もしかして脳卒中?その痛み放っておかないですぐ病院へ!②

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頭痛に注意

普段私たちが感じる痛みやしびれには、すぐ治るものや長く続くもの、切り傷や打撲によるもの、刺すような痛みやだるい痛みなど、いろんな痛みしびれがあります。
痛みやしびれを感じる部分も、頭、首、腰、足など様々です。
痛みやしびれはとても不快な感覚ですが、そもそも痛みとは何なんでしょうか。
自分の痛みの原因を知って、適切な治療を行いましょう。

痛みとしびれの治療

痛みの役割は何でしょう

私たちは痛みを感じることで、体に何らかの異変や異常が生じていることに気づくのです。
考えてみてください、もし、痛いと云った感覚がないと、危険を察知、回避することが出来ずにケガや病気を繰り返したり、命の危険に繋がることもあります。
痛みは呼吸や体温、脈拍(心拍)、血圧と並んで、私たちが生きていることを示す「バイタルサイン」と云われ、私たちの体や命を守るのに欠かせない役割を持っています。でも、生命活動に必要のない痛みもあり、原因が判らない痛みや必要以上に長く続く痛みは、ストレスが大きくなって不眠やうつ病など、他の病気を引き起こすきっかけにもなります。このような痛みには治療が必要なのです。

痛みの治療

脳卒中は正式には脳血管障害と呼ばれる病気で、脳の血管に何らかの障害が起こることによって発病するいくつかの病気を集めて、そう呼んでいます。
大きくは二つのタイプに分けられ、一つは脳の血管が破れて出血するタイプで脳出血やくも膜下出血があります。
もう一つは脳の血管が詰まって血流が流れなくなるタイプで脳梗塞があります。
脳卒中の最大の特徴は、今まで全く症状がなかったのに、晴天の霹靂のように突然、手足の麻痺や痺れなどが突然起こることがあります。
このような痺れに対しては、通常の痛み止めなどではあまり効果がなく、その症状に合った内服薬や痙縮治療、注射薬、その他最新療法が効果を上げています。

内服薬

抗痙攣薬

ガバペンとリリカは国際的な標準治療薬で(NNT=4程度)、他の補助薬に比べると抗コリン性の副作用(便秘、口の渇き、立ちくらみ、胃部不快感など)が少ないですが、眠気を生じることがあります。リリカは用量調整がし易く、内服数も少なくて済み、神経障害性疼痛で保険適応が受けられます。
ガバペンはてんかんの保険適応しかありませんが、効果の幅はいずれも大きくなく、服用開始後5日程はガバペンを加えた方が有効な患者さんが多いようでしたが、それ以降に差が見られません。
テグレトールはてんかんのお薬ですが、痺れに対しても優れた緩和効果を発揮します。
根本的な治療ではないので、半永久的に飲み続ける必要があります。
テグレトール100mgから始めて、200~400mgへ漸増も標準的(NNT=3程度)ですが、眠気、ふらつきを生じることが多く、致命的なアレルギー反応や血球減少を引き起こすこともあります。
リボトリール0.5~1mgは服用数日後に蓄積性の眠気を生じますが、大きな副作用がないので不眠の場合には使いやすい治療薬です。

抗うつ薬

TCAs(三環系抗うつ薬)

トリプタノール10mgで始めて、25~75mgへ漸増するのが最も標準的(NNT=3程度)の鎮痛補助薬です。
全身状態が不良/高齢者の方では、せん妄、眠気、便秘などの抗コリン性副作用が多く生じます。
欧米ではノリトレン、国内ではアモキサン10~50mgも用いられます。

SNRI(セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

サインバルタ20~60mが化学療法による痛みを伴った「痺れ痛さ」の神経障害性疼痛に対して有効とされています。副作用として吐き気があります。

●記事の中の鎮痛補助薬のNNT/NNHとは何ですか?
NNTとは、「Number needed to treat」の略で、「一人に治療効果を得るために何人を治療する必要があるかを示す指数」で、少ない方がより有効な薬剤と云えます。
NNHは、「何人に投与したら1名の合併症を生じるかを示す指標」なので、大きい方が安全な薬剤となります。

