脳出血の患者に対する看護過程について

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脳出血の患者に対する看護過程について

脳出血患者に対する看護ケアは、内科的および外科的治療、またリハビリと同様にとても重要です。
病院において看護師たちは、自分が受け持つ患者さんに適切な看護ケアを提供することができるように、それぞれの状態に応じた看護計画を立てています。
患者側にはなかなか馴染みのないものかもしれませんが、具体的にどのようなことを中心に患者さんの看護ケアが考えられているかを知っておくと、看護師が行っていることをよりよく理解できるようになります。
そこで今回の記事では、看護師が脳出血患者に対してどのようなことを考えながらケアを提供しているのか、その背景をご紹介します。

看護過程とは?

まず看護師が患者さんに対して行っている看護過程についてご説明します。

看護過程とは

看護過程とは、医療を必要とする患者のニーズに適切に対応することができるようにするため、看護師が行っていること全体を意味しています。
主に5つのステップに分かれており、患者さんの現状を把握し評価する「看護アセスメント」、収集した情報をもとに分析する「看護診断」、診断をベースにとるべき行動の計画である「看護計画」、計画実施のための「看護介入」、そして介入の成果を評価する「看護評価」からなります。

脳出血患者に対する看護過程

看護過程
では、脳出血を起こした方に対し、どのような看護過程を作成しているのでしょうか?
それぞれ詳細に説明すると専門的になりすぎてしまいますので、全体像を簡単にご紹介します。
一言で脳出血と言っても、出血が起こった直後の急性期、あるいはしばらく経過した慢性期で考えることが異なります。
そこで今回は、特に脳出血が発生した直後の急性期に関し、看護過程について簡単にご説明をいたします。

脳出血後急性期の看護過程

脳出血直後の急性期の患者さんは、生命の危機にありますので、生命の維持、また再出血や頭蓋内圧が上がることで状態が悪化する可能性を想定した看護が必要となります。

まず、看護師は患者さんから集めた情報と客観的情報を分析し、患者さんを取り巻く看護上の問題点を明らかにします。
特に患者さんに最も近いところにいる医療専門職として、急性期の患者さんに対して看護師が果たすべき役割の中心は、脈拍数、呼吸状態、血圧、体温などの生理的変化を注意深く監視することです。

これは、脳出血後の急性期で状態が悪化する可能性のある患者さんを早期に発見するために必要な情報だからです。
発見するだけでなく、発見した異常をもとに治療を行う体制ができているか、また悪化を防ぐために合併症などの発生を予測した行動ができているかなど、多岐にわたる項目についてアセスメントし、計画を立てています。

神経機能の評価について

生理的変化だけでなく、脳出血の場合は患者さんの神経機能の評価を頻繁かつ慎重に行うことも重要です。
例えば意識状態の悪化など、患者さんの神経機能に重大な変化があれば、再度脳出血が起こった可能性もあるため、緊急CTスキャンを行う必要がある場合もあります。

そのためにはしっかりと情報を集め、適切な判断をして医師やレントゲン技師、また同僚看護師との連携ができるようにする必要があります。
その他の看護師の役割には、血圧のコントロールが含まれます。
これは血圧の値や患者さんの状態を見ながら、さまざまな血管作動薬を慎重に投与することを意味します。
また脳出血後急性期の発熱は、神経学的損傷を受けた患者さんの転帰を悪化させる予測因子としてよく知られているので、熱の原因を検索しつつ、体温を下げるための治療開始に向け、直ちに行動を開始する必要があります。

痙攣の発作について

痙攣は、脳出血を起こした患者の約3割に発生するといわれています。
そのため、脳出血後急性期の看護師の役割には、患者さんの痙攣発作の有無を監視することと、医師からの指示に基づいて抗てんかん薬の投与が必要となります。
この他にも血糖値や電解質の管理、適切な補正も重要な役割です。
治療や合併症予防につながるアセスメントや看護計画だけではなく、看護師は患者さんの退院ニーズの評価にも関わります。
入院した早い段階からニーズ評価を開始しますが、早期から退院後のことも考えて計画しておくことは、医療チームによるリハビリテーション計画を促進するのにも役立ちます。

また寝たきりになってしまうことでできてしまう褥瘡(じょくそう)や院内感染の予防、また栄養士と協力して患者さんの栄養摂取量をモニタリングすることは、スムーズな退院を実現するためにも重要です。
もうひとつ重要な看護師の役割は、患者さんと家族の心理社会的、精神的なニーズに応えることです。
適切なソーシャルワーカーや心理士を紹介するだけでなく、入院中の患者さんや家族と一緒に時間を過ごしつつ、悩みに耳を傾けて慰め、治療に関する情報も提供します。
また家族も含めたニーズを予測し、心のこもった思いやりのある行動をすることは、看護師の最も大切な役割のひとつです。

まとめ

脳出血後の患者さんに対する看護ケアについて、特に急性期についてご説明しました。
慢性期ケアになると病気のことだけでなく、リハビリを中心とした社会復帰、後遺症に伴う身体的・精神的な負担に対するケアも必要となります。
さらには再発予防に向けた生活習慣の改善や適切な服薬指導も必要となるでしょう。
脳出血後にケアをしてくださる看護師たちが、このようにさまざまなことを考えて計画を立ててくれていることがお分かりいただけたのではないかと思います。
とても感謝なことですね。

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ニューロテックメディカル

貴宝院 永稔【監修】福永記念診療所 部長 再生医療担当医師 ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

脳卒中ラボ管理人

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脳卒中・脊椎損傷や再生医療に関する医学的見地から情報発信するブログとなっております。
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