脳卒中ブログ

   

治療

リコード法-①食生活の改善

 リコード法(ReCODE Protocol)は、アメリカ人のデール・ブレデゼン医学博士が開発したアルツハイマー病による「認知機能の低下」を防止・回復出来る、「アルツハイマー病予防・治療プログラム」です。このリコード法に沿った生活を送ることで、治療だけでなく、認知機能低下を予防し、より健康になることが出来ます。「最近物忘れが多くなった、記憶力が衰えてきた、何事にも呑み込みが遅くなってきた」等、頭の調子の低下を感じ始めて来た方には、早く始めるほど、より良い結果が期待できます。

リコード法の対象者

予防目的

 基本的に40歳以上の方全員が対象となりますが、ApoE4遺伝子保有者(※)や、既に頭の調子に異常を感じている方は、もっと早くから予防措置をとった方がより良い結果は得られます。

※ApoE4遺伝子:アルツハイマー病の発症リスクを大幅に上げるハイリスク遺伝子です。長寿に関係し、抗アルツハイマー病に効果のあるSirT1(サーチュイン1)と云う分子を作る遺伝子を停止させます。ApoE4遺伝子を全く保有しない人のアルツハイマー病にかかる生涯リスクは9%、1つ保有で30%、2つ保有で50~90%あるとされています。

治療目的

 アルツハイマー型認知症全般の方を対象ですが、結果がより良好なのは、初期アルツハイマー病と、軽度認知機能障害(MCI※)、主観的認知機能障害(SCI※)の方です。

※軽度認知機能障害(MCI):認知症の前段階
※主観的認知機能障害(SCI):認知機能の低下を本人は自覚しているが、客観的にはまだ認められていない状態。

リコード法の基本計画-①食生活の改善

 体が脂肪を燃やす軽いケトーシス状態(※)を保つことが最適です。
※ケトーシス状態:ブドウ糖の代替エネルギーで脳の代替エネルギー源にもなるケトン体を大量に作り出す状態

ケトーシスを促進する方法

① 低炭水化物の食事:白米、パン、麺類、ジャガイモなどのでんぷん質の野菜、砂糖の入ったジュースやケーキ、お菓子、パイナップル等のGI値(※)の高い果物、アルコール類、加工食品など、単純炭水化物メインの飲食物、穀類、グルテン、乳製品(チーズ、オーガニック生乳、プレーンヨーグルトは時々、最小限ならOK)、マグロ・サメ・カジキマグロ等の水銀含有量の多い魚などを極力飲食しない食生活です。
※GI値(glycemic index):血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値で、高いほど摂取時に血糖値が短時間に急上昇し易くなります。
② 適度な運動
③ 12時間以上の絶食
以上の3つを組み合わせることが必要とされます。

MCTオイルなどの脂肪を摂ったり、アボガド、ナッツ、オリーブオイルなどの不飽和脂肪を摂ると、軽度のケトーシスが促進されます。MCTオイルやココナッツオイルは絶食、低炭水化物、運動のセットで、軽度のケトーシスが得られますが、ApoE4遺伝子を持つ方には良くない場合があるので、注意が必要です。軽いケトーシス状態に保っていければ、アルツハイマー病を促す炭水化物燃焼とインスリン抵抗性(※)モードから、脂肪燃焼とインスリン感受性モードに代謝を切り替えられるようになります。
※インスリン抵抗性:インスリンが分泌されても、十分に働かない状態

フレキシタリアンダイエットに沿った食生活

 フレキシタリアン(Flexitarian)とは、フレキシブル:Flexible(柔軟性)とベジタリアン:Vegetarian(菜食主義)を組み合わせた造語です。非でんぷん質の野菜をメインとして、肉は少量添える程度、フレキシブルに対応し、我慢したり無理せず、健康的に実践するダイエット法に乗っ取った食生活です。

12時間以上の絶食

 「その日最後の食事(夕食)」から「次の日の食事(朝食)」まで最低12時間以上絶食、間食も無しのこと。但し、ApoE4遺伝子保有者は「12時間以上」が「14~16時間」となります。ApoE4の遺伝子検査を実施していない場合、又は、12時間以上の絶食を我慢できる場合は、14時間絶食する方が無難ですね。