痙縮((筋肉のつっぱり)治療

手足のつっぱり(痙縮)にも内服薬や注射薬などいろいろな治療法があります。
症状や治療目的を考えて、リハビリとこれらの治療法を組み合わせて行われます。

内服薬

内服薬は痙縮に対する初期治療としてよく使用され、神経伝達の興奮を抑えて筋肉の緊張を和らげるものや、直接、筋肉の緊張を和らげるものがあります。
薬は医師の指示に従い、服用時間を守って、勝手に服用をやめたり、多くを服用しないようにしましょう。
服用後、気になる症状が出たり、他の病気で薬を飲む場合などには、医師と相談しましょう。

テルネリン錠

筋肉の緊張が強いと血流が悪くなって、痛み物質が生じるなど悪循環に陥ります。
テルネリン(一般名:チザニジン)は筋肉の緊張を和らげ、鎮痙作用(痙攣を抑える作用)があります。
筋肉を緊張させる「過度の興奮」が脊髄に伝わらないように、「脳から脊髄を通り、筋肉へと命令が伝わる過程」を遮断することで、筋肉の緊張を緩和します。

リオレサール錠

通常、脳血管障害、脳性(小児)麻痺、外傷後遺症などによる痙性麻痺の治療に用いられ、脊髄の過剰な筋肉反射の原因となる神経伝達を抑えて、脳や脊髄の損傷による筋肉のつっぱりやこわばり、麻痺を軽減します。
副作用として眠気を起こすことがあるので、車の運転や危険を伴う機械の操作は行わないようにしましょう。
脱力感、吐き気、食欲不振、ふらつき、めまい、頭痛、発疹などの副作用もあります。
筋骨格の緊張による疼痛には、リオレサール1.5Tで始めて、3~4T/日 増量すると良い場合があります。

ダントリウム錠

骨格筋の収縮を抑えて、筋肉のこわばり・麻痺などを和らげます。
また、骨格筋や中枢神経のカルシウムイオン濃度を抑え神経伝達物質のバランスを補正します。
痙性麻痺に対しては通常、成人は1日1回1カプセル(主成分として25mg)より服用し始め、1週ごとに1カプセル(25mg)ずつ増やし(1日2~3回に分ける)、維持量を決めます。
ただし、1日最高服用量は6カプセル(150mg)として、3回に分けて服用します。

注射薬

ボツリヌス療法

筋肉を緊張させている神経の働きを抑えるために、ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射します。
ボツリヌス療法で筋肉の緊張が和らいでも、リハビリを行わなければ機能の回復は望めません。
ボツリヌス療法とリハビリを並行して、継続することで日常生活の動作が行い易くなると期待できます。
ボツリヌス療法の効果は徐々になくなるので、治療継続の期間中は年数回、注射を受けることになります。

バクロフェン髄注療法(ITB療法)

バクロフェン(上記、リオレサール錠)は中枢性筋弛緩剤として最初に選択されますが、内服して血中濃度が上がっても、作用部位の脊髄周囲の髄液濃度は上がり難いのです。
これは不必要な化学物質が中枢神経に届かないように、脳の血管が特殊な構造になっているため、バクロフェンが通過し難いからです。
そこで、痙縮の元になっている脊髄に直接投与する事で効果を強め、飲み薬で生じる眠気などの副作用も減らすことができるバクロフェン持続髄注療法を開発しました。
これを行うにはバクロフェンを少量ずつ24時間持続して、脊髄腔に注入するためのポンプを腹部に埋め込む手術が必要になります。
ただし、強力な薬剤の投与が続けられることや、手術が必要なこと、ポンプの管理に手間がかかること、感染が起これば大変なことにもなる、などのリスクを考慮して選択する必要があります。
どの医療機関でも可能と云う治療ではないので、まずは主治医との相談が必要になります。

漢方薬

続命湯

漢方の古典「金匱要略」には脳卒中の後遺症に良い(飲むリハビリ薬)と記されています。
続命湯は脳卒中の後遺症でよく現れる言葉のもつれ、手足の痺れなどに用いられる処方です。
経験的には、発作後の服用が早ければ早いほど症状の回復を早めます。
当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、桂皮(ケイヒ)の3つが主薬で、脳や手足をはじめとする全身の血液循環を改善し、痺れや麻痺感、言葉のもつれを除く作用があります。
麻黄(マオウ)と石膏(セッコウ)の利水作用で、浮腫を去り主薬の血液循環の改善を助けます。
他には、消化吸収力を良くして全身の運動能力を高める、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)の補気薬、杏仁(アンニン)の止咳去痰で、言葉のもつれの改善に役立ちます。

漢方治療とは?

