アテローム血栓性脳梗塞とは?
《 目 次 》
アテローム血栓性脳梗塞という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
この記事ではアテローム血栓性脳梗塞について症状や危険因子、未然に防ぐためにどうしたらいいのかをまとめます。
アテローム血栓性脳梗塞とは?
アテローム血栓性脳梗塞とは、脳の大きな血管や首の血管が動脈硬化によって狭くなってしまったり、詰まってしまうことによって生じる脳梗塞です。
そもそもアテロームって何?
アテロームという言葉は日本語では粥状硬化巣というように記載されることがあります。
日本語で読んでもあまりイメージできない単語ではありますが、具体的にはコレステロールなどの脂肪が動脈血管の内側を囲む膜の中で粥状に溜まってしまった塊のことです。このアテロームが蓄積されることで、血管の内腔が細くなってしまうのです。
脳梗塞ってどんな種類があるの?
脳梗塞にはアテローム血栓性脳梗塞の他に、心原性脳梗塞とラクナ梗塞の合計3つが臨床的には分類されています。
簡単に3つの違いについてまとめてみました。
アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞は上にて説明したアテロームが血管に蓄積されて動脈硬化により起きる脳梗塞です。
心原性脳梗塞
心臓に疾患のある人の中には心臓で血栓という血の塊ができやすい人がいます。
心原性脳梗塞はそのような心臓でできた血栓が血液の流れに沿って脳まで運ばれていき、そして血管の細くなった部分に詰まってしまうことで発症する脳梗塞です。
ラクナ梗塞
ラクナ梗塞は高血圧が原因で引き起こされる脳梗塞です。
脳の血管の中には穿通枝というとても細い血管があります。
ラクナ梗塞は穿通枝が高血圧によって障害されて閉塞してしまう脳梗塞です。
アテローム血栓性脳梗塞の症状はどんなものがある?
それではアテローム血栓性脳梗塞の症状にはどのようなものがあるのでしょうか?
アテローム血栓性脳梗塞の症状としては、大きく運動障害と感覚障害があります。
脳の血管が詰まってしまうことから、症状の出現は身体の片方にだけであることが多いという特徴があります。
身体の一部が動かない
アテローム血栓性脳梗塞の代表的な運動障害の例として、身体の一部分が動かないという症状があげられます。
脳の血管の詰まる部位によって症状の現れる部位やその範囲は変化しますが、例えば、手足の一部が動かない、身体の片側が動かない、力が入りにくい、思うように呂律が回らないなど様々な症状が現れることがあるようです。
特徴として、睡眠中に脳梗塞が発症してしまい、起床した時に身体の運動に違和感を感じることが多いことなども知られています。
身体の一部の感覚がない
また感覚障害の例としては、身体の片側や一部だけ感覚が感じられないなどの症状を挙げることができます。
一過性に症状が現れる前駆症状がある
アテローム血栓性脳梗塞は血管が段々と詰まってきて緩徐に起こる病態です。
なので、血管が詰まりつつある状態にある時には、一過性に症状を自覚してすぐに消退することもあります。
その代表的な例として、突然目の前が真っ暗になるという症状や身体の一部が動かないなどの症状が現れて、消失するというエピソードのある一過性脳虚血発作(TIA)という疾患です。
一過性脳虚血は脳梗塞の前駆症状として有名で、定義としては24時間以内に症状が消失するのですが、多くの場合30分以内に消失するものがほとんどのようです。
しかしながら、症状が消失するからと言って安心ではありません。
この疾患が起きてしまうと、今後脳梗塞が起きる可能性が非常に高いと言われています。
急に一過性の目の前が真っ暗になるような症状を自覚した時には、すぐに近くの医療機関に相談にいきましょう。
アテローム血栓性脳梗塞の危険因子
アテローム血栓性脳梗塞は血管の動脈硬化によって血管が狭くなったり詰まったりすることで生じる脳梗塞です。
血管の動脈硬化は加齢性と言って、歳を重ねるごとにどうしても血管は弾力性を少しずつ失い、硬くなってしまいます。
加えて、脂質異常症や糖尿病、肥満などの基礎疾患をお持ちの方や、喫煙習慣や大量飲酒の習慣がある人はさらにアテローム血栓性脳梗塞の危険因子を持っていることになります。
アテローム血栓性脳梗塞を未然に防ぐためには?
アテローム血栓性脳梗塞の発症を未然に防ぐためには、上記にあげた危険因子の原因となるような生活習慣の改善、抗血小板薬による服薬治療、また、血管病変部位の外科的治療などが予防や再発の予防などに効果的とされています。
また、症状のところで紹介いたしました一過性脳虚血の症状が現れた時に、すぐに医療機関に相談することも発症を未然に防いだり、重症化するのを防ぐためにはとても大切なことですね。
まとめ
この記事ではアテローム血栓性脳梗塞について症状や危険因子、未然に防ぐためにどうしたらいいのかをまとめました。
アテローム血栓性脳梗塞を未然に防ぐ、また、重症化を防ぐためのポイントは生活習慣の改善と一過性脳虚血を見逃さないことです。
記事を読んで原因や病態をしっかり理解した上で、もし、少しでも身体に違和感を感じることがある時にはすぐに近くの医療機関に相談をしましょう。
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ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。
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