就寝前、3時間以上食事をしないこと

 夕食終了から就寝まで、少なくとも3時間以上空けることで、夕食は消化の良い物を軽めに食べて、基本的には消化し終わるまで寝ないことです。

リーキーガットの予防と腸内フローラの最適化

 リーキーガットとは「腸漏れ症候群」のことで、腸粘膜に穴が空き、本来なら排出されるはずの有害物質等が体内に取り込まれる状態で、炎症を引き起こす原因となります。その疑いがあるのなら、治療して腸内環境を整える必要があります。腸を治すことで、全身性炎症の減少、免疫反応の促進、栄養吸収の改善、最適な腸内環境の維持が可能となって、腸内フローラ(※)の産生物を増やして、認知力低下の予防・回復に役立ちます。

※腸内フローラ(腸内細菌叢):腸の中にある100兆個以上の腸内細菌の集まりを、お花畑に例えて腸内フローラと呼びます。

リーキーガットの兆候

・ガスが溜まる
・よく下痢をする
・吐き気がする
・ニキビ、赤ら顔
・乾癬
・皮膚湿疹
・抑うつ感
・不安感
・食物アレルギー
・花粉症
腸漏れが原因で免疫が作用し、上記以外にも多くの症状が現れ、どの症状が出るかは個人によって異なります。小腸の内側が損傷することで、消化出来ていない食物や食品添加物、細菌が漏れ出して、血流にのって体中を駆け巡るのです。血流に乗って来た敵に対して、自己免疫が反応することで、食物アレルギー反応や慢性疲労、偏頭痛、腸管過敏症、リウマチのような現代病に似た症状をもたらします。また、消化に必要な酵素が体内では生成出来なくなるので、身体に必要な栄養を吸収出来なくなって、免疫系が弱まり、ホルモンの乱れなどが見られるようになります。

リーキーガット症候群になる原因

① 食生活:リーキーガットは概ね食生活に起因することが多く、グルテン(大麦、小麦などの穀物の胚乳から生成されたたんぱく質)や大豆、乳製品のように毎日口にしている食品に原因があるのがほとんどです。これらの食品はアレルギーの原因になり易く、口に入れると抗体が作用して、自己免疫が活性化するのです。風邪や発熱、インフルエンザにかかると、身体がだるく動き難くなるのは、身体の免疫が闘っているからなのです。食物アレルギーが疑われる食品を口にすると、免疫機能が作用して、頭痛や下痢、関節痛、疲労感をおぼえる症状が出てきます。

② 薬:ステロイド剤や抗生物質、ドラッグストアなどで手軽に購入出来る、イブ錠やバファリンなどのアスピリン系、アセトアミノフェン系の薬を服用することで、小腸の内側を刺激し、小腸を保護しているムチン層が炎症を起こし、穴が空いて、リーキーガットになることがあります。

腸粘膜を治す方法

① リーキーガットの原因物質を除去などする:
先ず、原因物質を除去、又は摂取などを最小限にくい止めることです。
・糖質、グルテン、加工食品、遺伝子組み換え作物を含む食品、アルコール
・抗生物質(経口剤や抗生剤を使って肥育された動物を原料とした食品)
・抗炎症剤(アスピリン、イブプロフェン等の非ステロイド系抗炎症剤、又はステロイド)
・除草剤、殺虫剤、ストレス

② 腸の損傷を治癒出来る食品やサプリメントの摂取:
・骨の出汁
・初乳カプセル
・亜鉛カルノシン
・L-グルタミンカプセル

③ 食事療法
・食事療法に取り組む前に知っておいて欲しいのは、投薬のようにすぐに効果が得られるものではありません。有害物質を排出し、細胞が栄養物質を基に作られ、それによって機能が低下している組織を回復したり、正常な組織に入れ替わったりするには長い時間がかかるからです。最初は好転反応と云って不愉快な症状が生じることもあり、前進・後退を繰り返すこともしばしばですが、細胞に良いことに取り組めば、ゆっくりと良い方向に向かっていきます。

・食事療法の取り組みには、必ず小さな前進があるので、以下を見過ごさないようにしましょう。
「便秘が改善された」「便の臭いが変わった」「食べ物にこだわりが少なくなり、種類が増えた」「落ち着いて座る時間が長くなった」「理由なくケラケラ笑わなくなった」「皮膚の乾燥が改善された」「皮膚がしっとりしてきた」「言葉が増えた」「文字がしっかり書けるようになってきた」など。