脳梗塞後遺症で怖いのが再発で、2回3回と繰り返す度に酷くなって、植物状態や死に至るケースもあります。
以下の3つを改善すれば再発を予防出来るのです。

  1. 血栓が出来難くする、血栓を溶け易くする。
  2. 動脈硬化や血液が粘つき易い原因と原因疾患を改善する。
  3. 血管自体を補強する。
    上記の3つを漢方薬で対策するわけですが、脳梗塞後遺症の場合は、以下の3つの対策も大切です。
  4. 血流の改善で脳細胞が修復し易いようにする。
  5. 神経細胞の修復により、脳機能を改善する。
  6. 脳に良質の栄養を与えて、活性化する。

漢方医学では、死ぬことはないが体の不調が続いている状態を未病と捉えて、患者さんの体質を考えて漢方薬を与えることで、体質を変え病気になり難い体を作ることが可能になります。

診断方法

漢方では同じ症状、病気でも、一人一人の状態によって用いる薬が異なるので、漢方専門医は漢方医学的に診察し、症状や体質に合った漢方薬を処方しながら、体調を整えるための養生法も指導します。

  • 「望診」:顔色や姿、立ち居振る舞い、皮膚の状態など、あなたの全身を観察します
  • 「問診」:症状以外に、あなたの体質(暑がり、寒がり、疲れ易い、汗かき、便の状態、イライラしたり落ち込んだり)など
  • 「聞診」:声の調子や話し方を聞く
  • 「舌診」:舌の色や形、苔を診る
  • 「脈診」:両腕の脈を診る
  • 「腹診」:お腹を診る

漢方治療によくある誤解

  1. 治療費が高額では?:漢方薬は保険診療が適用され、薬の種類や量によりますが、1割負担(後期高齢者)~3割負担(一般)、月1,000円~3,000円プラス処方料などで、案外高くない
  2. 効果が遅いのでは?:漢方薬の中には救急外来で使われているものもあります。症状やご希望にあわせて調整が可能
  3. 煎じ薬とエキス剤の違いは?:煎じ薬は効果が高く、生薬単位での加減が可能なので、患者さんの体質に合った調合が出来ます。ただし、1日1回または2日1回程度で、生薬を煎じる手間(40分間)が必要です。エキス剤は生薬を煎じたものをインスタントコーヒーのように加工したもの

交感神経節ブロック療法

交感神経節ブロック療法は神経やその周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みの伝わる経路をブロックすることで痛みを取り除きます。
痛みが緩和されると血流がよくなり、筋肉のこわばりがなくなります。
一回では完治しないので、薬物療法と併用して複数回行います。

星状神経節ブロック

首の付け根、喉のあたりにある「星状神経節」と云う交感神経の節に局所麻酔薬を注射して、交感神経の機能を一時的に抑えます。

硬膜外ブロック

背骨の下の方(腰のあたり)に局所麻酔薬を注射して、脊髄を覆う「硬膜」の外側にある「硬膜外腔」に麻酔薬を注射して、神経の炎症を抑えて痛みをとります。

トリガーポイント注射

押すと強い痛みを感じる筋肉に直接、局所麻酔薬や鎮痛薬を注射して、痛みなどをとります。

反復経頭蓋磁気刺激療法(γTMS)

