回復期リハビリテーション病院を選ぶときのポイント
《 目 次 》
脳卒中後は、急性期からリハビリが重要です。
特に急性期を乗り切ったあとの回復期リハビリテーションは、社会復帰を目指すものであり、よい回復期リハビリテーション病院を選ぶことが重要です。
具体的には病院の施設基準はリハビリの質の指標、また病院の立地などを参考にするとよいでしょう。
脳卒中後に行われるリハビリテーション
リハビリテーションには、脳卒中を発症した直後から数週間くらいまでの期間にかけて行う急性期リハビリテーション、その後続けて行う回復期リハビリテーションなどがあります。
急性期のリハビリテーションでは、寝たきりや後遺症の軽減を目的とし、病気からの回復にも配慮しながら負担をかけないリハビリテーションが中心となります。
その後続けて行われるのが回復期リハビリテーションです。
回復期リハビリテーションでは、急性期を脱した患者さんが、スムーズに元の生活に戻ることができるようになることを目指しており、通常は回復期リハビリテーションの提供を目的とした病院や専門病棟に転院あるいは転棟して行います。
回復期リハビリテーション病棟では、朝起きてから夜寝るまでの1日の生活全てをリハビリの機会と捉え、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、リハビリの提供を専門とする医療職の方々が関わります。
回復期リハビリテーション病院(病棟)への転院の条件
回復期リハビリテーション病院(病棟)を利用するには、条件と期限があります。
まず回復期リハビリテーション病棟を利用する条件は、急性期の状態が落ち着いていることが大前提です。
また継続してリハビリが必要であることを急性期の病院で治療を担当した医師が判断し、回復期リハビリテーション病棟の担当医に診療情報提供書を送る必要があります。
その内容をもとに受け入れの可否が判断されます。
ちなみに以前は発症してからの期間にも条件があり、脳卒中では重症であれば発症後60日以内に回復期リハビリテーション病棟の使用を開始することが定められていましたが、この条件は2020年に撤廃されています。
さらに疾患ごとに回復期リハビリテーション病棟を利用できる期限も定められています。
例えば脳卒中であれば、最大150日となりますが、高次脳機能障害を伴っていると180日まで延長されます。
大腿骨や股関節の手術後のリハビリであれば、90日間が限度となっています。
回復期リハビリテーション病院(病棟)を選ぶときのポイント
では次に、回復期リハビリテーション病院(病棟)を選ぶときに確認したいポイントをご紹介します。
施設基準を確認する
ひとことで回復期リハビリテーション病棟と言っても、実は6段階に分けられた施設基準があります。
入院料1から入院料6まで分けられており、基準に応じて配置しなければいけない職種やスタッフの数、リハビリの提供条件などが定められています。
入院料1の方が基準は厳しくなっており、看護師やリハビリ専門職の人数や職種数も多くなります。
例えば入院料1の施設では、看護職員の数が多く専従の理学療法士や作業療法士も多く配置する必要があります。
専従の専門職が在籍していることから、休日もリハビリを提供することが可能です。
そのほか、専任の管理栄養士の配置も義務づけられてます。
それだけでなく、重症者における日常生活機能評価の改善も高い基準が求められています。
全てのリハビリを必要とする人が、高いレベルの施設を必要とするわけではありませんので、重症度に応じて、適切な施設を選ぶことができるよう、主治医やリハビリの担当者と相談することが大切です。
リハビリの質を確認する
なかなか専門家でないと、リハビリの質を判断することは難しいかもしれません。
ただ在宅復帰率を指標にすることは可能かもしれません。
病院のHPなどに記載がないか探してみるとよいでしょう。
一般的に70%以上が入院料1の施設基準となっていますので、この数字を指標とすると、ある程度の質は確保できると考えてよいでしょう。
立地を確認する
回復期リハビリテーション病棟では、通常数週間や数か月もの期間入院してリハビリを受けることになります。
したがって、面会に行く家族の負担も考えておく必要があります。
また退院後に外来でリハビリを継続することもありますが、その場合も通いやすい場所にあることが重要です。
医療ソーシャルワーカーに確認すると、周辺の病院に関する情報を集めることができるでしょう。
リハビリをしていない時間の過ごし方や環境を確認する
回復期リハビリテーション病棟では、一日最大で3時間のリハビリが行われます。
つまり圧倒的にリハビリ以外のことをしている時間の方が長くなります。
したがって、リハビリをしていない時間の過ごし方についての情報も集めておくと判断の材料となるでしょう。
例えば、入院している患者さんのためのレクリエーション時間や患者同士の交流はあるのかなどです。
また起きてから寝るまでの間、食事や着替え、排せつなど、通常の生活で行う動作も、日常生活に復帰するためのリハビリとして支援が受けられることが、回復期リハビリテーション病棟の特徴です。
したがって、病棟内の生活空間の環境にも注目しておくとよいでしょう。
費用
回復期リハビリテーション病棟では、入院のために必要となる食事や部屋代に加え、受けるリハビリの種類や時間によって費用が異なります。
また実際に支払う金額は、高額療養費の対象となるか、健康保険の負担割合などによっても異なります。
気になる場合は、事前に病院の事務担当者に確認をしておくことをお勧めします。
まとめ
回復期リハビリテーション病院(病棟)について、入院の条件や期限、また病院の選び方などについてご説明しました。
脳卒中後に麻痺が生じた場合、早い段階で密なリハビリを受けることが、その後の社会復帰を左右します。
できる限り納得して病院を選ぶことができるように、実際に見学をして判断することをお勧めいたします。
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ニューロテックメディカル代表
《 Dr.貴宝院 永稔 》
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。
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