秋や春も注意!適切な水分補給で脳梗塞を予防しましょう!

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適切な水分補給で脳梗塞を予防

夏に増加する脳梗塞、そこには高齢の方が特に陥りやすい水分不足、脱水に原因が隠れています。
脳梗塞と熱中症の関係、予防としての適切な水分補給方法について解説しています。
日本の総人口のうち65歳以上が占める割合は、1950年は4.9%だったのが、2020年28.7%と大きく上昇しました。
高齢化率が上昇するとともに、脳卒中を発症する高齢の方が増加しています。
ここでは、高齢の方が陥りやすい水分不足と脳梗塞の関係を中心に、脳梗塞予防法について考えていきたいと思います。

夏に増加する脳梗塞

夏のひまわり
「脳卒中データバンク2015」によると、脳梗塞の発症率は季節や月により差があることが分かっています。
季節では夏(6〜8月)が最も多く、次いで春(3〜5月)、秋(9〜11月)、冬(12〜2月)の順となっています。
月別にみると、1年のうち8月に脳梗塞の発症が最も多いとのことです。
夏に多い理由として、脳梗塞の発症には夏季の高温による水分不足、脱水が関係すると考えられています。

高齢者がなりやすい水分不足と脳梗塞の関係

高齢者と温度計
高齢の方は、筋肉量や肌のはりが少なくなることなどが原因で、もともと体に備蓄している水分が減少しています。
加えて「トイレが近くなるのが嫌だ」「水はむせやすくて嫌だ」などの理由から水分をあまり取りたがらない方が多いのです。
エアコンを比較的つけたがらないことも多く、高齢の方は水分不足、脱水となる高いリスクを抱えています。
体内の水分が不足すると、体全体の血流が減少するため、脳に行く血流も減少します。
血流が減少すると脳の血管の中でも皮質枝領域という、血管がもともと狭く血液の流れが緩やかな場所で梗塞が起きやすくなります。
また脳梗塞を発症した場合、直後の血流が少ない(血圧が低い)場合(収縮期血圧≦120、拡張期血圧≦60)に重症化しやすいことが分かっています。
水分不足の状態では血液が濃縮され、血液中にあるフィブリノーゲンという成分が上昇します。
すると血液の粘度が高くなり、固まりやすい状態となります。
高齢の方はもともと動脈硬化や心臓の病気を抱えていることも多く、固まった血液(血栓)が比較的太い血管に詰まることで、重い脳梗塞になるリスクが高くなります。
水分不足は脳梗塞の発症だけでなく、病状の進行や重症度にも関係することがわかりますね。

熱中症と脳梗塞の関係

高齢者の水分補給
脳梗塞の原因の一つである水分不足、脱水。
そして夏に水分不足が起こす病気、それは熱中症です。
熱中症になると、血管を支える内皮細胞が障害され、血栓ができやすくなります。
脳内や頚部に動脈硬化や血管の狭窄があると、血栓により閉塞され脳梗塞となってしまうおそれがあります。
また、暑い日に具合が悪くなると、まず熱中症を疑いますね。
しかし熱中症の典型的な症状であるめまいや吐き気、ふらつきなどの症状は、実は脳梗塞の初期症状としてみられることがあります。
顔や手足のしびれ、麻痺、ろれつが回らないなど脳梗塞特有の症状が出ていないかどうかが、重要な観察ポイントです。

水分補給で脳梗塞を予防できるのでしょうか?

水分補給で予防
夏に多い脳梗塞の予防として最も重要なのは、水分補給です。
水分は体温の保持だけでなく、不要物の排泄、栄養分や酸素の運搬、消化を助ける、など私達の体の調子を整えるために不可欠なものです。
それでは、水分をどれくらい補給すればいいのでしょうか?
年齢などにより違いはありますが、私達が1日に必要とする水分量は、体重あたり35-40ml程度といわれています。
体重60kgの方であれば1日に2〜2.5リットルということになります。
この量を全て飲料で補給しようと思うと少し大変かもしれません。
しかし、これはトータルで補給するべき量。
和食の献立は比較的水分を多く含むため、食事からも水分を多く摂取できます。
あくまで目安ですが、1400kcal程度の食事をとれば、1リットル程度の水分を補給できます。
また、体内で自然に産生される水分もあるため、飲料から摂るべきは1〜1.2リットル程度ということになります。
ただし、水分を必要な量だけ補給すれば、夏の脳梗塞を全て予防することができるわけではありません。
ある研究によれば、夜に電解質飲料250mlを飲むことで朝方に血液粘稠度が上昇するのを抑える可能性があると報告されています。
一方で水分摂取により血液粘稠度が低下するかもしれないが、それが脳梗塞の発症を低下させたと証明している研究はない、とも指摘されています。
夜に飲料を補給してもそれはそのまま尿になり排泄されてしまい、血液の粘稠度は大きく変わらないという意見もあります。
水分不足、脱水が脳梗塞の原因になるため、水分補給が必要なのは確かですが、それだけで解決する問題ではない、ということになりますね。

まとめ

水分不足、脱水がもたらす夏の脳梗塞について、解説しました。
ここで紹介した必要な水分量は、あくまで目安です。
夏は暑い日が続くので毎日注意が必要です。
水分をこまめに補給し、エアコンや扇風機を上手に使用しながら、暑い時は無理をしないなどの原則を守り、脳梗塞の予防へつなげていきましょう。

データ参照元
「脱水と疾患 脳梗塞」 臨床と研究96(7), 2019
「毎日の食生活で、脱水を防ぐ」月刊ケアマネジメント 2014.7

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貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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