磁気によって大脳を刺激して、大脳の神経活動性を変化させる装置を使って、患者さんの頭部の皮膚の上から磁気をあてます。
体が傷つくことはなく、痛みなどの苦痛も伴いません。
脳卒中の後遺症に対して反復経頭蓋磁気刺激療法(γTMS)を用いる場合は、痛みを感じている脳の神経活動性を変化させることで除痛を目指すことになります。
γTMSは2008年米国FDAがうつ病に対して認可し、その後も研究、改良が続けられており、ヨーロッパでは疼痛治療、リハビリテーション治療に認可がおりています。
疼痛に関しては、高頻度γTMSによる患側運動野刺激が有効として欧州のガイドラインはレベルAに推奨するまでになっています。
我が国では未だ研究段階である上、保険適応外(自費診療)ですが、脳卒中後疼痛に対して治療の効果が増えてきています。

再生医療

脳梗塞後の後遺症の分野でも、再生医療の治療法が現在開発されています。
生体に投与するのに一番実用的である間葉系細胞に限っても、より効果のある細胞の分離・培養、遺伝子導入といった更なる発展が期待出来る治療法です。
しかし、脳卒中後疼痛に対する再生医療の効果は現状では不明です。

ペインクリニックとは

世界有数の長寿国、日本では国民の大半が腰痛や頭痛など何らかの痛みを抱えて日常生活を送っています。
痛みと云うものは体に生じた異常事態を知らせてくれる警告反応として大事な役割を持っています。
多くの痛みは原因となる病態を改善すれば軽減消滅します。これは急性痛と分類されます。
それに対し、警告を終えた痛みがいつまでも存在して、より強い痛みや新しい種類の痛みが加わって、部位の異常や機能低下のみならず、身体的、精神的に深く関与して、私たちのQOL(生活の質)を低下させてしまいます。
これが慢性痛と云われる状態です。
ペインクリニックでは、これらの症状から多角的に痛みの原因を診断して、薬物療法に限らず、神経ブロックを始めとする各種治療方法を駆使して痛みを軽減・消滅させてQOLの向上に努めます。
急性痛として代表的な手術後の痛み(術後痛)に対して、ペインクリニックの知識と技術を活かした硬膜外ブロックや超音波ガイド下の各種神経ブロックを行うことで、痛みが少なく、おう吐やふらつき、眠気などの無い快適な術後が提供でき、より早い術後回復が期待できます。
慢性痛に対しても、急性痛と同じように的確な診断に基づき、薬物療法、リハビリ、認知行動療法など多職種と協同したチーム医療体制で治療に当たります。

実は多い、うつ病と併発

脳卒中発症後は、脳の前頭葉損傷による機能障害で感情のコントロールが不安になり、「うつ」を発症することもしばしば見受けられます。
また、病気を発症して健康を失ったショックが原因で起こることもあります。
うつ状態は脳卒中発症後しばらくしてから起こることが多く、「脳卒中後うつ」と呼ばれます。
脳卒中後うつ症状の特徴は、抑うつ気分より意欲の低下や活動性の減退が目立ちます。
また、うつ病特有の1日のうちで気分の変動が激しいことも脳卒中後うつには見られません。
発症確率は、男性56%、女性23%と男性がかかる確率が高く、発症してから1年後もうつ状態が続くとされています。
症状としては、イライラ感や怒りっぽくなったり、幻覚・妄想が起きたりと感情が不安定になる(感情障害)、不安感・焦燥感、精神活動の低下・食欲低下・不眠症など(気分障害)、が起きます。

脳卒中後うつの治療方法

薬物療法

抗うつ薬、抗不安薬、脳循環代謝改善薬、漢方薬などを使用しますが、薬によっては副作用や病気の悪化や再発を誘発することもあるので、専門医の指示に従って服用しましょう。
尚、抗不安薬には筋弛緩作用があり、高齢者や脳卒中による脳障害の患者さんへの処方はふらつきや転倒の原因になるので、服用には注意が必要です。

脳卒中後うつ病の治療には、薬物治療に加えて家族の総合的な心理的サポートが重要です。
脳卒中後うつの患者さんは言葉に対する感受性がとても敏感になっていて、感情を制御するのが難しいと云われます。
ですから、サポートにあたっては、悲観的な言葉をかけるのではなく、前向きになれる言葉がけを心掛けましょう。

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。
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脳卒中ラボ管理人

投稿者プロフィール

脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
それらの情報に興味のある方、また現在もなお神経障害に苦しむ患者様やそのご家族の方々に有益となる情報をご提供して参りたいと考えております。

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