脳梗塞を予防するために気を付けるべきたった6つのポイントとは?
《 目 次 》
脳梗塞の発症リスクが高まる要因はいろいろありますが、体質のせいだけでなく、普段の生活習慣が大きく関わってきます。
血圧が高めの方や太り気味の方、高血糖の方などは脳梗塞に限らず、脳血管障害や心疾患、生活習慣病などのリスクが高いとされています。
ここではそんな脳梗塞になり易い方の特徴をまとめてみましたので、一度チェックしてみてはいかがですか?
生活習慣病・その予備軍は要注意!
遺伝的に血圧が高めな方や脂質や塩分の多い食事を好む方、運動不足で慢性的に肥満がちな方などは、高血圧と診断される方が多いようです。
高血圧は生活習慣病の中でも、特に重大な疾患の原因となるものです。
血圧が高い人
高血圧は脳梗塞へ直結
血圧が高ければ心臓への負担が大きく、心疾患を誘発し全身の血管が傷つくことがあります。
いつも強い圧力がかかる動脈では、血管内壁が傷ついて剥がれ落ち、動脈硬化や破裂・詰まりの原因となります。
脳血管が破裂すれば脳出血、詰まれば脳梗塞に直結して、命を脅かすことになりかねません。
ラクナ梗塞
脳の毛細血管が高血圧によって傷つき、詰まって脳梗塞を起こす、高血圧の方が最も注意を要するラクナ梗塞です。
脳の奥の方で小さな病巣が複数確認される、日本人の最も発症し易い脳梗塞です。
サラサラ血液の薦め
血液中の余分な塩分や脂質は腎臓に負担をかけ高血圧を誘発するので、塩分や脂肪を制限する食事が基本になります。
多くの食物繊維をとり、納豆や海藻を食べるようにしましょう。
血中のコレステロールを下げる緑黄色野菜やタマネギ、そしてサラサラ血液に効果の高いにんにくなどの香味野菜の摂取をしましょう。
肥満やストレス解消に有酸素運動を毎日行うことが薦められます。
活性酸素の除去
あなたの体を急激に老化させるサビのような活性酸素は、大量の飲酒や喫煙、ストレス、紫外線などが原因となって体内に発生します。
体内の細胞を酸化させて、その機能を奪ってしまう有害物質なのです。
血管に活性酸素が集まると、血中の悪玉コレステロールを酸化させてドロドロの血液にします。
それにより高血圧や血管の詰まりが生じて、動脈硬化や糖尿病、ガンの原因になるとされています。
これらの病気予防には、活性酸素を出来るだけ発生させないのが一番ですから、過度の飲酒や喫煙せず、ストレスや紫外線を避け、健康的な食生活、生活習慣が重要になります。
また、発生した活性酸素を取り除く食品やサプリメントなどの摂取も効果的です。
活性酸素の除去は老化防止につながるので、美容・健康両面からも心掛けたいですね。
コレステロール値が高い人
高脂血症
血液検査で中性脂肪やコレステロールが多いと診断されると、一般的には高脂質血症(高脂血症)と呼ばれます。
高脂血症になる要因としては、脂肪分の多い食事の摂取や家族性・遺伝性による体質などが挙げられています。
善玉・悪玉コレステロール
血液中の脂肪は水には溶けないので、血液中では通常4種類のリポ蛋白と云う結合体で存在しています。
コレステロールは健康を守る効果を担うものと、体に悪影響を与えるものと性質が全く異なる2種類があります。
善玉コレステロール(HDLコレステロール)
血液中のリポ蛋白の中で、最も比重が重く、血管内壁にくっついて、溜まっている悪玉コレステロールを引きはがし、肝臓まで押し流します。HDLコレステロールが低いと、動脈硬化の危険性が高まるとされています。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)
肝臓で作られたコレステロールを体の隅々に届けるのですが、過剰に増えすぎると血管内に溜まって、動脈硬化の原因となります。
動脈硬化の加速
私たちの体に酸素は欠かせませんが、体内脂肪を酸化させて、有害物質である活性酸素も作り出します。
活性酸素は体内に侵入した細菌を攻撃し、殺菌する働きがありますが、正常な自身の細胞も傷つけ、老化や生活習慣病の原因となります。
また、血液中に活性酸素が増えることで、血管を傷つけ動脈硬化を引き起こします。
悪玉コレステロールが多いことで、詰まり易くなっている血管が活性酸素によってさらに刺激され、動脈硬化のリスクが高まって脳梗塞につながることもあるのです。
活性酸素を除去する効果のある食品や抗酸化物質を積極的に摂り入れて、悪影響を出来るだけ少なくする工夫をしましょう。
糖尿病気味の人
糖尿病は血中のブドウ糖が増える病気
糖尿病は日本人の10人に1人が罹患し、予備軍も入れると、5人に1人は糖尿病と云われるほど増えています。
