し検証が必要だとされています。

(参考文献:Brill AK, et al. CPAP as treatment of sleep apnea after stroke: a meta-analysis of randomized trials. Neurology. 2018;90:e1222-30)

まとめ

脳出血といびきの関係についてご説明しました。
特に突然意識を失っていびきをかきだす人がいれば、ほぼ間違いなく脳出血を起こしていますので、大至急救急車を呼ぶようにしましょう。
また普段からいびきをかいている人は、必ずしも脳卒中のリスクが高いわけではありませんが、睡眠時無呼吸症候群を起こしているようであれば、近い将来脳卒中を起こす可能性があります。
心当たりのある方は、睡眠時無呼吸症候群の治療について積極的に検討することをお勧めいたします。

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

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