・食事療法の効果的な進め方
STEP-1:自覚症状だけでなく、各種検査(毛髪ミネラル検査、IgG食物アレルギー検査、遺伝子多型検査、ペプチド/有機酸検査など)を利用して、出来るだけ正確に自分の体の問題点や改善点を確認してください。

STEP-2:明らかに有害な食べ物やアレルギー反応のある食べ物(※)を除去します。有害な金属(テフロン・アルミニウムなど)を含む調理器具や電子レンジの使用はやめましょう。
※:保存料、着色料、発色料、酸化防止剤、香料、乳化剤、漂白剤、蛋白質加水分解物などの食品添加物、合成甘味料、トランス脂肪酸、遺伝子組み換え食品、農薬、抗生物質や環境ホルモンを含む養殖魚・食肉、大型魚など

STEP-3:アレルギー反応のない、蛋白質、炭水化物、脂質を摂り、食品はオーガニックで、精製されていない物を出来るだけ選ぶこと。

STEP-4:基本的なサプリメントを摂取すること。
消化酵素(エンザイム)、腸内細菌(プロバイオティクス)、オメガ3系の油(DHA/EPA)、マグネシウム、亜鉛、カルシウム(キレートされたもの)、ビタミンB6、ビタミンB12+葉酸(メチル化されたもの)、ビタミンC(出来るだけ長時間持続型)

STEP-5:状態に合わせた、特定の食事療法=SCD食事療法を始めます。

≪SCD食事療法(特定炭水化物食事療法)≫
単糖類の炭水化物のみを摂取し、それ以外の炭水化物を除去します。小腸の粘膜に損傷があって穀物などの炭水化物が消化できない時の食事療法で、元々は大腸にただれが起こる潰瘍性大腸炎や、消化管に潰瘍が出来るクーロン病、グルテンを摂取すると小腸に炎症が起こるセリアック病のような、比較的重い腸の病気の方に推奨されています。だから、慢性的下痢や便秘、腸に炎症があるADHDなどの発達障害の子どもに効果的です。また、カビや細菌などの毒素によって引き起こされる症状にも有効とされています。炭水化物にはいくつか種類がありますが、単糖類はこれ以上分解出来ない最も小さい状態で、非常に素早く体に吸収されます。未消化の食物では小腸の表面を覆う繊毛と微繊毛に損傷を与えますが、単糖類なら分解の必要がないので、小腸に直ちに吸収されることになるのです。

食べてはいけない食品(1.2多糖類)食べても良い食品(単糖類)
トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ肉、卵
米や小麦ナチュラルチーズ
パン、パスタなどの小麦製品自家製ヨーグルト
米加工品白インゲン豆、エンドウ豆、レンズ豆
穀物やデンプンから作られたミルク製品(ライスミルク、ポテトミルク)デンプン類(ジャガイモ、トウモロコシ、サツマイモ)以外の野菜
大豆・大豆製品果物、フルーツ100%ジュース
コーンシロップ、メイプルシロップナッツ類
人工甘味料蜂蜜
ニンニクやタマネギのパウダー穀物から作られたオイル
コーンスターチ、タピオカ、葛の粉、寒天スパイス
ペクチンを含むジャム 
チョコレート、ベーキングパウダー 
ケチャップ 

【SCD食事療法の特徴】
カンジダ菌(※)の繁殖、腸内細菌のアンバランス、腸内の炎症、慢性の下痢などに効果があります。厳密に行うことが大事です。
※カンジダ菌:健康な人の皮膚や口内、消化管などに存在する常在菌です。

【SCD食事療法の効果】
蜂蜜や果物などカンジダ菌対策の食事で認められていない甘いものも許されます。実施者の66%に効果があります。(アメリカ自閉症研究所の調査より)

【SCD食事療法の欠点】
食べ物にこだわる子どもやナッツアレルギーの方には実施が難しい。便秘の症状には改善と悪化の両方の可能性があります。

STEP-6:状態に合わせて、更に効果を高める栄養素を補給します。
セレン、亜鉛、カルニチン、ビタミンD、CoエンザイムQ10、パントテン酸、グルタチオン、オキシトシン、アルファリポ酸、フォスファチジルセリン、フォスファチジルコリンなど

今回はリコード法の基本計画の中でも、第1番の「食生活の改善」についてのご紹介でした。それ以外にも、「運動による改善」「睡眠の改善」などいろいろあります。順次、機会に応じてご紹介して行きたいと思っています。

治療

再生医療(脳卒中・脊髄損傷の後遺症改善)福永記念診療所