糖尿病はインスリンと云うホルモンが不足して、血液中のブドウ糖の量が調整出来なくなる病気です。
遺伝的に日本人はインスリンの働きが悪いから、食べ過ぎや運動不足が重なって発症する場合が多く、いろんな合併症を引き起こします。
目の病気や腎機能の低下が見られ、酷くなると失明や人工透析治療が必要となります。さらに、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも急に高くなります。
脳梗塞患者の約2分の1が糖尿病
糖尿病患者に見られる合併症としては、心筋梗塞の約3分の1、脳梗塞の約2分の1にあたるというデータもあります。
糖尿病自体に命の心配はありませんが、その7割が命に関わる重大な疾患である心筋梗塞か脳梗塞に、罹患すると云う事実があることも忘れられません。
動脈硬化
糖尿病は血管が詰まって、動脈硬化を起こし易いので、脳では脳梗塞、心臓では心筋梗塞にかかり易くなります。
動脈硬化の進行で血栓が出来ると、詰まった先の細胞に酸素や栄養が行き届かなくなって、細胞が壊死して梗塞となるのです。
これが脳でなら脳梗塞、心臓なら心筋梗塞となるのです。
高い血糖値
血液中のコレステロールなどの脂肪分は液体に溶けないので、蛋白質と結合したリポ蛋白の状態で存在します。
血糖値が高いと、血液中のブドウ糖がリポ蛋白と結合して、プラークと云う塊になって血管が詰まります。
糖尿病患者は、コレステロール値がそんなに高くなくても、リポ蛋白と血糖の相乗効果で動脈硬化が進行するのです。
動脈硬化は自覚症状がないので、末期状態になるまで気がつかないでいると、血管内に溜まったプラークが大きくなって、それが破裂すると、そこへ血小板が集まることで、血液が固まって血栓となります。
血栓で血流が阻害されると、脳梗塞の発作である「突然倒れる」「言語障害」「片麻痺」などの症状が現れます。
肥満・太り気味の人
メタボリック症候群
脳梗塞予防の第一因子は生活習慣病ですが、二番目がメタボリック症候群と云われます。
メタボリック症候群は内臓脂肪にプラスして高血糖、高血圧、血中の脂質異常の内の2つを併せ持ったものと定義されるので、危険度は高くなります。
内臓脂肪
中年男性によく見られるポッコリお腹は、内臓の周りに脂肪がつくのが原因です。
内臓脂肪の蓄積は高血圧や糖尿病、高脂血症につながるので、通常人の1.5~2倍も脳梗塞のリスクを高めます。
脂肪細胞には傷ついた血管を修復して動脈硬化を予防する善玉の小型脂肪細胞もありますが、内臓脂肪の多いメタボ体質では、小型の脂肪細胞が減って、血管を傷つけて動脈硬化を進める悪玉の大型脂肪細胞が増えてしまうのです。
脂質の多い食事やアルコールなどで過食を続けると、知らぬ間に簡単に内臓の周りに脂肪がついてしまいます。
お腹の周りが気になってきたら、食事やカロリー制限の必要が出てきます。
内臓脂肪は食事内容や運動によって比較的落とし易い脂肪でもあります。
肉を減らして魚と野菜中心のメニューに変え、甘い物を控えるなどの食事の工夫、ウォーキングなどの軽めの運動を毎日続けることで、確実に内臓脂肪を減らすことが出来ます。
少しの我慢と生活での工夫・改善で、メタボリック症候群を脱し動脈硬化の進行を食い止めれば、恐ろしい脳梗塞のリスクを回避出来るようになります。
喫煙・飲酒をする人
ニコチン被害
タバコのニコチンは人体にとって有害な化学物質で、血管を収縮させて血圧や心拍数を上げてしまいます。
脳においては血管を収縮させて血流を阻害することで、脳卒中のリスクが高まります。
また、長期間の摂取では常態的な高血圧で心臓への負担をかけ、脳血管を傷つけてラクナ梗塞を引き起こす危険性が高まります。
ニコチンは血小板を活性化させて固まり易くさせるので、血液がドロドロになって、血栓が出来易くなります。
血栓は脳血管の詰まりを起こし、脳梗塞発症のリスクを高めるのです。
2年間の禁煙で脳梗塞のリスクは減り始め、5年を過ぎると喫煙していない人と同じレベルまで下がると云われていますので、早めの禁煙をお薦めします。
大量飲酒の害
1日のアルコールの摂取量が12~24g程度なら、全く飲酒しない人より脳梗塞の発症率が28%少ないと云うデータがあります。
でも、60gを超えると、発症率が1.69倍に高まってしまいます。
ちなみにビール500㎖のアルコール量が24gと云われるので、1日500㎖ビール1本なら、脳梗塞のリスクは回避される計算になるわけです。
尚、大量飲酒には利尿作用による脱水症状や、睡眠時無呼吸症候群、血小板の凝集作用の高まりなどの恐れがあります。
その結果、血液がドロドロになって、脳梗塞になる場合もあるので注意してください。
