サイトカインによる免疫と炎症そして新しい治療法

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サイトカイン免疫と炎症および新しい治療法

細胞同士の情報伝達をするサイトカインが、体内で行っている役割について解説します。
炎症を調節し、免疫系を維持する機能はウイルスや細菌との戦いに欠かすことのできないものですが、その強さは時に体を害することがあります。
また、サイトカインを応用した新たな治療法の可能性が広がってきています。
皮膚科や美容クリニックのホームページで目にするサイトカインという用語、聞いたことありますか?
アンチエイジングなどの文言とセットで使われていますね。
これは、サイトカインの働きのごく一部を利用して治療しようとする方法です。
治療に応用することができる一方で、新型コロナウイルス感染によるサイトカインストーム、というような怖い使い方をすることもあります。
どちらもサイトカインの働きです。
ここでは、サイトカインが体全体にもたらす影響、免疫や炎症、そして働きを利用した新しい治療法について解説していきます。

サイトカインとは

サイトカインとは、細胞から分泌されるタンパク質のことです。
細胞は周囲の環境や体の調子に合わせて、働きをコントロールされています。
細胞の働きをコントロールするための情報伝達物質、それがサイトカインです。
元々は造語で、「サイト」は「細胞の」、「カイン」は「作動物質」という意味を表しています。
サイトカインは体内に約800種類存在すると言われており、人の体内で様々な情報伝達を行い、体調を維持する役割を担っています。

サイトカインの種類と働き

サイトカインには多くの種類がありますが、機能的に次のように分類されます。

◆ インターロイキン
白血球が分泌するサイトカインで、免疫系の調節を行う。
◆ ケモカイン
白血球を誘導する。
◆ インターフェロン
ウイルス増殖阻止や、細胞増殖抑制の機能を持つ。
◆ 造血因子
白血球や赤血球の数や働きを調節する。
◆ 細胞増殖因子
特定の細胞に対して増殖を促進する。成長因子とも呼ばれる。
◆ 細胞傷害因子
余計な細胞を傷害することで、免疫機能を発揮する。
◆ アディポカイン
脂肪細胞から分泌される物質で、食欲や脂質代謝の調節に関わる。
◆ 神経栄養因子
神経成長因子など、神経細胞の成長を促進する。

このように、サイトカインは体中の様々な細胞に情報伝達を行うことで、体調を維持しています。
それぞれのサイトカインは個別に働くものもあれば、お互い影響しながら機能するものもあります。
例えば、インターロイキンの一つであるインターロイキン-1やインターロイキン-6は、体内の炎症をおこすことで異物を排除し、免疫反応を活性化する働きがあります。
一方、同じくインターロイキンの一つであるインターロイキン-10は逆に炎症を抑制する作用があります。
そのため前者を炎症性サイトカイン、後者を抗炎症性サイトカインと呼ぶこともあります。
それぞれがバランス良く機能することで、適切な免疫反応を維持することができます。
ウイルス感染や薬剤の使用などが原因で、このバランスが崩れてしまうことがあります。
炎症性サイトカインの働きが過剰になると、次々に炎症反応が起こり、誤った免疫反応により自分の細胞まで攻撃してしまうことがあります。
これを、サイトカインストームと呼びます。

サイトカインを利用した治療法

サイトカインの一つであるインターフェロンは、リンパ球の一種であるNK細胞や、マクロファージを活性化することで、ウイルスやがん細胞の増殖を抑える働きがあります。
そのため、肝炎ウイルスや多発性骨髄腫(血液のがんの一種)、脳腫瘍などの治療に従来から使用されてきました。
国の承認を受けた方法で、保険適用となります。
また冒頭で触れたように、サイトカインは皮膚科や美容クリニックで治療に利用されています。
これは、サイトカインの一つである細胞増殖因子(成長因子)による働きを考慮したものです。
成長因子には、上皮成長因子や線維芽細胞成長因子と呼ばれるものがあり、これらの働きにより皮膚の若返りやハリがでることを期待した方法です。
体内の細胞を増殖させ、機能を再生することのできるサイトカインは、再生医療の分野でも応用が始まっています。
名古屋大学での研究では、脳梗塞や脊髄損傷による運動麻痺が、サイトカインの投与により改善したというデータが得られています。
これらの治療法は新たな方法であるため、保険適用外ではありますが、様々な分野への応用が考えられ大いに期待されています。

まとめ

人の体で重要な役割を果たすサイトカインについて、解説しました。
現在も発見が続くサイトカイン、現在私たちが分かっているのはそのごく一部かもしれません。
新たな可能性に、引き続き注目していきましょう。

<データ参照元>
「サイトカインとそのシグナル」免疫学の基礎2013
「サイトカイン」小児内科43(11), 2011
「免疫におけるサイトカインの役割や種類」https://www.macrophi.co.jp/special/1608/

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貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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