ちなみにアルコールの摂取量が増えれば増えるほど、脳出血のリスクは上昇していきます。
そのため、一旦、脳出血を発症された方は禁酒が必要ということになってしまいます。
活性酸素の発生
ニコチンやアルコールは、細胞や血管を傷つけて機能を低下させる、有害物質の活性酸素を増加させます。
体内に活性酸素が増えると、血管が老化して弾力性がなくなり、内壁がボロボロになったり詰まり易くなります。
だから、脳の血管では血栓が出来易くなって、脳梗塞の発症率が高まるのです。
ストレスを溜め易い人
自律神経やホルモンバランスの乱れ
自律神経は消化器や循環器など、24時間ずっと内臓の働きを調整している神経です。
昼間に活発に働く交感神経と、夜に働く副交感神経をバランスよく調整しています。
ところが、強いストレスなどを感じると、自律神経の働きが乱れて、内臓を上手く動かせなくなる自律神経失調症の状態になります。
頭痛や不眠、倦怠感などの症状以外に動悸や不整脈などが起こって、心臓への負担から心疾患につながることもあります。
不整脈によって血栓が出来、脳の血管に流れて脳梗塞の原因になることも考えられます。
急激な高血圧
私たちの体は、心理的な圧力に対してアドレナリンやノルアドレナリンと云われる神経伝達物質を分泌して、体を一種の興奮状態にさせて、強いストレスから身を守ろうとします。
でも、これによって一時的に全身の血管が収縮し、心拍数が上がって血流量を増やすので、結果的に血圧が上がります。
社会で慢性的なストレスを感じている人は、高血圧の状態が長く続き、脳の血管が傷つき易くなっているので、ラクナ梗塞などの脳梗塞のリスクが高まるのです。
喫煙や飲酒への誘導
ストレスが体に悪影響を及ぼすのは、お判りでしょうが、それ以外に、ストレス回避に取る行動にも問題があります。
忙しい仕事や悩みごとのせいで、飲酒量が増えたり、甘い物の取り過ぎなどの暴飲暴食が増えていませんか?
このように私たちがストレスを感じた時に取る行動にも、脳卒中や生活習慣病、心疾患などの原因となるものが多くあるのです。
ストレスでボロボロになった体に、暴飲暴食や喫煙で追い打ちをかけるのではなく、運動や趣味など、健康にプラスになる方法を考えましょう。
脳梗塞の再発予防
食事
再発予防のポイント
●出来るだけ動物性の脂質(豚肉や牛肉、鶏肉等の脂、バター、乳製品、卵など)を減らすこと。
これらの脂質は飽和脂肪酸と呼ばれ、活動するためのエネルギー源となりますが、体内で固まり易く、余った分は蓄積されるので肥満の原因となります。
血栓や動脈硬化を防ぎ、肥満改善に効果があるので、出来るだけ飽和脂肪酸を摂取しないようにしましょう。
●血液中の脂質に排出効果のある食材や成分(DHAやEPAなど)を食事に取り入れること。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸やリノール酸、不飽和脂肪酸(DHAやEPAなど)は、体内に蓄積され難い脂質で、中性脂肪やLDLコレステロールを低下させる働きがあります。
●血中の脂質の酸化を防ぐ抗酸化作用のあるビタミンやポリフェノール、ミネラルや植物繊維などを多く含む食材(野菜、果物、大豆製品、キノコ、海藻など)をバランスよく摂取しましょう。
運動
●少しの時間・負荷でも長期間無理なく続けることが肝心です。
あなたの体力に合った運動を選択することが最も重要です。
外出するなら散歩やウォーキング、室内ならステップ運動やダンベル運動、片麻痺や手足に運動障害がある方にはリハビリも兼ねて、少しずつでも手足を動かす時間を設けてください。
●毎日続けるのが難しい方は週に3回、30分程度の散歩や体操、ストレッチなど、リラックスしながら行える運動を続けてください。
体が慣れてきて、毎日自然に運動が行えるようになったら、体も精神も安定してくるでしょう。
生活習慣
●血管や脳に負担をかける悪い習慣を断ち切るには、先ず「改善しよう」と云う強い意志を持つ事が大切です。
●糖尿病や高血圧などのリスクの高い持病を持っている方は、その病気との上手な付き合い方が必要です。
血糖値や血圧は、毎日決まった時間に測定・記録し、まとめておけば、体調を一定に保つ目安になり、医師の診察の際に役立ちます。
いかがでしたか?
脳梗塞になり易い方の特徴をまとめてみました。
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ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。